森の中ではクマさん・・・ではなく女の子に会いました
朱歌さんとのコラボ企画です。「いんたーふぉんで異世界にいけるらしい。」と「不思議RPGは異世界への入口でした」を読んでから見ると三倍ぐらい楽しめます。
・・・。あれ?ここ、どこ?
全く見覚えのない世界を見渡しながら、服についた土埃をぱんぱんとはたいた。
すると、頭上から明るい声が聞こえてきた。
「全く、何で僕まで変な世界に来ちゃったのかな?君を殺そうとしただけなのにね?」
この不満のかたまりのセリフを吐いたのは、変な世界に来る前に私を殺そうとしたウェルズ
だった。
「あーあ。殺ったと思ったのになぁ~。・・・何だっけ?天音だっけ?死んでくれない?」
失礼なセリフにイラッときた私はウェルズ大声を出すために大きく息を吸った。
「ちょっとー!降りてきてくれるー!」
突然の大きな声にビックリしたのか、ウェルズは腰掛けていた木から綿のようにふわりと降りてきた。
つかつかと歩み寄り、顔を近づけると、
「君はゲームのキャラクターだから、分からないかもしれないけれど、私の世界では年上の人は敬うのが礼儀ってもんなの!だからね?『天音』じゃなくて、『天音さん』って呼ぶのよ!普通はね!」
と、一気にまくしたてた。
少し黙ってからウェルズはにっこりと微笑み私の言葉に反論した。
「言っておくけど、僕は、いや、さっきまでいた世界の住人はゲームのキャラクターじゃない。もし、ゲームを使って入って来たのなら、そのゲームが僕の住んでいる世界への「門」だったってこと。あと、君は僕を何歳だと思ってるの⁉言っておくけど!これが一番大事だけど!僕は君と同じ14歳だからね?分かった⁉」
お、おう・・・。
ウェルズの迫力に押され一歩後ずさると不意に後ろから声が聞こえた。
「あの、さっきから、『私の世界』とか、喋ってましたけど・・・。もしかしてこの世界に突然、来た人ですか?」
いつの間にっ!って、ここにも被害者が!
びっくりしたが、仲間がいると分かった安心感もあり、私は、被害者少女に向かって自己紹介をはじめた。
「そうだよ~。私は宇都宮天音 中学二年生だよ。で、こっちの殺人未遂バカ魔術師は、ウェルズ・アトラスト。」
「誰が殺人未遂だ。」
ウェルズは鋭いツッコミを入れ、ギロリ、と睨んできた。
「あ、えっと、私は巫 祈里小学五年生です。私も異世界からこの世界に来ました。よろしくお願いします。」
祈里ちゃんの自己紹介が終わると同時に、ゴブリンのようなモンスターが一斉に私たちに襲い掛かってきた。
うわっ、謎の世界に来たと思ったらいきなりドンパチですか・・・なんか・・・私、呪われてる?






