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流浪の遊び人 *王道少年漫画風・お下劣ファンタジー*  作者: 紅山 槙
episode1 女聖騎士は遊び人と一夜を共にする(全15話)
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VⅣ 救援(遊び人視点)


 怪魔と呼ばれる存在がいる。


 強靭な肉体を持ち、腕力が高く、様々な術を使いながら人を嬲る悪魔だ。


 俺は怪魔が異常発生したという森に向かった。旅歩きの護身用にしている長剣を腰に据えて、近くの町で情報をかき集めてから、すぐ移動する。


 ……そこの聖騎士の人に聞いた。メルゼルタが怪魔に捕まったって。


 メルーちゃんたちが救援に行った後も、結構被害出たって噂が流れてきてさ。何か、嫌な予感したんだよね。


 この前久しぶりに"不運"に追い回されたせいか、若干警戒心みたいなもの? が、強くなってる気がする。油断してざくっと利き腕切られて、トラウマも蘇った。メルーちゃんに締め上げられた時に、代罰を恐れて防御本能出した俺が馬鹿なんだが。


 怪魔は肉体だけじゃなく、精神もぶっ壊してくる。嗜虐趣味っていうか、何故か弱いものをいたぶるのが好きらしい。怪魔に連れてかれて行方不明って人は、助けられた頃には心を病んでいることが多い。


 ……逆にいえば、捕らわれても生きてる可能性は高いってこと。だから怪魔の捕虜になった人の救出活動はよく行われる。


 けど、助けるために頑張りすぎると、ミイラ取りがミイラになるって感じに、次々と新しい捕虜出てきちゃうからね。ある程度のところで救出活動は打ち切りにされてしまう。助け出してもらえなかった人は本当に可哀想だが、二次被害を抑えるためには仕方がないことだ。


 ……本当はね。


 今のところ、聖騎士の部隊もまだ捕虜の捜索をしてるらしい。メルーちゃんは二次被害に巻き込まれたってこと。見つかってくれてるといいけど。


 もしそうじゃないなら。

メルゼルタは今、地獄を見ている。


 日が沈んで、夜になっても、俺は町に引き返さなかった。歩きながら干し肉を噛み、水を喉に流し込み、足を止めるのは仮眠をとる時だけ。


 怪魔が異常発生したという場所は、思ったより広い。怪魔には時々遭遇するが、言うほど多いか? ってくらい、不気味なほど静かだ。

ここは"神域"に指定されてないから、怪魔もたまたま人里近くにたくさん現れた、ってことなのかもしれない。


 捕虜を探すにはポイントがある。怪魔はいたぶって遊ぶのが趣味だから、だいたい人間や他の怪魔に邪魔されない、廃墟や洞穴の奥といった巣穴に隠していることが多い。


 町で手に入れた地図にバツ印を書き込みながら、怪魔の巣が作られやすい場所を、しらみつぶしに見ていく。


 特に、サキュバスの巣穴とオークの巣穴が怪しい。サキュバスは男専門だが、たまーに女捕らえることがある。オークはどっちも捕らえるが、女が多い。ラミアは子供しか捕まえないから除外。


 ……けど、キリないな。聖騎士のグループでも難航している捜索が、俺一人でできるか?


 結局、俺はただの……。


 いや。できんじゃん。ひとつだけ。

 見つける可能性高める方法。


 ……能力、使うか?


 けど、渋ってしまう自分がいる。反動があまりにも危険だからだ。


 ……おいおい、スロス。躊躇ってるのか?


 スロスはメルゼルタのように、自分の身をかけて大切な人を救おうとしない、臆病者か?


 自分のためには使ったくせに、人を助けるためには使わないのか?


 ……ああ。俺は臆病だ。

 臆病者で、見栄っ張りで、覚悟もテキトーだ。

 もう二度と使わないつもりだったのに。


 けど、今苦しんでいるのは誰だ?

愛しいメルーちゃんだろ?


 俺は、どこまで逃げるつもりだ?


 ……よし。前向きに考えろ、前向きに!!


 俺が無事メルーちゃんを救出したら、「素敵! 抱いて!」と言ってくれる。お父さんに「是非娘をもらってください」と言われて、めでたくゴールイン。メルーちゃんといちゃいちゃらぶらぶしておっぱいお触り自由で、「子供いっぱい作ろ?」と、めっちゃズコバコできる。


 うん、いい♪♪♪


 ……現実味がない。


 いや、それでも!

 可能性がないわけじゃないよな、うん!


 足を止めて、ゆっくりと目を閉じる。

 邪な妄想を瞼の裏に浮かべて、胸に手を当てて。

 ×××勃たせながら、己の中の力を発動する。


 メルゼルタ。俺の愛する女神様。

 俺が助けるから。必ず助けるから。

 無事でいてくれ……頼む。

シリアスな空気を台無しにするスタイル。

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