エクストラゲーム「フェティシズム・フロンティア・オンラインβ」
そして時は流れ、数か月……。
俺は再びVRの世界で、アオと一緒にいた。
ここはフェチフロのセカンドβテスト。
烏羽の目論見通り、俺たちが繰り広げたバトルは性癖決戦のいいプロモーションになった。しかしながら、フェチフロとフェチバトルにはまだまだ調整が必要ということで、バトルβと銘打ってセカンドβテストが執り行われる運びとなった。
ファーストβに参加していたプレイヤーはバディの引継ぎができるという嬉しい仕様。そういうわけで俺はまたアオと一緒に過ごすことができている。
そして今は鬱蒼と針葉樹の生い茂る森の中。
陽の光は木々に遮られ、薄暗くひんやりとした空気が身体を包むこの森の中で、俺たちは見知った顔と対峙していた。というか、本当のことを言えば待ち合わせていた。
「やぁ、タスク。今日こそ俺らが勝つ」
「ゴル。俺もアオも負ける気はないさ」
カトラスは既に煙草を咥えており、更にその隣には仕込み刀を抜いたゴルが並び立っている。
「今日は最初から本気を出させてもらうよ」
「今日は負けねーぞ、お嬢さん」
「アオ、いけるかい?」
「もちろん!!」
威勢のいい返事と共に、アオの両手がカマキリの鎌と触手に変態する。
「今日も君らは元気だねぇ、扶」
ゴルの奇妙なイントネーションに、ファーストβのときから抱いていたもやもやがようやく言葉になる。
「なぁ、ゴル。お前、もしかして『カネ』か?」
「さぁな。俺は君と同じく、河川敷でちょっと性癖拗らせただけの男さ」
あの河川敷の件を知っているのはこの世でただの二人だけ。
俺と、あの場に居合わせたアイツだけ。
「お前、いつから俺の事に気づいてた!!」
「そりゃあもう、ファーストβの広場で最初見たときからさ。現実とそんなに変わらない顔つき、誰かさんが大好きって言っていたのとそっくりなアオの特徴、そして昔からよく使ってた本名と同じプレイヤーネーム。すぐピーンときたね。まぁ、確信したのはニャーさんの店で君のスタンスを聞いた時だったが」
「気づいてるなら早く言え!」
「リアルをむやみにこっちに持ち込むのはご法度だろ? 長いことリアルで面識もなかったわけだし。それはともかくだ」
瞬時に変わるゴルの目つき。
カトラスは銃のリロードを終わらせ、アオに照準を向けている。
アオも負けじと鎌と触手を構える。
「さあ、今日こそは見せてもらうよ、君の新しい性癖を! そして始めようか、どっちがより自分の性癖を愛しているかの戦い――」
重なった俺らの声がこだまする。
「性癖決戦を!!」
「性癖決戦を!!」
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――正……版リリ……で……と?日




