三日目
「昨日は、面白かったね」と私が言った。
「そうだね」と中田洋が言った。
昨日は、スペシャルワールドで、全てのアトラクションに参加して、今は、家でチャットのテレビ電話をしている。
大学は、連休でお休みだ。
「兎可愛かったね」と空井百合子。動物と触れ合うコーナーのことだ。私は、小さな黒豚が印象に残っている。
「アルパカも好き」と山田奈緒。
でも、それよりも。
「私はジェットコースターが面白かったな」と言った。
「ものすごく怖かった」と百合子。
「一番叫んでいたもんな」洋が言った。
2つのジェットコースターは、ジャンとトムが宇宙に冒険に行く《ジャンの宇宙飛行》と、ジャンが過去に戻る《ジャンのタイムマシン》だ。
私は、《ジャンの探検》が一番怖くて、他はあまり怖くなかった。
「謎解きアドベンチャーも良かった」と菫が言った。
謎解きアドベンチャーは、宝物の地図を渡されて、謎を解いて、宝物を取りに行くものだ。時間制限がされているので、時間内に解かないと宝物はもらえない。難しかったが、菫が謎を解いてくれたおかげで、宝物をゲットできた。宝箱に入っていたのは、ピンバッジだった。6人か7人ぐらいで、組になって競うので、ピンバッジは全員もらえた。
「菫さん、すごかったですね」とルベル。
「そうでもないですよ」と菫は謙虚だ。
ルベルは、「私は観覧車が景色が良くて、印象に残っています」
確かに。夜乗ったので、LED電球に彩られた夜景が綺麗だった。
「パレードも良かったですね」
ジャンが仲間たちとともに、音楽に合わせて、通るのだ。
「うん。それと、私のお気に入りは、カーチェイス。運転免許早く取りたいな」と中田洋。
洋は、早く免許を取りたいそうだが、金欠で取れないでいる。両親から、まだ早いんではないか、と言われているらしく、親は頼めない。実家暮らしで、アルバイトをしているが、まだ貯まっていないようだ。
私も、試験監督のアルバイトをしているが、一人暮らしなので毎日の生活にほとんど使われている。
食費を削るため、ご飯ものばかりだ。やはり、日本食の方が安いが、たまには、洋食が食べたくて、ルベルの喫茶店で、ナポリタンを食べに行っている。
「そうそう。今日、私の喫茶店に来ませんか?」
ルベルがウインクした。
「いいですよ。明日もお休みですから」と奈緒。
「アルバイトがあるから」と私が断ると、
「私もアルバイトがあるから、行けないや」と洋が言った。
「すみません。私もアルバイトあるので、行けません。今日も、ウェイトレスの仕事があるからこれでお開きで」
菫がチャットから出る。
「私も行けるよ」と百合子。
「皆さんが来れないのは、残念ですが、山田さんと空井さんが来てくれるのは、嬉しいです。腕によりをかけます。では、また」そう言って、チャットから出るルベル。
私もチャットから出て、パソコンの電源を切った。