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ノアの弱小PMCー異世界から来た軍人と兵器少女、たった2人の防衛戦線ー  作者: 無糖 喫茶
第3章ー兵器の祭典、セントラルストリートパレード開催ー
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第63話ー拘束帯ー


「クゥちゃんせんせぇ、そろそろ帰してほしいんだけどぉ」


「ん、帰してくれるのか? これ……」


「当然だろう。そもそも私が会いにこなければもう帰れていたのだよ。ただまあもう少し確認したいことがあってね。君のその拘束帯、どうにかしたいと思わないかい?」


 ヒナキの全身に巻き付いている黒い帯。

 ヒナキが次元の狭間に落とされる前に付与された身体能力を抑制させるものだが……現在その拘束帯を解く(すべ)を探している最中ではあった。


「実は君たちのボス、アリアにその拘束帯について調査してほしいと頼まれていてね。少し時間をもらえればその拘束帯の組成(そせい)を調べられるんだがいいかい?」


「是非お願いした」

「しどぉ、ここにあんまり長くいるのはよくないわよぉ?」


「ステイシス、君も相方がいつまでも黒い帯ぐるぐる男じゃ嫌じゃないかね? 私に任せてくれればせめて顔だけでもしっかり見れるようにしてあげられるよ」


 ネロは考えた。

 ここから早く出たいと思っていたところでは合ったが実際、ヒナキの顔をちゃんと確認したいという欲求があったからだ。

 ネロは可愛らしく小首をかしげつつ少し悩んだが……。

 

「じゃあ待つわよぉ」


「ふふ、いい子だね」


 クオンに連れられたヒナキは研究室へ入り拘束帯の分析を開始し、ネロはGNC施設内ではやたらと人目につくと今後の動きに支障を来す可能性があるため身を隠して待機していた。


……。


「ごめんなさいねアリアちゃん、こちらも上の命令で動かざるを得なかったのよ。だからそんな怒鳴らないで」


《……!! …………!!》


「一声かけたら絶対に引き渡さなかったでしょ、多少強引ではあったけれど仕方ないじゃない」


 執務室に戻ったメイソンは通信端末片手に何やら言い訳を行っていた。

 通信端末からはしきりに女性の怒鳴り声が聞こえてきていたが、相手はノアNPCの社長であるアリアだという。

 強引にヒナキを連行したためアリアが怒鳴り込んでいるようだが……。


「あーはいはい、じゃあノーフェイスによろしくねん」


 半ば強引に通信を切ると再びコール音が鳴ったため、端末の電源を切ってしまった。


「はぁ……案の定すっごい怒られちゃったわ」


「あ? そりゃあそうだろ。それ上等であいつを連行したんじゃねェのか、オッサン」


「いやまあそうなんだけれど、あんな可憐な女の子がブチ切れてる声聞くのは普通に(こた)えるわねぇ」


 オフィスチェアに深く腰掛け頭をガシガシと掻くメイソン大佐を横目に、足をテーブルに乗せて行儀悪く座っているRBが呆れたように声をかけていた。


「ったく、突入時に盗聴器なんてつけやがって。裏でコソコソ動くのが板についてっから周りが敵だらけになってくんだよ」


「周りが敵だらけでも問題ないようにGNC(ここ)にいるんだろ、RB。ぬるい事言ってんじゃねーよ」


「テメェと一緒にすんじゃねェよ伊庭ァ」


 仲間内でいがみ合っていたが、先にRBが怒りを収めてくだらなそうにため息をついた。


「今回の件で方舟の安全性に対し疑念が生まれたことは間違いないわ。しばらくは都市内外の事後処理で忙しくなるから覚悟しておくこと。じゃ、今日のところは帰って体を休めておいて、解散解散!」


 勤務が終了しそれぞれが執務室から出ていったわけだが、RBは帰路につかず誰も居ない場所に足を運び通信端末を取り出した。

 その端末はGNCから支給されたものではない個人用の端末であった。

 その端末を使用し通信を繋いだのは……。


《こちら高部だ。RB軍曹、どうした?》


「遅くに悪ィな。いや、一言連絡いれておきたくてよ」


《祠堂君の事かい? 君が気にすることではないだろう》


「今回シドウが厄介なことに巻き込まれたのは俺が軽率にあの潜水艦に仕掛けたからだ。あいつはとりあえず水面下で動かしておきたかったんだろ?」


《しばらくはね。ただ遅かれ早かれ企業連を騒がす人物になるのはわかっていた。それに今はクオン先生に匿ってもらっている。おかしなことにはならんよ》


 RBが連絡を行った先はノーフェイス……高部総一朗だった。

 自分が盗聴器を仕込まれ、潜水艦内でのヒナキの会話が企業連側に抜けていたことを悔いていたのだ。

 

《彼があれらと繋がっているととれる情報はあまりに断片的で確証となるようなものはなかった。それにあれらに命を狙われていたのは間違いない。彼があれらと組みしているなどという馬鹿な結論へはどうあっても至らなかったはずだ》



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