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第一章(12) 僕と女の子と母親 By 龍也

僕は部屋に残された。

目の前に座っている女の子はさっきから顔を上げない。

僕の両親に話すときも目も合わせなかった。


「ねえ」

「はい」

「おじさん、元気そう?」

僕は女の子に聞いた。

「おじさん?」

「そう。あなたのお義父さん。元気そう?」

「はい。多分」

「そ」

まぁ、はじめの会話としては十分なのでは無いだろうか。

実際、最近はおじさんの家に行く機会は無かったから、今日会えて嬉しかったけど・・・・

だけど!!!

あの位置は僕の位置だったのに!!!

この女が取ってったのが少し許せなかった。


僕は小さい時からおじさんの家に預けられていて、おじさんたちに育てられたと言ってもおかしくないと僕は思っている。

おじさんたちは僕を凄く大切に、優しくしてくれたし、友達と喧嘩したり、僕が悪いことしたときにはしっかりと怒ってくれた。

そんなおじさんたちが僕は大好きだった。


いつかこんな日が来ると思ってた。

僕はおじさんたちの子じゃないから、ずっとここではいれないって。

だけど・・・養子なら、なんで女なんだ?

色々聞きたいことはある。

けど、きくに聞けない。


「・・・今、何歳?」

女の子に年齢聞くのはまずかったかな・・・

そう口に出してから思う。

「すみません。わかりません」

「わからない?」

「はい」

「何年生まれ?」

「わかりません」

わかりませんって、即答されること、ない質問なはずだ。僕には教える必要がないって事か?

ムカつく。


「おじさんたちの好きなところは?」

「・・・」

「嫌いなところは?」

「・・・」

せっかく僕がムカついたまま終わらせないようにしてあげてるのに、僕の質問に無言なんて、結構な心意気だ。おじさんちの子じゃなかったら潰してる。

「龍也、そろそろお開きにするわよ」

「はい」

お母さんが来て安心した。もう、この子と会うことはないだろう。僕に無言とわからないを連発したやつとなんて話したくない。そもそも、女の子ってだけでしんどい。

「波さん、帰りましょう」

「・・・はい」

その瞬間、僕は、何故か彼女から目が話せなかった。

なぜだろう。

さっきまでもう話さないと思っていたのに。


「龍也くん、また遊びにいらっしゃい」

「いつでも歓迎してるよ」

「いつもごめんね、陽子」

「いいのよ」

いつもごめん、なんて、ホントは何も思ってないくせに。

お母さんもお父さんも、いつも家にはいない。

いつも、使用人と僕だけ。

自分たちがいなくてもいいように、僕はおじさんたちに預けられた。

そんなこと、知ってる。知ってるけど・・・


「また今度、ゆっくり話しましょうね、波さん!」

いつも家にいない人が、僕ではなくあの子に時間を使う気らしい。

それもまた、ムカついた。

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