I 夜明け
……ん?
私は、一体……?
体を起こそうとして、ぐらぐらと頭が揺れた。気分が悪い。
二日酔いか……随分飲んだからな。私は酒に弱い方ではないんだが、昨日は本気になりすぎた。
教会の鐘の音が聞こえる。五回。ということは、今は正午か。長く寝すぎてしまったようだ。
「リーズェ。エルマー。いるか?」
私の班員の名前を呼んで、水を持ってきてもらおうとした。誰からも返事がない。意識がはっきりしてきて、はっとする。
ここは何処だ? 私たちの部屋じゃない。
安い宿のようなひびの多い壁。床には乱雑に脱ぎ散らかされた服がある。酒瓶が転がっている。金貨や銀貨が、無防備にも小テーブルの上でばらりと散乱していた。椅子が、何故か部屋の真ん中で脚を上にしている。
無精な部屋だ。盗賊にでも荒らされたのか?
……そうだ、私の装備は!?
いや、それ以前に!!
私の服と下着は!?
ばっと隣を見ると、もぞりと何かが毛布の中で動いた。
「……んー……?」
渋い鳴き声がして、中途半端にうねる髪をぼさぼさに散らす男が、むっくりと体を起こす。
「……あー、メルーちゃん起きてたの? まだ昼間なのに早いねー」
「な、な……!?」
黒髪黒眼。やや褐色調の肌。年は三十代前後に見える。もそもそと胸毛を生やしたその男は、私を見てにまりと笑った。
……いや、ちょっと待て。
私の目に、どうしてこの黒カビみたいな胸毛が映るんだ。
裸の男女が、同じベッドで……。
「い、いやああああああああああああ――――――――――――――――――!!」
「え。ちょ、待っ……ぎゃあああ―――――!!!」
□主人公はtueeeですが、最強ではないです。そもそもテンプレではありませんのでご了承ください。
□内容はだいたいコメディですが、鬱展開が多くパーフェクトなハッピーエンドはありません。読後感にご注意ください。
□登場キャラが変態ばかりなので下品な表現が跋扈します。本作が地雷だらけの危険地帯であることをご留意ください。
□R18verは投稿時期未定です。早く上げろ等の催促と全裸待機はご遠慮ください。
以上をご了解の上で、お楽しみくださいませ!