抑えきれない感情
遅くなりごめんなさい
「なんのスキルにされるのですか?景山様」
「僕が選んだのはこれです。まずは、身体能力の底上げ系のスキルからです」
俺がそう言って見せたスキルカードは、これだ。
『筋力増加』
レベル:1
効果:筋力が1%上昇
レベル上限:∞
『体力増加』
レベル:1
効果:体力が1%上昇
レベル上限:∞
『俊敏性強化』
レベル:1
効果:俊敏性が1%上昇
レベル上限:∞
『瞬発力強化』
レベル:1
効果:瞬発力が1%上昇
レベル上限:∞
『柔軟性強化』
レベル:1
効果:柔軟性が1%上昇
レベル上限:∞
『魔力増加』
レベル:1
効果:魔力が1%上昇
レベル上限:∞
『自然回復』
レベル:1
効果:かすり傷の修復
レベル上限:∞
『魔力制御』
レベル:1
効果:魔力制御が1%上手くなる
レベル上限:∞
俺がスキルカードを見せると、リサ姫は困惑した顔でこっちを見ていた。
「あの、どうしたんですか?」
「ああ!すみません。どうしてこんなスキルを選んだのかな?と思ったんです」
「そうじゃのう。なぜ、擬人化などのスキルに、しなかったのじゃ?それにかすり傷の修復なんぞ、魔物に噛まれたら意味ないぞ?」
俺は二人の疑問に、
「僕も最初は擬人化にしようと、思いました。でも、スキルの効果と上限を見て、先程見せた筋力増加などにしました。これを見てみてください」
そう言って見せたのは、擬人化のスキルカードだ。
『擬人化』
レベル:1
効果:筋力と瞬発力を一時的に100%上昇する。ただし、使用後は、動けなくなる。
レベル上限:1
「まず効果です。擬人化は、筋力と瞬発力が100%上昇しますが、使用後は動けなくなるという、デメリットがあります。それに対して筋力増加は、1%しか上昇しない代わりに、スキル上限は無限です。僕はこのスキル上限の無限に目を付けました。これは、予想ですが、スキルレベルが1上昇するたびに、1%づつ筋力の増加するでしょう。そうすると、長い時間は、かかりますが筋力が1000%上昇になる可能性だってあるんですよ。だから、僕はこのレベル上限無限にかけてみることにしたんです。いつかは、擬人化より凄いことになりますよ」
俺が説明を終えると、リサ姫は、目を見開いていた。
「凄い。そんなの考えたこともなかったです」
「そうじゃのう。確かにいい考えじゃ。でも、レベルを上げるのは、途方もない時間がかかるぞ」
そんなことを、クラウンに言われるが、そんなことは、もうわかっている。だから俺はスキルカードを一つ見せる。
『血肉変換』
レベル:1
効果:殺した魔物の血と肉を浴びることで、レベルと殺すのに使ったスキルレベルが上昇する。血と肉を浴びれば浴びるほどレベルは、上昇する。
レベル上限:1
「そのためにこのスキルを使います。これは、あまり使いたくないのですが」
「確かにこのスキルなら、早くレベルは、上昇するじゃろう。魔物の血肉など浴びたくもないけど」
その辺は、俺もクラウンと同意見だ。だが、このような効果のあるスキルは、これしかなかった。
リサ姫が口の周りを押さえている。魔物の血肉を浴びている場面を想像しているのだろうか?早く、話を変えよう。
俺は、スキルカードを見せる。
「次は、攻撃系のスキルです」
『双剣術』
レベル:1
効果:双剣を使えるようになる
レベル上限:10
『闘技』
レベル:1
効果:魔力を体や剣に纏うことができるようになる
『闇魔法』『光魔法』『火魔法』『土魔法』『水魔法』『風魔法』
レベル:1
効果:カードに書いてある魔法が使えるようになる。
レベル上限:それぞれ10まで上がる。
「なるほどのぅ。しかし、なんで双剣術なんて、マイナーなスキルにしたんじゃ?」
「そうですね。てっきり、剣術や大剣術にすると思ってたんですけど」
「それ、どうしても答えないといけないんですか?」
正直言って答えたくない。絶対どん引きするから。
「うむ。早く答えるのじゃ」
クラウンが即答する。リサ姫の方を見ると、彼女も静かに返事を待っていた。
仕方がない答えよう。
「双剣の方が斬りつける回数が多くて、血がより吹き出るからですよ」
「な、なるほどのう」
リサ姫は、また口の周りを押さえた。だから、いいたくなかったのだ。
「あと、選んだのは、鑑定眼とテイムです。鑑定眼は、敵のレベルがわかるだけでも、有利だと思ったからです。テイムを選んだのは、魔物をテイムすれば、ひ一人で戦わなくてもいいと思ったからです。」
『鑑定眼』
レベル:1
効果:見ている対象のレベルがわかる
レベル上限:10
『テイム』
レベル:1
効果:魔物を手懐ける。相性によってテイムできる魔物は変わる。
レベル上限:10
「何で、一人で戦うのが前提なんですか?勇者達と、戦えばいいじゃないですか」
リサ姫は、わかっていない。自分が、奴らから、受けている扱いを。
正直言って俺は、これをリサ姫にいいたくない。自分の弱い一面を知られたくないからだ。しかし、言わないと彼女は、納得しないだろう。
「聞いてて面白くないですよ?それでもいいんですか?」
「ええ、構いません。そうでしょう?クラウン」
「ああ、もちろんじゃ」
二人は即答する。なんで二人とも俺なんかに、優しく接してくれるのかは、わからない。でも、二人とも真面目に聞こうとするから、話ても大丈夫かな?
「実は僕、前いた世界で、勇者達に非道いいじめを受けていたんです。もうそれは、本当に非道いんです。男子には、暴力を振るわれ、金を巻き取られ、トイレの水をかけられたこともある!女子は後ろでクスクス笑ったり、俺と言ったり、タメ口使ったら、生意気と暴言を言われる。教師は、見て見ないふりをする。家でもだ!!父には、暴力を振られ、母からは、暴言をいわれる。妹に至っては両方だ!もうこんなのは、嫌だ!!だから俺は!」
俺は、冷静に努めようとしたが、自分を押さえきれなかった。憎しみが溢れ出てくる!
気づくと俺は、リサ姫に抱きしめられた。
「なっ!!」
「影山様!安心してください!あなたが大変な思いをしているのは、わかりました!なぜ、勇者達と一緒にたたかいたくないのかも!」
嘘だ!リサ姫に俺の気持ちがわかるはずない!俺がどれほど苦しい思いをしてきたのかも、わかるはずない!
「だから!!もう泣かないで!あなたが、苦しんでいる姿なんて、見たくない!」
「僕が泣いてる?はは、そんなわけないだろう。僕が?」
有り得ない。俺は、怒っているんだ!
「もう、泣かないで」
リサ姫にもう一度、消え入りそうな声でいわれたとき、俺は気づいた。自分が泣いてることに。自分の頬が濡れていることに。
そして気づいた、彼女の温もりが気持ちいいと思ってしまった自分に。その瞬間、俺はなにもかもが、どうでもよかくなった。そして...
リサ姫は、影山が意識を失ったのは、すぐにわかった。だがそれでも、彼女は、影山をずっと抱きしめていた。
「リサ姫よ、儂はなにも見ても、聞いてもおらんからの」
「ありがとうございます」
リサ姫は、帽子の優しい言葉に甘えて、影山をより強く抱きしめた。そして、思った。これからは、自分が彼を支えると。
遅くなり申し訳ございませんでした。
皆様に楽しんで頂けると嬉しいです。
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