三十日目
「これから、映画館行かない?」
私は、学校が終わると、菫を誘った。
「映画館?」
菫が茶色の瞳で見つめた。
「そう。新作の洋画。Amy‘s adventureっていう、ファンタジーなんだけど」
私は、買っておいたチケットを見せる。
その映画は、ジャンの冒険の制作会社が手掛ける魔法の国へ冒険の話だ。
原作は、イギリスの文学。Amyが魔術師に誘われて、不思議の国に迷い込むのだ。
「うん。行きましょう」
券を受け取り、菫が綻びる。
「やった。奈緒達には、話をつけてあるから」
私は菫に飛びついた。
近くのショッピングモールは、隣の駅からすぐの所だ。
歩いて駅まで向かう。
「小説書いてる?」
私は、尋ねる。昨日遅くまで小説を書いていたのだ。ただ、ネタに困って、途中、ジャンの冒険の漫画を見ていたが。
「ううん。昨日は、江戸料理譚を読んでいたから」
「どんな本?」
「そよという女性が、料理茶屋で奮闘する話。貸そうか?」
菫は、鞄から、ツタが描かれたブックカバーがついている本を取り出した。
「面白そう。貸して貸して」
受け取る私。
駅に着くと、電子カードで改札を抜け、エスカレーターに乗った。菫が前で、私は後ろ。エスカレーターは、のんびり進む。
ホー厶に着くと、私達は、読んだ事のある本の話になった。
「シャーロックホームズが好きなんだ。最後の事件の英語版持っていて。原作のコナンドイルは、事件を解決した事があるらしくて。昔は、シャーロックホームズが実在していると思っていた人がいたんだって」
私は、シャーロックホームズについて熱く語った。
「お母さんが栄養士だから、昔から、栄養の本読んでて。今、薬膳に興味があって、家で作っているの」と菫。
「薬膳って?」
「食薬同源に基づく食事療法の事」
「今度教えて」
「家来て。何か作るから」
「皆で遊びに行くね」
「じゃあ、好きな食べ物、リサーチするわ」
電車が入ってくるアナウンスが流れて、電車が入ってきた。
囲いと電車の戸が開いて、人が出る。
その後、私達が乗り込む。
「菫は、テストどうだった?」
休みなので、席は満席だ。
「よく出来たの。蓮華は?」
「パソコンと時事英語とリスニングが壊滅的だったけど、あと満点」
「そう」
そんな事を話している間に駅に着いた。エスカレーターを上がり、改札を抜けると、右にショッピングモールが見える。
ショッピングモールは、宇宙を思わせるデザインで、星が彩られていて、ドー厶型だ。冬になると、イルミネーションが綺麗なのだ。特にクリスマスには、多くのカップルが訪れる。
歩くと、映画の看板が並んでいる。その中に、Amy‘s adventureがあった。
映画館の前には、奈緒と洋と百合子が笑って、手を振っていた。




