謎の帽子 後編 ~帽子の正体~
どうも!今日も頑張りました。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
「リサ姫。失礼なことをお聞きしますが、クラウンに僕の職業を聞いて何か意味があるのですか?僕には、ただの古ぼけた、帽子にしか見えないのですが」
「影山様。クラウンは、ただの古ぼけた帽子じゃないのですよ?彼は、この国の知恵なのですから」
「その、知恵とは?」
「クラウンは、このフェルトマス王国が始まってからの出来事を全て記憶し、その情報を王家が必要とするときに、王家に渡すのです。また、王家の政治の手伝いなども彼は、しています。だから、彼はこの国の知恵なんです」
「なるほど。だからクラウンは、俺の職業の事がわかるかもしれなんですね。王家が始まってからの情報全てですし。この帽子すげぇ」
「そうじゃろう、ぞうじゃろう?して、その職業の名前は、なんじゃ?ステータスプレートを見せてみぃ」
最初は、おちゃらけていたクラウンも、職業に関しては、まじめに聴いてくる。仕事は、真面目にやる人種なんだろう。いや、帽種か?
俺は、リサ姫が答えるのかと思っていたが、彼女は何も言わない。僕が言えばいいのかな?
「僕のステータスプレートは、これです。職業は、天声獅子歌です」
「天声獅子歌とな。うむむ」
クラウンには、この職業が何か、わかるのだろうか?早く、知りたい!
「うむ!」
『何かわかったんですか!』
僕とリサ姫の声が重なった。つい、二人で一緒に微笑んでしまう。リサ姫も早く、知りたいのだろう。
「いや、わからんのじゃ!」
何なんだよ!今の、「うむ!」は!わかったんじゃないのかよ!クラウンの駄帽子め!
リサ姫も、面食らったような顔をしていた。リサ姫、わかるよ、その気持ち。
俺だけだったら、確実に怒るだろうけど、リサ姫がいるから、怒りはしない。できるだけ冷静になるように努力する。
「しかし、クラウンもわからないのであれば、どうするのですか?リサ姫」
「クラウンでさえ、わからないのです。恐らくこの国の中で、答えられる人はもう一人もいません。しかし、どうしましょう?職業がわからなければ、影山様は、魔物相手に戦うことが、できません。クラウンどうすればいいと思いますか?」
最終的にリサ姫は、クラウンに聞いた。まぁ、フェルトマス王国の知恵だしね。聞くのが当たり前か。
「うむ。職業がわからないのも痛いが、スキルも使い方がわからんのが、最も痛いのぉ。どうすればよいものか」
クラウンは、そう言い、考えモ-ドに入った。リサ姫は、静かにそれを、見守っているから、俺も待とう。
そしてクラウンが考えモ-ドから、覚めたのは、一分くらい経ってからだろうか?
「うむ。儂は決めた。リサ姫と影山の坊や、儂の言うことを、聞き逃すんじゃないよ。わかったかの?」
クラウンが、俺とリサ姫に聞いてくる。恐ろしく、低く、真面目な声だった。俺とリサ姫は、すぐに首を縦に振った。そして、耳を済ませた。クラウンから、出てくる声を聞き逃さなうように。
「うむ。じゃあ、話すからの。恐らく、影山の坊やが手に入れた職業は、ユニーク職業だ」
「ユニーク職業!?そんなの聞いたことがありません!何ですかそれは?!」
珍しくリサ姫が声をあげる。
「儂もユニーク職業なんて、聞いたこと聞いたことないわい。これは、あくまでも推測の域をでない話じゃよ。でも、天声獅子歌なんて職業、聞いたこともないからの。恐らく、歴代の勇者の中でも、影山の坊やだけが、初めて持った、職業だろう。だから、誰も知らないんじゃ」
俺だけが、もっている職業か。ますますどんな職業か、気になってくる。どんなことができるんろう?
「そして、スキルもユニークスキルと書いているのだから、影山の坊やだけが、使えるスキルなんだろう」
「誰も知らないスキルなんて、僕は、どうやって使えるようになるんですか?」
「ユニークスキルは、だいたい訓練や実際に魔物相手に戦う時に、使い方がわかるようになるんじゃ。しかし、おぬしの場合、ユニークスキル以外のスキルがないからのう」
「じゃあ僕は、どうすれば、いいのですか?」
「これは、できれば、したくないのだが。しかし、儂もおぬしのユニークスキルとユニーク職業が気になるしのう。うむむむ、よし!リサ姫よ、王家の貯めているスキルカードを持ってきておくれ」
「っ!いいのですか?」
「ああ。影山の坊やには、それが必要だ、頼んだぞ」
「わかりました!」
リサ姫はそう言い、図書館から出て行った。何を取りにいったのだろうか?
リサ姫、すごく心配してたしなぁ。
「リサ姫に、何を取りにいったのですか?」
「おぬしの為の物じゃよ」
俺の為の物?何だろうか?
クラウンと待つこと五分。リサ姫は、ついに戻ってきた。腕に抱えているたくさんのカードとともに。
「スキルカード、持ってきましたよ」
「うむ。お疲れじゃ」
リサ姫は、持ってきたスキルカード?をクラウンが乗っている椅子の周りにばらまいた。カードの数は、かなりある。
「これって何ですか?」
「これは、スキルカード。そこに書かれているスキルを、覚えることができるカードじゃ」
「それって凄いことじゃないですか!これがあれば、どんなスキルでも、簡単に手に入れることができるんですよね?」
俺は興奮する。どんなスキルでも、覚えることができるなんて素晴らしいじゃないか!
「いや、そんなに都合のいい物じゃないわい。これは、ダンジョンのボスを倒した時に、稀にドロップアイテムとして、手に入る貴重なカードなんじゃ。これを買おうとするのなら、凄いお金がかかるのじゃ。だから、いくら王家でも、たくさん買えないんじゃ。そして、スキルを覚えられると言ってもそれは、スキルレベルの高いカードなんてないのじゃ。ボスを倒せる奴らの剣術のスキルレベルが3としよう。しかし、レベルカードで手にはいる剣術のレベルは1しかないのじゃ。だから、ボスを倒せる奴らは、これを使わないんじゃ。だから、ここにあるカードの大半は、歴代の勇者達が集めた物じゃよ。勇者達は、元のスペックが高いからの。まぁ、ここの中から欲しいスキルを選んでいいぞい」
俺は嬉しかった。例えレベル1だとしても、スキルのない自分からしたら、簡単に手に入るのは、ラッキーなことだと思う。まじで帽子に感謝です!しかし、何枚貰っていいのだろうか?俺が、それをクラウンに聞くと。
「ここにあるのは.......百枚くらいかの?じゃあ、二十枚いいぞい」
「本当にそんなにいいのか!?」
「ああ。持ってけ泥棒!ちなみに、スキルカードをタッチすればスキルの詳細がわかるぞい」
俺は、我を忘れてスキルカードを漁った。リサ姫からの暖かい視線を向けられているのを知らずに。
それから二時間かけて、俺はスキルを決めた。そしてそれを、クラウンとリサ姫に言う。
「貰いたいスキルを決めました」
影山ってたまに口調変わるよね。(笑)
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