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短編集  作者: 因美美果
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短編・1

 僕は明日、出兵する。


 僕が住む町は田舎町から『田舎町』と呼ばれるほどの田舎町である。

 都市の方では得体の知れない『電気』と呼ばれるものが普及し始めているそうだが、そんなものが田舎町の二乗みたいなこの町にある訳もなく、炎に薪を焚べて灯りと暖を取り続けて生活している。


 しかし、僕はそれを悲観する訳でもなく、慣れ親しんだ生活が変わることの方が余程怖かった。

 愛すべき家族が居て、木や土の匂いがあって、畑を耕して作物の実りを待つ生活は僕にとっては捨てるには途轍もなく惜しい日々だった。


 だからこそ、僕は戦争へ行きたくなかった。


 そして、何よりも大きな理由として、僕には好きな人が居た。


 この町に住む数少ない子どもの一人。

 彼女は僕の一つ年下で、綺麗な赤毛の女の子だった。

 彼女はその赤毛から、皆から『魔女の子』だとよくいじめられていた。

 だから、彼女はいつも森の中へ入って行き、木漏れ日が差し込む花畑で一人で遊んでいた。

 それが彼女の秘密の場所だった。


 彼女のことが気になっていた僕は、ある日彼女の後を尾けた。

 彼女は花畑の上に座り、花飾りを作っては崩し、編んでは解きを繰り返して遊んでいた。

 僕は木の陰に隠れて彼女をずっと眺めていたが、ふと横を見ると、いつの間にか顔のすぐ近くに這い寄ってきていたとかげにぎょっとして、大きな声を出してしまった。

 それが彼女に聞こえなかったはずもなく、そこで初めて僕は彼女と目が合った。


 僕は彼女に見つかったことで恥ずかしさや気まずさが込み上げて、支離滅裂な言い訳を言い出した。

 しかし、その言い訳は彼女に全く届いておらず、彼女はただただ青い顔で震えていた。

 きっと秘密の場所がバレてしまって、またいじめられる日々に戻ることに怯えていたのだろう。


 それに気付いた僕は、みっともない言い訳を止め、彼女に近寄った。


「僕は君をいじめたりしないよ」と、膝を突いて彼女の目を見て、そう声を掛けた。

 今思えば、口先だけの信じるに値しない戯言だと疑われてもおかしくなかったが、彼女はその言葉に少しばかりの安堵を見せた。


 それから、それまで一人で花飾りを作っていた彼女は、僕と二人で花飾りを作るようになった。もちろん、他の遊びもした。


 また、たくさん話もするようになった。

 好きな虫や苦手な果物、未来のことなど、他愛もないことばかりだった。


 しかし、唯一話してくれなかったのは、彼女の家がどこにあるかだった。

 理由は分からないが、彼女は家の所在を訊かれると口を固く閉ざしてしまう。


 けれど、家族の話は訊いても大丈夫なようだった。

 彼女の母親は彼女が生まれてすぐに亡くなったという。

 都市に出向いた際に、銃の乱射事件に巻き込まれ、その流れ弾を喰らったらしい。

 それから、父親と二人暮らしだそうだ。


 しかし、その生活が幸せなものだとは、とてもじゃないが感じられなかった。

 それは、母親という家庭にとって大事な存在が欠けているということを差し引いても、十分に言えることだった。

 彼女の家庭に漂う薄暗い雰囲気は、彼女の話からひしひしと伝わってきた。

 また、それ以上に彼女の家に蔓延る闇を感じられることがあった。


 彼女は家に帰りたがらなかった。


 森は暗くなるのが早いので、夕暮れになる前に帰り始めなければならないのだが、彼女はそれを酷く拒んだ。

 俯いたまま僕の手をぎゅっと握り、その場から立ち上がろうとしないのである。

 僕はお腹が空いて、なるべく早く帰りたいのだけれど、震える小さな手を振り払うこともできなかった。

 僕は頭上を覆う枝葉の隙間から見える空が、段々と赤黒くなっていくのをただずっと見ていた。


 ある日、いつものように森の中の花畑へ行くと、いつものように彼女が花の絨毯の上に座り込んでいた。

 いつものように僕は彼女に声を掛けたが、いつもとは違って彼女は振り返らなかった。

 それどころか、びくりと驚いて、顔を隠すように縮こまってしまった。


 僕は様子がおかしいと思い、回り込んで彼女の顔を覗いた。

 そうして僕の目に入ってきた彼女の顔には、紫色の痛々しい痣があった。


 僕は思わず目を逸らしてしまった。

 しかし、再び視線を戻した時、映り込んだ彼女の瞳は「やっぱり」というような、失望と諦観を孕んでいた。


 僕は反射的に謝り、その後は何も言葉が出てこなかった。

 黙ったまま視線を落とした先に、彼女の細い腕が映り、服の袖からも僅かに青痣が見えていた。


 彼女は父親から虐待を受けていた。


 気まずい空気が流れ、日暮れが近づいた頃、いつもは帰りたがらない彼女だったが、その日は自分から「帰ろう」と、言い出した。

 その目はあまりに乾いていて、僕は思わず手を伸ばした。


 震える手で彼女の小さな手を掴み、引き留めた。

 いつもと立場が逆転し、なんだか変な気持ちだった。


 しかし、乾いていた彼女の瞳は瞬く間に潤み出し、すぐに大粒の涙と大きな泣き声が森に降り落ちた。


 僕らはその日、日が暮れて互いの顔が見えなくなるくらいに暗くなっても決して家へは帰らなかった。

 やがて町の大人が松明を持って僕らの名前を叫ぶ声が聞こえてきた。


 僕らは身を寄せ合って息を潜めたが、結局大人達に見つかり、こっぴどく怒られた。

 しかし、彼女の体の傷を見た大人達はすぐに不穏な顔色に変わり、即座に彼女の家を訪ねた。


 具体的に何があったのかは知らないが、それから彼女と彼女の父親は離れ離れに暮らすことになった。

 彼女は町でも優しいと有名な老夫婦の家に引き取られた。

 彼女の父親はどこへ行ったのかは知らない。


 彼女の前の家は山を少し登ったところにあり、町から目につかない場所にあったという。

 見た目は廃屋のような家で、とても人が住んでいるとは思えないと、大人達は言っていた。


 彼女が家の所在を言いたがらなかったのは、家を見られたくなかったからだと気付いた。

 あの家が誰かの目に留まっていたら、彼女の虐待ももっと早く解決されていたかもしれない。


 しかし、彼女はこれで虐待をされずに済むようになった。

 それが何よりも大事なことだった。


 あの一件以降、僕らは森の中に入ることは禁止されたが、代わりにお互いの家で遊ぶようになった。


 それまでは穴が空いていたり、ボロ切れを継ぎ接いだような服を着ていた彼女だったが、しっかりとした服を着られるようになり、初めてちゃんとした服装の彼女を見た時、僕は少し緊張してしまった。

