ⅠⅩ 絶望(遊び人視点)
短い&鬱展開すぎるので、今回は二話投稿します。
「メルーちゃん!!」
よっしゃビンゴ!
ひとつのオークの巣穴で、人影を見つけた。
土を被っていても、洗えば美しいと分かる、銀色の髪。
「……スロ、ス……?」
「大丈夫!?」
メルゼルタの体を抱き起こして、愕然とする。
虚ろな目。鎧が砕かれ、服が引きちぎられている。腕や足の肉が鋭利な刃物で裂かれて、ぐったりと力が抜けている。
何をされたのか理解した。
「スロス……私を楽にしてくれないか」
「……あ、うん。今縄を解いて……」
「違う。その剣で私の心臓を抉ってくれ」
メルゼルタの絶望は、俺の心にも突き刺さる。もう復職は不可能だと、嘆く声。
俺も後悔してる。
あの夜に。のどかな官能に迷った夜に。
躊躇うことなく奪っちまえばよかった。
俺は、好きな人すら苦しみから守れない欠陥品?
それとも、何もかもを諦めてしまったからこその実力不足?
……とりあえず。死ねオーク。
種ごと滅びろ。道端で見かけたら惨殺してやる。
俺の女神を汚した屑共に、復讐だ。
いたぶって地獄のどん底に落として嬲り殺してやる。
次はメルゼルタ視点に戻ります。




