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勇者パーティをお払い箱になった霊装騎士は、自由気ままにのんびり(?)生きる  作者: 銀翼のぞみ
三章

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72話 巫女エリスとその心

 エリスが再会を喜ぶこと少し、一行は彼女の泊まる客室へと移動してきた……のだが――


 ソファに座るレム、その隣に陣取ったエリスが、彼の頭を愛おしげに撫でている。

 ユリウスやアリシアたちに見られ、レムは気恥ずかしげな様子だ。


「巫女エリス、そろそろ本題に入りたいのだが……」


「ユリウス殿下、申し訳ありません。自分の世界に入ってしまっていました……」


 ユリウス皇子の声でハッとした様子でレムを撫でる手を止めるエリス。

 それを確認したところで、レムがエリスに、アリシアたちの紹介を始める……が、アンリの紹介をしたところで、エリスの瞳が鋭く細められる。


「エリス様、彼女は罪を犯しましたが、今は贖罪のためにレムに仕え、彼もそれを許し側に置いています。どうかご容赦ください」


「マイカ……あなたがそう言うのであれば、私の方からは何も言わないでおきましょう」


 少々不服そうな表情を浮かべてはいるものの、エリスはアンリに対し問い詰めるような言葉を口にすることは遠慮した。


「エリス様、お気遣いありがとうございます」


「あなたがいいと言うのであれば、それでいいのです、レム」


 感謝の言葉を伝えるレムに、エリスは苦笑しながら彼の頭を撫でる。


「でも、まさかあなたが人生の伴侶に出会っているなんて……それも二人も……」


 レムの頭を撫でながら、寂しげな表情を浮かべるエリス。

 その視線の先にいるのは、もちろんアリシアとヤエだ。


 二人のことはこの場で軽く紹介しただけであったが、救世の旅に真摯に向き合っていたレムが生涯の伴侶と認める……そんな二人がレムにとって、どれほど大切な存在なのかをエリスは理解したのだ。


(しかし、レムは今やAランク冒険者になったと聞きました。その上貴族の婿養子となれば、私にもチャンスはあります……よね?)


 アリシアとヤエを羨ましく思いつつも、エリスはそんな思考を巡らせるのであった。


「ふふっ……」


 女の勘でエリスの考えを感じ取ったのか、アリシアが意味深な笑みを浮かべながら、彼女に向かって小さく頷いてみせる。


 エリスは少々驚いた表情を浮かべるも、アリシアに応えるように同じく小さく頷いた。


(エ、エリス様にまで先を越されるのはまずいわ……!)


(や、やんっ! レムくんがまた他の女の子に染められちゃう……♡)


 アリシアとエリスの様子を見て、マイカが焦燥感に駆られる。

 その横でアンリが同じく焦燥感に駆られる……とともに、頬をほんのりピンクに染めて、程よくむっちりした太ももモジモジと擦り合わせている。


「む、むぅ……」


 そんな声を漏らしながら、アンリから視線を逸らすユリウス皇子。

 豪快で正義感溢れるイケメン勇者皇子だが、なかなかに純情らしく、アンリの悩ましげな仕草は彼の目には毒だったようだ。


 そんな中、レムは女性陣の思惑を理解できずとも、何かを感じ取ったのか小さく身震いするのであった。


 それはさておき。


「と……ところで、エリス様、最後の四魔族ダンタリオン復活の件はどうなりましたか?」


 レムがいよいよ本題へと話題を移す。


「聖魔王様からの預言によると、ダンタリオンの復活にはまだ時間がかかるようです。なので、明日から迷宮の攻略を始め、復活のタイミングで討滅……もしくは再封印できればと思っています」


 レムの問いかけに、先ほどとは打って変わって真剣な表情を浮かべながら状況の説明を始めるエリス。


 文献によれば、ダンタリオンは四魔族の中でも特に強力な個体だったという。

 復活のタイミングに合わせて攻撃・再封印を仕掛けても苦戦することは必至だろうという予想される。


 その後も今回の作戦の会議は長時間続き、解散となったのは日が暮れてからだった。

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