 お風呂にもしっかりと入れるようになった彼女は、ごわごわだった髪の毛も、すっかりさらさらになった。

 彼女はますます綺麗になったと思った。


 それから僕らは大きくなり、二人が出会ってから十年が過ぎた。


 けれど、その間にも彼女は依然として、町の子ども達から『魔女の子』と、呼ばれ続けていた。

 虐待という脅威は消え去っても、いじめという恐怖は未だに無くなっていなかった。


 父親が居なくなっても、彼女の髪の色は変わらない。

 青痣が無くなっても、彼女の髪の色は赤いままである。


 その日、僕は親の手伝いで畑を耕していた。

 夏の日差しが燦々と照りつけ、汗を拭く手拭いもびしょびしょだった。

 手伝いは午前中のみで、午後はいつも通りに彼女と会う約束だった。


 昼食を食べ終え、彼女の家へ行ったが、家には老夫婦の二人しかおらず、彼女はいないようだった。

 老夫婦によれば、彼女は午前中におつかいに出たきり帰ってこないという。


 僕は嫌な予感がして、彼女を探した。


 結果から言えば、彼女はそう遠くへ行っていたわけではなかった。

 しかし、この場合は重要なことは距離ではない。

 遠くにいようが近くにいようが、彼女は傷ついていたのだから。


 町の中を流れる川の河川敷に、バスケットとそこから野菜や果物が転がっていた。

 僕はそれを見つけ、彼女が近くにいると感じた。

 辺りを見渡し、なんとなく川上に向かって歩いていくと、川に飛び出して生える木の枝に女性の服が引っ掛かっていた。

 僕はそれを拾い上げ、しっかりと確かめる。


 見覚えのある、間違いなく彼女のものだった。


 川から流されてきたのなら、その持ち主はもっと上流近くにいるはず。

 僕は走って川上に進んだ。


 しかし、彼女は一向に見つからない。

 ふと立ち止まって、再度辺りを見渡した。


 その時、近くの茂みでがさがさと音がした。

 僕はゆっくりとその茂みへ近づく。

 そして、茂みを掻き分けて現れたのは、誰でもない愛すべき彼女だった。


 彼女は茂みの中で震えながら、小さく縮こまっていた。

 まるで初めて出会った時のようである。


 しかし、あの時と何が違うかと言えば、彼女は裸であり、びしょびしょに濡れていた。


 そのことから、大体の経緯は読めた。

 おつかいに出た後、彼女は彼女をいじめる連中に捕まり、服を脱がされ、裸の体に水をかけられたのだろう。

 そのまま放置され、移動することも助けを呼ぶこともできず、ここで震えていたのだ。

 しかも、彼女が浴びた水はどうやらすぐ隣の川の水ではなく、雑巾から絞って出たような汚水のように思われる。


 僕の予想通り、彼女は「汚いから触らないで」と、背中を丸めながら片手を突き出した。

 濡れた髪が顔に張り付いてよく分からなかったが、彼女が一向に目を合わせようとしないのは確かだった。


 それがなんだか僕にとっては心外で、彼女がいじめられたという悲しみから、彼女を守ってあげることができなかったという自分への不甲斐なさが込み上げてきた。

 僕は突き出された彼女の手を握った。


 彼女は思わず僕の顔を見て「だめ、汚れてしまう」と、今にも泣きそうな目を向けた。


 けれど、関係なかった。


 僕は彼女の手を大きく引き寄せ、そのまま僕の腕に包んだ。

 確かに、埃の嫌な匂いがした。


 彼女は僕の腕の中で必死に離れようとしたが、僕は決して彼女を離さなかった。

「汚れていたって、僕は君が好きだよ」と、彼女の耳元で僕は囁いた。

 それを聞いた彼女はすぐに泣き出し、必死に抵抗していた腕はいつの間にか僕の胴にしがみついていた。


 冷えた彼女の体の震えは止まらなくて、僕は彼女がこのまま死んでしまうのではないかと、とても怖かった。


 それからまた幾月が過ぎて、僕の元にとある報せが届いた。

