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タイムライン

 今を生きる私たちには前世の記憶がある。

 ない人の方が珍しいかもしれない。

 前世が花だったとか、鳥だったとか、ロマンティックなことを言う人はきっと思い出していない側の人。


 前世の記憶の浮上と共に、人間は大体人間に生まれ変わる。ということを自然と理解するのだ。


 深い意識の底にしまわれていた記憶たちは、ある日突然思い出されるが、それを拒否することは出来ない。時に思い出したくない何かが苦痛を伴って自分の中から湧き出す。


 前世を思い出す人。思い出せない人。その区別が明確になることを私たちは恐れている。


 ピロン、と鳴り続けるスマートフォン。

 絶えず流れるタイムライン。


 前世はよかった。彼との手紙のやり取りの中で、確かに愛を感じられた。


 今はこの中のどれが彼の言葉か分からない。

 そもそも同じ時を生きていないかもしれない。

 それでもいいとタイムラインを追うのは、ただひたすらに私と彼の前世をなかったことにしたくないだけ。


 生まれ変わったら。なんて約束に素直に頷かなかった私が唯一できることはこの世界の呟きを眺める事だけだから。


 前世の記憶があると声高に叫んだら、彼はきっと私を見つけてくれる。

 そしてまた私を愛していると言いながら殺すだろう。

 前世の前世で積んだ罪のせいで、私は彼に殺される。

 愛よりも遥かに大きな恨みを抱いて。


 私はそれを思い出していないふりをしながら、現世の言葉の海から彼の本当の愛を探している。

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