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流浪の遊び人 *王道少年漫画風・お下劣ファンタジー*  作者: 紅山 槙
episode2 狩人たちは遊び人といつしかの旅路を進む(全22話)
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I 不運

ようやく本編に突入です。

さあ、スロスの永遠のライバル、変態2号が登場します!


 近い。あとどのくらいで現れる?


 息を切らしながら、どこまでも広がる草原を走る。あいつと戦う環境(フィールド)としては悪くはないが。確かめたいことがあるんだ。


 "俺の不運"は何処にいる?


 見晴らしのいい丘に駆け上がり、ぐるりと四方を見渡す。


 ……街道に、牛を走らせる荷牛車が見える。それ以外は、何もない。


 びりびりとやけに緊張する空気だけが、俺の周りをぐるぐると巡っている。


 ……あいつは、透明になれる術でも持っているのか? それとも現世ではなく、精神世界とか、異空間とかから、俺を追っているのか?


 ふと、街道にいる荷牛車が止まり、麦藁帽子を被る男が、こちらに手を振ってきた。


 呼ばれている。今は、あまり人に近づきたくないんだけどな。じっと見ていると、男から大きな声をかけてきた。


「あんさん、旅人か――――――!? 道に迷ったべか――――――!?」


「……いえ――――――! 違いま――――――す!」


「そんじゃ――――――! そこで――――――! 何しとるんだ――――――!?」


「ちょっと―――――――! その――――――! 休憩で――――――す!」


「そんなとこで――――――! 休んでも――――――! しょうがないだ――――――!」


「お気になさらず―――――――!」


「ちょいと――――――! こっちきな――――――! 荷車で休んだらいいべ――――――!」


「いえ――――――! 本当に――――――! 大丈夫なので――――――! ありがとうございま――――――す!」


「遠慮するな――――――! こっちゃこ――――――い!」


「本当に大丈夫で――――――す!」


「ええからこっちゃこ――――――――――い!」


 疲れるっ!!


 まだ息も上がっているというのに、いつまでこのやまびこのような会話を続けたらいいんだ。これから厄介な奴と戦わなきゃいけないって時に、声で体力を消耗したくない。


 男は暇人なのか、「こっちで休みなさーい!」勧誘がしつこい。無視してここを離れればいいんだが……少しでも優位に奴を討ちたいんだよな。


 けど、このままだとあの男が危ない。あいつが声を聞いて気にするかも。近くにいるのは間違いないんだ。


「ほらこぉ――――――ーーーーーい!」


 いや、うん、だから、とりあえずさ。

 声張り上げるのやめて?


 諦めて、声の主に近づくことにした。


「やぁ、ようやくきたべかー」


 麦藁帽子の男はコブ鼻だった。ぺかーっとした笑顔で、俺に笑いかける。


「すまないんだが。ここから今すぐ離れて欲しい」


「うんー? どうかしたんべか?」


「ここに"死神"っていう危険な怪魔が来る。巻き込まれる前に、離れてくれ」


「怪魔ぁ? 真昼間の、ここに?」と、コブ鼻男は首を傾げた。


 怪魔は普通、夜を好む。日が昇っている時だと、木陰の多い森や日の当たらない洞窟など、現れる場所が限定している。これだけ太陽さんさんの大草原じゃ、まず怪魔が現れることはないだろう。


「……あんさん、何か、顔色悪いべ? だんじょぶか?」


 コブ鼻男が心配そうに眉を動かす。


 男は去ってくれるどころか、「よっこいしょ」と荷牛車の奥に乗り上げ、ミルクタンクの蓋を開けた。


「ほれ、サービスだ。おらんとこの牛乳、飲んでみろ」


 黄色い膜がふるふると揺らいでいる白い液体を、木製のゴブレットに注いで差し出される。


「……あの、ありがたいんだが、ちょっと急いで……」


「気にすんな気にすんな! 代金とったりしないべ! ほれ飲め! 顔色もよくなんよ!」


「……」


 辺りを警戒する。やはり広い草原の何処にも、あの黒い影はない。


 俺はさっとコブ鼻の男の手から牛乳をとり、一気飲みした。


「どうさ?」


「……うん、うまい」すぐに木の器を返す。

「だろー? おらんとこの牛はお天道さんたっぷり浴びた青草食べて、栄養満点の乳出しつげしゅ「べりょ「がは、べがっ!!?」


 コブ鼻男の荷牛車が鮮血に染まる。


 俺の顔にも赤い飛沫が飛んできた。牛が重い鳴き声を上げた。蓋の開いたミルクタンクの中身も、ピンクに色づく。


 ―――来た。


「……スーロス♪」


 どくんと心臓が跳ねる。


 そいつはいつも、いきなり現れる。


 黒い外套をはためかせ、馬車の縁に立つ男。


「やっ♪」


 神の名を持つ怪魔は、にやりと笑う。


次回は戦闘描写満載です。

変態2号の変態っぷりも炸裂します。

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