ⅩⅢ 誠義
町に戻ってから教会で調べてもらって、事実上、未貫通と同じだと言われた。
……処女膜というのは、破れても数日すれば元に戻ることがあるという。
判定の修道女に"無"を言い渡され、「そんなはずはない」と言ったのだが。
「真実ですよ。判定は膜が基準ですから、メルゼルタ様はまだ聖騎士であることが許されます。あなたはきっと、フェリス様に愛されているのですね」と、彼女は奇跡を崇めるかのように、祈りの姿勢をとって答えた。
……これが、あいつの寄越した幸運か?
信じられない。汚れた体にも関わらず、聖騎士を続けられる?
天神フェリス様。
あの男は、私に遣わせた神の化身ですか?
あの男は何者なのですか?
私を許してくださるのですか?
ああ、フェリス様。
その深き慈悲に、感謝致します。
……でも。
私は辞職した。未貫通扱いとはいえ、偽りだ。他の聖騎士たちと同じように、堂々と誇りを誇示することができなかった。
だが、これがフェリス様の温情だとしても。教会の皆と肩を並べるのが心苦しい。
スロスはオークの巣穴から私を救い出し、私を近くの村まで送ってくれた。
目に見えぬ幸運も。本当かはわからないが、持たせてくれたというのが、嘘に思えない。
流浪の遊び人は、今何処に?
私が礼を言う前に、彼は風のように消えてしまった。
……天神フェリス様。
彼に恩を返すためにも。
どうか、またあの男に逢わせてください。