 それは僕の元だけでなく、町の若い男性全員の元にである。


 召集令状だった。


 僕らの住む国は隣国との国境付近で一触即発の緊張状態にあるらしかった。

 しかし、どっちが初めに手を出したのかは知らないが、何にしても国境付近で戦争が開始されてしまったのだという。


 状況は劣勢で、国の軍隊が次々と壊滅させられ、国は遂に民間人からの徴兵も行い出した。

 そして、僕の元にも召集命令が出たということなのだ。


 もちろん行きたくない。

 この田舎町でずっと暮らし、いつかは彼女と結婚し、子どもを授かり、愛する人達に看取られて死にたい。


 しかし、この町が戦時下にある国境とは離れているとは言え、このまま戦況が悪化の一途を辿れば、戦火はいずれこの町にも襲いかかる。

 そうなれば、愛する人どうこう言っている場合ではない。


 愛する家族、町、何より彼女の為、僕は戦争に出向き、生きて帰ってこなければならない。

 どれほど長い間彼女と会えなくなるとしても、僕は今こそ戦わなくてはならない。


 彼女に召集の件を伝えると、彼女は僕の手をぎゅっと握った。

 俯いたままで、彼女は小さく「行かないで」と、言った。

 叶わないと知りながらも、それでも抑え切れなかった、絞り出されたような声だった。


 僕は彼女をそっと抱き締め、なるべく優しい声で「必ず帰ってくるよ」と、誓った。

 何年先かも分からない。

 守れるかも分からない。

 それでも、彼女にそう誓った。


 彼女は僕の腕に包まれながら、何度も「好きよ」と、言った。


 僕は明日、出兵する。


 生きて帰れるかも、無事に帰れるかも、そんなことは分からないけれど、それでも、出兵する。

 命を懸けても守りたい、かけがえのないものがあるから。


 翌日、日が昇り切る前に町を発った。

 町に首都からやってきた車が迎えに来て、それに乗って前線基地へ向かう。

 その車は馬が引かなくても動くようで、僕は大変驚いた。

 運転手は舵輪のような輪っかを握っているが、これは車ではなく船なのだろうか。

 しかし、帆も付いていない。

 もしかして、これが『電気』というものの力なのだろうか。


 そんなことを考えていたのも一瞬であり、僕はすぐに彼女のことを考えた。

 彼女の笑顔を思い浮かべ、これからしばらく、もしかしたらもう二度と、あの愛しい笑顔が見られないのかと思うと、指先が震え出した。

 しかし、次に彼女の泣き顔を思い浮かべると、彼女を守らなければという気持ちが湧き立ち、決意が漲った。


 基地へ向かう道中、一緒に乗っていた一人の青年が突然「帰してくれ」と、発狂し出した。

 結局彼はバッジのついた軍服を着た男に殴られて、それ以降黙ってしまった。


 他にも、車の揺れに酔って自分のヘルメットに嘔吐する人や、車両の床をしきりに見つめてぶつぶつと何かを呟き続ける人など、車内は混沌としていた。

 かく言う僕も、何日も車に揺られ、野営をした際に吐いてしまった。

 また、目的地が近づいてくるほどに、胸の辺りがざわざわして、酔ってもいないのに吐き気を催した。


 そうして何ヶ月も車に揺られ、僕はやっと前線基地に到着した。

 できることなら、到着したくはなかったけれど。


 戦況は依然変わらず劣勢であり、徐々に侵攻されていた。

 ここで敵国の勢いを食い止めないと、いよいよこの国は壊滅の危機に追い詰められてしまう。


 車から降りて辺りを見回すと、疲弊し切った兵士、体のどこかが欠けている兵士、包帯で顔が分からない兵士、蠅が集っている兵士など、惨状は極まっていた。

 土の焦げた匂いや血が焼けた匂いに目眩が起きそうだった。


 到着したばかりでどうしたら良いのか分からない僕達に、士官らしき人が「集まれ」と、怒鳴りつけた。

 駆け足で彼の元に集合し、敬礼をする。


