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「それで、本題なのだが、なぜ俺はこんなところにいるんだ?」

 いらない問答のせいでいらない話を長々としてしまい、ようやく本題に入ることが出来た。

「あれ、君は推薦されてきたのだから、説明受けてるでしょ?」

「推薦?」

 そう言うと、ちびっ子は面倒くさそうな顔をして、「サボりやがった」 とつぶやいた。

「サボり? つまり、どういうことだ?」

「ま、まあいいわ。最初から説明すると、貴方は勇者にふさわしいものとして、他の世界の神から推薦を受けたの。それで、ここは貴方が真に勇者にふさわしいか審査する場所」

 色々聞きたいことができたが、ちびっ子は右手で制した。

「勇者、って言うのは簡単に言うと神々の戦争の駒よ」

「駒、って事は何かと戦わさせられるのか?」

 戦うのは上等だが、使い潰されることだけは避けたい。

「そうよ。戦う相手は昔私たちが滅ぼした邪神アンラ・マンユの破片である魔王たちと、他の神々が召喚した勇者よ。召喚って言うのは神々が貴方のように他の世界から人を呼び寄せることよ」

「……なるほど?」

 ここまではぎりぎりついていけている。ただ、邪神という響きがいかにも悪そうなので魔王と戦う理由は分かったが、なぜ他の勇者と戦わなければならないのか理解できない。

「魔王と戦うのは、放っておくと世界が滅びかねないから。他の勇者とは別に戦わないでいいけれど、戦って勝てばそいつを召喚した神から概念を奪って召喚主の神に送られるから、推奨、ってところね」

 何を言っているのか分からないが、そういうものという認識で良いのだろう。

「それで、ここでは貴方にスキル――神の力の一部を授けるための準備で、今貴方が持っている能力は何か調べて、その結果からそれに関係したスキルを与えるの」

「能力、と言われても俺は刀が使えるだけの一般人だぞ」

「あ、ごめんね。能力、といってもそれは貴方の出来ることをスキルに直したときどれくらいになるか見るだけよ」

「そのスキル、ってのも何なのか良く分からないのだが……」

 さっきから分からないことだらけだ。こんなので異世界に行って大丈夫なのだろうか。

「んー、スキルって言うのは、神が与えた特定の行動に対する技量を数値化したもので、レベルという形で1から10までで表示されるの。そして、その数字が大きくなるほど、物理法則を無視できるようになるの。といってもほんの少しだけだけれど」

「ほう」

 物理法則を無視できる、というのはなかなか魅力的だ。

「では、調べてくれ」

「……言っておくけど、調べるといっても思考を読むのとあまり変わらないのよ。それでもいいの?」

「構わん、やれ」

「じゃあ、やるね。『鑑定』」

 そう言うと、ちびっ子は引きつった顔で固まった。

「……どうした?」

「い、いやあ……オドロイタダケダヨ」

 そう言った声もどこかおかしい。

「……なんなら、見てみる」

 そう尋ねてきたので、「当然」 とうなずいた。

「じゃあ、行くよ。『可視化』」

 ちびっ子がそう言うと、俺の目の前に蒼白く光る一枚の板が現れた。



   ~ ~ ~


・名前 大和 健太  ヤマト ケンタ 

・年齢 16歳

・種族 鬼神

・能力 【刀術 lv.18】【棒術 lv.5】【体術 lv.14】

    【短剣術 lv.7】【銃剣術 lv.6】【狙撃 lv.9】

    【根性 lv.10】【持久力強化 lv.3】【超回復 lv.8】

    【感覚強化 lv.5】【精神力強化 lv.10】【自己狂気支配 lv.12】

    【全状態異常耐性 lv.7】【直感 lv.6】【観察 lv.7】

    【威圧 lv.10】【切断 lv.12】【神威殺し lv.8】

    【概念殺し lv.2】【裁縫 lv.2】【調理 lv.4】

    【環境適応 lv.4】


   ~ ~ ~



「……おい」

 そう言った声は意図せず低いものになってしまった。

「ひゃいっ!?」

 ちびっ子は奇声を上げて涙目になり、ガタガタ震えだした。

「そこまでビビらなくて良い。とりあえず、なぜ能力以外が表示されている?」

「そ、それは……お、怒らない?」

 そう言ったちびっ子があまりに可哀想な姿だったので、笑みを浮かべてこう言った。

「ああ、怒らないとも」

「怒ってる! 絶対怒ってるよぅ!」

 とりあえず、ちびっ子が落ち着くのを待ってから再度聞くと、こう答えた。

「そういう仕様だってこと忘れてました。ごめんなさい」

「初めからそう言え」

 ため息をつく。間違いは誰にでもあるものなのだから、そんなことで怒りはしない。……あんまりは。

「仕様なら仕方ない。それで、とりあえずこの『種族』って所の『鬼神』って何だ?」

「『鬼神』って言うのはこっちの世界で武道などを極めている人が自動的になる種族のこと。まあ、姿形が変化したりはしないけど、筋力が強くなるわ」

「ほう、それは良いな」

 筋力が強い、と言うのは武道をやる上では必須のことだ。それがさらに強くなるのは、技量さえあれば良いアドバンテージになる。そして、問題はここからだ。

「それで、このれべる? とやらが俺には10以上あるように見えるのだが、これはどういうことだ?」

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