幕間(1) 波の通う学校とは
春休みだというのに学校はあり、社交や高校一年応用学習などを学んでいる。
春休みの学校の最終日、二組の担任の先生から、お知らせがあった。
「次学校に来る日には、転校生がきます。そのつもりで」
この学校はクラスが家の格によって別れていて、一組は超一流企業の子息達、二組は第一子会社の子息達、三組は第二子会社の子息達で構成されている。
二組の担任の先生、からの連絡ということは第一子会社の子息が転校してくるということだろう。
転校生なんて、過去にいない。一流企業でなければ子会社は持てず、一流企業の子息がこの学校にいない限り、ここに入ってくることは難しいと言われている。
クラスの中では話題の中心となった話題だが、残念なことに、他クラスにはこの話は来ないのである。
二組にとって一組は恐れ多く近寄れないクラス。三組は、近寄ると家の経営が悪化するクラスと認知されている。
簡単に言えば、上の者を敬い、下のものを見下す傾向にあるため、クラスごとに壁があるのだ。
さらに、学生は私語を控える傾向にある。
有名会社の子息が会社のことを友達に話し、その家は潰れた、という話も聞くくらいに、気を遣う学校である。しかし、転校生が来る、となるとそんなことは関係無くなるのである。
誰が一番の転校生の親友になるかによって、一流企業との関係が発展できるかどうかが決まる。
どの企業も生存競争に必死であった。
「男の子かな〜。彼氏に出来るかしら?」
「あら、その場合、彼女になるのは私よ!」
「いえいえ、私よ!」
「私は話せるようになればそれでいいです」
「あら、あなたの会社は成長の兆しがありませんのね」
「女の子だったら美人がいいな〜」
「美人で性格がいい人がいい」
「美人すぎると上に取られるから、普通な子でいい」
「僕は本が好きな子だったらいいな」
「俺、和食好きがいい!俺の店なら和食が一生食わせられる!」
「俺、フルーツ好きな子がいい!」
「僕は、顔は普通でいい。僕の家の化粧品で可愛くする」
会話自体は普通の高校生なのである。
家のことを言うこと以外は。
そんな学校に、波は通うことになる。