第二章(4) 皆様に囲まれました
私はよくわかりませんが廊下から声をかけられ、廊下に出ると、男の人がいました。始め、あの人が私を迎えに来たのかと思いましたが、違いました。
・・・あの人が私なんかを迎えに来るわけないわ。
そう思っていると、私を呼んだ人は自分のクラスと名前をおっしゃったので、私は学んだ通りに、
「よろしくお願い致します。岸様」
と言いました。
名前を聞かれたため、恐縮ながら名前を伝えると、
「中宮さん!僕と友達にならない?」
とおっしゃられました。
友達と言うものは、大切な人のことをいう、と学さんはおっしゃいました。
友達になろうというのは、まだ、大切な人ではないのに、どうして友達という言葉が使えるのか、わかりませんでした。
「は?湊、何言ってる?」
岸様と違う声がしました。岸様のお隣にもう一人、男の人がいました。
「え?いいでしょう?龍也も友達になろうよ!!!」
「は?何で俺が?」
龍也、という名前は、この間覚えたところなのでわかりました。確か、陽子さんのお友達の家の息子さんだったはずです。前とは別人のように感じました。
「いいから!ね、中宮さん。どうかな。僕達と・・・・」
キーンコーンカーンコーン
チャイムの音が鳴った。
「湊、帰るぞ」
「・・・しょうがないか〜。じゃあ、また今度ね!中宮さん!」
お二人はご自身の教室に戻って行かれました。
ここまではまだ良かったのです。
次の休み時間は、もっと人が私のところへ集まってしまい、私は囲まれてしまいました。
「ねえ!さっき湊様があなたに会いに来たってホント?!」
「ねえ、湊様になんかしたの?」
「岸様になんて俺でも近づけねえーのに、中宮さんスゲーよ!」
なんて、沢山の一人から言われるのです。
私もわかりません。
どうして私のところに一組であるあのお二人がいらっしゃったのか。
私への視線が増えた気もするのです。
まるで、あの頃のような。
私はダメな子だと私自身に認知させるような、視線。
だけど、そんなときに助けてくれたのはあの人だった。だから、いつかこの場に私がいれば助けに来てくれるのではないかと思ってしまう。
あの人は来ないと、さっきわかったばかりなのに。
「ねえ、中宮さん!今日一緒に帰ろうよ!」
一緒に帰ろう、というのは、無理なことです。
私は学んだことを実践するいい機会だと思いました。
「申し訳ございません。今日は迎えが来ることになっていますので、また今度お誘い頂けると嬉しいです」
「そうなの?残念だわ。でも、また予定が合った日に、ぜひ、一緒に帰りましょう!」
「はい」
私はなかなか断ることは許されません。クラスの人とは仲良くしなければならない、と学さんに教わりました。
ですから、一緒に帰る、というお誘いには今は応えられませんが、いつか応えてあげたいと思ったのでした。