 怒鳴り声で諸連絡を短く終えた彼は、どたどたと踏み鳴らすように立ち去っていった。

 やはり劣勢の状況で、士官も苛立ちを隠せないらしい。


 僕達の戦線への参戦は明日から始まるという。

 何ヶ月も車の中で過ごした為、動いていないのに体は疲れており、正直明日くらいは休ませてほしいと思ったが、明日休むことで彼女が危険に晒されてしまうのであれば、弱音は吐いていられない。


 簡素なテントに何人もの兵士がぎゅうぎゅうの状態で横になり、正直一睡もできなかった。

 しかし、荒野の空は徐々に明るみ出し、朝は僕の睡眠などお構いなしにやってきた。

 僕も途中から眠ることは諦め、一晩中彼女のことを考えた。


 それから、欠伸をしながらテントからもぞもぞと出て、大きく伸びをした。

 すぐに士官から召集をかけられ、作戦の説明をされる。

 実際、作戦とも言えないほどすかすかの作戦で、僕はなぜ負けているのかよく分かった気がした。


 装備を整え、銃や武器の点検をし、いざ戦線へと配備される。

 僕は前線の中でも一番先頭の陣に配備された。

 つまり、まず一番に交戦し、一番に戦火を浴びることになる。

 死ぬ確率も何より高い。


 僕は不安だった。

 ろくに取っ組み合いの喧嘩もしたことのない僕が、殺し合いの戦場で生き残れるのか。

 畑を耕す鍬くらいしか振るったことのない僕が、敵の砲撃を掻い潜り、銃弾を喰らわせることができるか。

 こんな敵の格好の的のような先陣で、生きて彼女の元へ帰れるのか。


 塹壕の中で合図を待ちながら、死の輪郭が急に鮮明とし出した。

 手足の震えが止まらなくなり、彼女の泣き顔を思い浮かべても決意はゆらゆらと揺れ続けた。


 その時、僕の隣に居た兵士が僕の肩をちょんちょんと突いた。

 僕はぎょっとして大声を張り上げそうになったが、寸でのところで堪え、顔だけを兵士の方へ向けた。


「大丈夫か」と、その兵士は落ち着いた声で訊いてきた。

 僕は震え切った声で「大丈夫」と、答えた。

 その様子を見て、彼は思わず笑みを零した。

 それは嘲笑とは違う、優しくて朗らかなものだった。

 彼の笑顔を見て、つられて僕も笑ってしまった。

 手足の震えは少しだけ止まった。


 その兵士は僕よりも年上のようで、不思議な安心感があった。

 貫禄のようなものを感じる。

 しかし、話を聞くと、彼も僕と同じで、先日召集されて泣く泣く故郷を発った民間人兵士だという。


 僕は彼に故郷に恋人がいることを話した。

 僕の死ねない理由を話すと、彼はうんうんと頷き、自分の事情も話してくれた。


 彼も故郷に幼い子どもを残してきており、必ず生きて帰ると約束したのだという。

「妻は既に他界して、娘は病気なんだ」と、哀しげな目でそう語った。

 僕は戦っているのが自分だけではないと、本当の意味で実感することができた。


 僕は彼の手を強く握り「共に生き残りましょう」と、力強く言った。

 彼も応えるように勇ましく笑ってみせた。


 その時、僕達の隊の隊長が合図を出した。

 いよいよ戦闘が始まる。


 僕は昨日使い方を覚えたばかりの銃を構え、敵陣を見据えた。

 刹那の静寂が永遠にも感じられた。


 再び隊長の合図が響き、兵士達が一斉に塹壕から飛び出した。

 恐怖に震える体を鼓舞するように、皆大きな雄叫びを上げる。


 僕も負けじと声を張り、敵陣へと一直線に走る。


 その時、敵陣の方から重たい音が響き渡り、振動が肌を叩いた。

 その音のすぐ後に、前方から人の頭くらいの大きさの砲弾が飛んできていた。


 僕はその砲弾を避ける間もなく直撃した。


 そして、死んだ。

 僕は、死んだ。



   〇   



 死体の顔はどれもこれも同じに見えた。

 

『端役』

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