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勇者パーティをお払い箱になった霊装騎士は、自由気ままにのんびり(?)生きる  作者: 銀翼のぞみ
三章

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67話 養子縁組とお姉ちゃん

「おぉ! それでは正式に話を受けてくれるのだな……!」


 レムとヤエが結ばれて数日が経った日のこと――


 夕食の席で侯爵が瞳を爛々とさせながら嬉しそうな声を出す。

 それに対し、レムが……。


「ぼくなんかでよろしければ、ぜひに。ヤエさんとも話し合わせていただきました」


 少し恥ずかしそうにしながら、侯爵に応える。

 その際にヤエと視線を合わせ、互いに少しばかり頬を染める。


 以前侯爵から受けていた婿養子の話――


 ヤエと結ばれたのだから、男としての責任は果たさなければならない。

 そんな思いを彼女と話し合い、正式にお受けしたいと、侯爵に打ち明けたのだ。


「こうしてはおれん! すぐに養子縁組の手続きをしなければ!」

「くすっ……レムさんがヤエの旦那様に、そして私たちの息子になってくれるなんて、今日は素晴らしい日ですわ」


 レムの返事を聞き、侯爵はすぐさま諸々の手続きの準備を始めるように、使用人に指示を出し始める。

 その隣で、彼の妻であるカスミ夫人は上品な笑みを浮かべながら、喜びを露わにする。


 婚姻など、一切興味を示さなかった愛娘が、レムのような高潔な少年の花嫁になる――二人ともその事実がたまらなく嬉しいのだ。


「ふふふ……これで正式にヤエさんはご主人様の伴侶に。わたしのハーレム計画が着々と進んでいきます♡」

「ど、どうしよう……アリシアさんだけじゃなくて、本当にヤエさんにまで先を越されちゃった……」


 同席していたアリシアが小さく呟き、ほくそ笑む。

 レムにとって大切な女性を増やすためのハーレム計画、それが目論み通りに進んでいることに満足顔だ。


 そして同じく同席していたアンリが、アリシアとは反対に焦った様子を見せる。

 まさかまさかとは思っていたが、本当にヤエに先を越されてしまった――

 レムを愛する一人の女性として、焦らずにはいられないというものだ。

 まぁ、その割には頬を染めて太ももをモジモジと悩ましげに擦り合わせているのを見るに……相変わらず難儀な性癖――もとい性格である。


「それではレム、今日からそなたは正式に我が息子となる。これからは〝レム・サクラギ・リューイン〟を名乗るのだ」

「はい! 孤児であるぼくを受け入れてくださり、本当にありがとうございます。家の名に恥じぬよう、精一杯頑張ります」


 元気よく返事をするレム。

 そんな彼に、侯爵もカスミ夫人も優しい笑みで大きく頷く。


 正式な手続きには少しばかり時間がかかるが、これにて今日からレムは侯爵家の一員となったのだ。


「ふっ……レムちゃんが結婚できる年齢になるまで、私たちは姉弟となるわけだ。お姉ちゃんにいっぱい甘えていいからな♡」

「ヤ、ヤエさん、流石にそれは恥ずかしいです……」


 この国――アウシューラ帝国では、男性は十五歳で成人を迎える。

 それまでレムは養子――ヤエの弟となる。


 ただでさえ可愛いレムが自分の弟に……。

 そんなシチュエーションに、ヤエは興奮を覚え、レムの頭を撫でながら弟として甘えるように言ってくる。

 レムは言葉通り、恥ずかしそうに頬を赤く染めながら、答えるのだった。


「姉と弟プレイですか……ありですね。ヤエさん、今夜はそのシチュエーションで、三人で〝遊び〟ましょう!」

「いいなアリシア! よし、今日は寝かさないからな、レムちゃん♡」

「ず、ずるい! 私だって、ママと息子でイケナイことたくさんしたいのに……!」


 姉弟という言葉を聞き、アリシアはさっそく今夜の戯れ方をヤエに提案する。

 両親の前だというのに、ヤエはそれに大ノリだ。

 その横で、アンリまでもが心に秘めた願望を暴露し始める。


 あまりに素直な三人に、ただでさえピンクに染まっていたレムの頬の色が真っ赤に変わる。


「ふははは! よいぞよいぞ! その調子で優秀な子どもをドンドン作るのだ!」

「侯爵家の未来も明るいですわね、あなた……!」


 貴族として、優秀な血を家系に入れるのは大変喜ばしいことだ。

 侯爵もカスミ夫人も大喜びでドンドン〝ヤれ〟と推奨する始末。


 恥ずかしさを通り越し、レムはガックリと、うな垂れるのだった……。



「さぁ、ご主人様……アリシアお姉ちゃんにたくさん甘えてくださいね♡」

「ふふっ……ヤエお姉ちゃんもいるからな? 大丈夫だ、全部任せておけ♡」


 食事を終えてしばらく、レムの寝室で――


 それぞれ風呂で身を清め終わったアリシアとヤエが、ベッドに座るレムの左右に腰掛け、体を密着させながら彼の耳元に囁きかける。


 その際に、左右から二人の大きく実った双丘が、むにゅんっ! とレムの腕に当たる。

 二人は生地の薄いベビードール一枚を身に纏ったのみだ。

 おかげで胸の柔らかさがこれでもかと伝わってくる。


さらに、密着されたことで、二人の体から石鹸の匂いとともに甘いフェロモンが漂ってくる。

 そして耳元に吐息とともに、優しい声色で「お姉ちゃん」という魅惑の単語を囁かれたことで、レムは思わず「ふぁ……」と可愛らしい声を漏らす。


 そんな彼の反応を、アリシアとヤエは嗜虐的な……それでいて慈愛を感じさせるような表情で小さく笑う。


 きっと今夜は長くなることだろう――


 …………ちなみに、隣の部屋でアンリが三人のやりとりに聞き耳を立て、悲しみと興奮の渦に叩き込まれているのだが……それはさておく。

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