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子守唄が聞こえる

隣のクラスの私と彼。

 いつまでも子供のままでいるわけにはいかない。分かっているのにこの子供のような関係を終わらせたくないのだ。


「ねえ辞書かして」


 いつもどおり眠そうな目をした彼は隣のクラスからわざわざ出向き私を名指しする。私は特に何も言わず彼の望む電子辞書を手渡して、席に戻る。


 一体なんなんだ。何故私なんだ。という疑問はとっくの昔に湧き上がって消えた。去年同じクラスだった時は、会話をした記憶すらない。


 彼は学校ですこし有名だった。彼だけではなく、彼の所属する部活が全国的に有名な強豪であることから、彼とその仲間たちは一目置かれている。らしい。私はあまり興味が無い。


 彼本人はというと背は高いけれど無気力で眠い目をしていて、部活に励んでいる姿が想像出来ないような脱力系男子というやつに見えるのだが、きっと私の知らないところでは熱血だったりするのだろう。……いやそれはないかもしれない。


 彼が私にものを借りに来るようになって、私のクラスは騒ついた。仲のいい子達には仲を疑われたりしたけれど、貸し借り以外になんの会話もないことから、その内誰も何も言わなくなった。


 行動に理由が要らないのは子供だけだ。いや、子供だって理由があって行動する。私は彼が来ることに理由は必要ないと思っている。むしろ、理由があると無くなってしまう関係のように感じた。感情の読み辛い彼は、ただ流れるままに私の所に来て、何事もなく帰って行く。それでいい。


 ただ、ものを返しに来る時にほんの少しだけ、手に触れるのは心臓に悪いからやめてほしい。

この度は本作品を見つけて頂きありがとうございます。お好みのお話がありましたらブクマや感想など頂けると励みになります。

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