第一章(1) 神への感謝と謝罪
『お前もそろそろキツイだろ?選ばせてやる。生きるか死ぬかだ』
・・・・・・ああ。私はなんとお答えしたら良かったのでしょう。
確か私は『生きる』と答えたはずですが、ここは夢の世界というよりも死後の世界に近い印象を受けます。
目の前が真っ白なのです。
そんな中で精一杯考えます。
あの人は、私がどう答えたとしても、殺すおつもりだったのでしょうか。
私がいなくなったあの人は、どうなさっているのでしょうか。
きっと、私のかわりを作っているのでしょう。
ああ、私は殺されて当然だったのかもしれません。
名家の令嬢に生まれておきながら何もせず、せっかく与えられた役割でさえ全うできず、また私は誰かを不幸にしている。
私はきっとこのあと裁きを受けるのでしょう。
白色は赤色が最も映える、とあの人が言っておられました。
私は・・・・・・死刑でしょうか。
誰もが願う生まれ変わりだとかは私には程遠いものでしょう。生まれ変わりたいだなんて、全く思っておりませんでしたし、別に構いません。
だからどうか。
私に裁きを下してくださる死刑執行人の方。
早く罰してください。
私のような存在が、この世界に生を頂けたこと、感謝いたします。そして同時に、私のような存在が、今まで生きていたこと、大変申し訳ありせんでした。
これ以上、神様に言い残すことはありません。
そう思ったとき、何故か目の前が光りだし、私は目をつぶったのでした。