第三章(2) パーティに呼ばれましたの By栗松家令嬢
お父様に頼んでやっと岸家と信頼関係を結べた私の家は、念願の岸家のパーティに参加することになった。
「お父様、ありがとう!!!」
「いやいや、娘が岸家の嫁にでも行くと思えば安いものだ。精一杯、お前の魅力をアピールしてくるといい」
お父様は、いつも私を褒めてくれる。自慢のお父様だった。だから、クラスメイトに自慢することにした。
「わたくし、岸様のパーティに呼ばれましたの」
「羨ましい限りですわ。ですが、私の家ではとても恐れ多くて参加できませんわ」
「栗松家だからこそ、参加できるパーティですわ。ぜひ、楽しんでいらして」
「もちろんですわ」
いつも私の話を聞いて、褒めてくれる友達しかいない。このクラスがこの間まで私の王国だったのに。それなのに。
「あら、ごめんなさい。アンタには関係ない話だったわよね」
「いえ、お気になさらず」
中宮は私を褒めてくれない。さらに大宮の子会社ってことで、1人私に反抗して中宮側につく女が現れた。
はじめは中宮とも仲良くしようと思ってたのに、お父様に中宮の話をしたらとんでもない話を聞いてしまった。それから、私は中宮を見るたびにムカついた。はじめはそれだけだったのに、お父様が頑張ってくれてやっと岸様との接点を作れた私と違って、転校初日に岸様自ら中宮に会いに来たこととか、中宮が岸様を湊様と呼んでいたりとか色々許せないことばかりだ。
「お父様!明日のパーティ、一緒に行けるわよね?」
「もちろんだよ。でも、私はあくまで保護者だ。自由に行ってらっしゃい」
「ありがとう!」
中宮でも、流石にパーティには来られないでょう。中宮家だってバカじゃないわ。明日の学校で大きな声で自慢してあげるわ。そして、中宮の居場所をなくしてあげるわ。庶民が私と同じクラスなんて、信じられないのよ。
そう思ったのに、
パーティ会場には中宮がいた。
岸様自ら一番はじめのダンスに中宮を誘っていて、
ふたりとも楽しそうに完璧なダンスを踊っていた。
結局、私は一曲も岸様と踊ることはなく、大宮様ともお話することなく、パーティを終えた。




