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勇者パーティをお払い箱になった霊装騎士は、自由気ままにのんびり(?)生きる  作者: 銀翼のぞみ
二章

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44話 さらに誘惑

「おいこら! 人の店で発情してんじゃねぇぇぇ!」


 興奮した様子で頬を染めるアンリ。

 そして彼女の前に跪き、誘惑されそうになるレム。

 そしてその様子をニヤリと笑いながら眺めるアリシア。


 そんな三人の耳に、怒声が響く。

 この店の女店主、ガルガンのものである。


 その声に、レムはギリギリのラインで「はっ……!」と我に返ることに成功する。


「あんっ……あともうちょっとだったのに……」


 アンリは悩ましい声とともに、吐息を漏らすのだった。


「そんなことよりレム。どうだ、装備の着心地は?」

「はい! すごくいいです。でも本当にこんな装備をいただいてしまっていいんですか、ガルガンさん?」

「当たり前だ。何たってお前はこの都市の英雄だからな! それくらいサービスしてやるよ。……もっとも、まだ試作の段階だから、本来の性能を上手く発揮できねえぇと思うが……」


 レムも装備を新調した。

 左腕のガントレットをガルガンの試作品に変えたのだ。

 素材は鉄にオリハルコン……それにごく少量の〝ヴィブラウム〟と呼ばれる稀少金属を含んだ合金製だ。


 ヴィブラウムとは、あらゆる衝撃を吸収する特性を持つ金属のことだ。

 少量とはいえ、それを含んだ武具の防御力は絶大なものになるだろう。


 ところで、ガルガンの試作という言葉だが……ヴィブラウムは一流、それこそガルガンでも足元にも及ばないような技術とスキルを持った〝アーティファクトスミス〟と呼ばれる鍛冶職人たちが加工すれば、吸収した衝撃を逆に放つことも可能にする。


 ガルガンはアーティファクトスミスではないため、その性能を完全に引き出すことはできないが、それでも極低い確率ではあるが、衝撃を放てるように加工したのである。

 もっとも、発動するかどうかわからないものを実戦で試すわけにはいかないので、ただの防御力の高い防具として運用するのが良いだろう。


 そして、そんな稀少な金属を含んだ防具を、なんとガルガンはレムにプレゼントしてくれたのだ。

 自分の住まう都市を救ってくれた英雄に、一市民として礼をしたいとのことだった。


「それにしても驚きました。まさかガルガンさんの師匠が、アーティファクトスミス、〝ヴァルカン〟様だったなんて……」

「ああ、師匠のおかげで、俺もここまで成長できたからな……弟子にしてくれて、師匠には本当に感謝してるぜ。師匠……今頃はどうやって過ごしてるかな……」


 レムの言葉に、ガルガンは遠い目で言葉を漏らす。


 アーティファクトスミス――ヴァルカン。

 この世に数人しかいないアーティファクトスミス、その中でも最高峰の腕を持つ国宝級鍛冶職人の名だ。


 そんなアーティファクトスミスのもとで、ガルガンは数年間修行を積んだ経験があるらしい。

 通りで、通常の鍛冶職人では加工することすらできないと言われているヴィブラウムを、本来の機能は不完全とはいえ防具に仕上げてしまえるわけである。


 新たな防具も手に入れたところで、レムはアリシアたちの装備代を払い、武具店を後にする。



「ねぇ、レムくん……さっきの続き、したくない……?」

「シ、シスター……またそんなことを……」

「ふふっ、ご主人様、ここなら誰の邪魔も入りませんよ? アンリに甘えちゃいましょう……♡」


 家に帰り、レムが部屋のソファーに座ると、左右にアンリとアリシアが座り込み、密着しながらレムを誘惑し始める。


 今日のアンリは本気だ。

 何としてもレムを落とすつもりなのである。


 密着されたことで、レムの両腕に二人の柔らかな胸が押し付けられる。

 レムはせめて、二人の胸から視線を外そうと下を見るのだが……それは間違いだった。


 アリシアはミニスカメイド服、そしてアンリはミニスカ修道服。

 二人の程よくムチっとした太ももを見てしまい、レムの頬が赤く染まる。


「レムくんったら可愛い……。ママの太ももを見て赤くなっちゃうんだ……♡」

「ふぁ……耳に息吹きかけないでよ……そ、それにママって……」


 レムの耳に、口を寄せながら甘い声で囁くアンリ。

 彼女の息が耳にあたり、レムが蕩けたような声を漏らす。


 そして、〝ママ〟という言葉が効いてしまったようだ。

 アンリは初恋の相手であり育ての親でもある。

 そんな彼女に、母としてそして女性として誘惑されてしまったことで、レムは甘えたい感情と劣情を同時に覚えてしまう。


「ご主人様、いいんですよ? たくさんママに甘えましょう……?」


 反対側ではアリシアがレムの耳元で囁きながら、彼の頭を優しく撫でる。

 アリシアにこうされると、レムは体が勝手に脱力してしまうのだ。

 今までアリシアに甘やかされて生活してきた結果である。


 ぽよんっ!


 脱力したレムの後頭部が、アリシアのバストの中に埋もれる。

 そして、その隙をアンリは見逃さなかった。


「はぁ〜い、ママのおっぱいでちゅよ〜♡」


 甘い声で言いながら、レムの顔面に自分の胸を押し付け、強制ダイブさせてしまう。


「んむぅ……っ」


 レムがくぐもった声を漏らす。

 後頭部にはアリシアの胸、顔面にはアンリの胸――

 二人の甘い匂いと温もり、柔らかさに包まれ、とうとう意識が朦朧としてきてしまう。


(ふふっ……今日こそレムくんを……っ♡)


 無抵抗なレムの様子に、アンリは勝利を確信する。

 そしてそのままレムの顔を胸の中から解放すると、ちろりと舌舐めずりして、湿った唇を彼の唇へと近づけていく。


 そんな時だった……。


 コンコンコン――


 玄関から、ノック音が響いてきた。


「お、お客さんだ……!」


 外からの音に、レムの意識が急速に覚醒する。

 そして二人を押しのけ、ドアの方へと向かっていく。


「そ、そんなぁ〜!」

「あとちょっとだったのに……!」


 ガルガンの店に続き、まさかここでも邪魔が入るとは――


 アンリは涙目になりながら、アリシアは歯ぎしりをしながら、レムの後ろ姿を目で追うのだった。

【お知らせ】

書籍版『女勇者に自分の性奴隷にならないとパーティを追放すると脅されたので離脱を選択します』の詳細を活動報告にUPしましたので、そちらもぜひご確認お願いいたします。


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