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投稿ミスしてましたので修正しました。

前に一話増えてます。

 上空二千メートル、この清浄な空間を、俺は高速で飛行している。今日こそ、あいつを倒すのだ。

「ふふふ……」

 二度目に倒すと誓っておきながら、ただの偵察で済ましてしまったことが、大きなフラストレーションになっている。勝つためには必要なことだったとあきらめようとはしてはいるのだが、そう簡単にはあきらめきれていない。溜まりに溜まった戦闘への熱で頭がくらくらするが、今回は狂気に任せない。そんな戦い方で勝てる相手ではないことは良く分かっているからだ。

「お」

 やつがレーダーに映りだす辺りまで来ると、いつか感じたものと同じ視線を感じた。今まではこの辺りから高度を下げていっていたが、今回はまだ下げない。薄く雲がかかっているせいで見えないが、やつがツタを生やして待ち構えているのが分かる。やつが醸し出す殺気に心が震える。前回までは、殺気は感じられなかった。今回は、やつも本気なのだろう。

「これだ、この感じだ。戦場はこうでなくては」

 殺意と運命が絡み合い、混沌が場を整え、そして俺たちは自分の持ちうる全てを賭ける。狂気が渦巻き、正気が空気を冷やす。ようやく、やつも戦場まで降りてきたのだ!俺を強敵と認識したのだ!

「クハハハ」

 これでようやく殺しあえる。これでようやく本気で戦える。出来る準備は全てした。出せる策は全て考え尽くした。あとは戦うだけだ。殺しあうだけだ。さあ、

「行くぞ!!」

「Gurooooooooo!!」

 俺はやつの真上辺りから急降下すると同時にレーザーキャノンの砲身を展開し、やつがいるであろう方向に向ける。数秒で雲を抜け、視界がクリアになると、地を埋め尽くさんばかりのツタの群れが視界に入り、その中央にやつが鎮座していた。一斉に向かってくるそれらを、アサルトライフルをばら撒いて間引き、やつとの間に邪魔をするように割り込んできたツタをミサイルで排除する。それでも抑えきれず、こちらに向かってくるツタは増えるが、無視。降下を始めて十秒にも満たないうちにやつに衝突しそうになるが、サブブースターで急制動をかけ停止する。

「Guooooo!?」

 蒼白い半透明の壁が俺とやつの間にあるが、それでもサブブースターの排煙は幹を焼き、やつの枯れた幹は燃え上がる。だが、やつは悲鳴を上げながらもツタを俺に殺到させた。その闘志に感動する。

「今だ!」

 俺はその瞬間、エネルギーシールドにありったけのエネルギーを送り込む。限界をあっさり超えたエネルギーシールドは、力場に従って外へと広がり、大爆発を起こした。結果、殺到していたツタは全て吹き飛ばされ、蒼白い壁は粉砕され枯れ木の幹は中ほどで折れて吹き飛んだ。

「よし!」

 俺は内心ガッツポーズをしながら残った幹を根元までレーザーブレードで切断し、出来た切り株に垂直になるようにレーザーキャノンを叩き込む。高温の粒子は切り株を蒸発させ、地面に穴が空く。俺はそれを確認する間もなくミサイルを穴へと撃ち込み、クレーターを作る。さらにミサイルを撃ち込みながら迫り来るツタを旋回しながらアサルトライフルでなぎ払い、チャージが終わり次第レーザーキャノンをクレーターに打ち込んではミサイルで拡張する。

「やはり、か」

 クレーターの内側はもぞもぞと気色悪く動き、元に戻ろうとしているがミサイルのせいで再生できずに吹き飛ばされる。そして、ミサイルを妨害しそうなあの蒼白い透明な壁は現れない。前回観測したデータから、こいつは幹の部分の再生中にはあの壁を出現させることが出来ないことが分かっていた。アン曰く、同じエネルギー源を利用しているせいだとか。ついでに、こいつは壁を出すよりも幹の再生を選ぶことも経験的に分かっている。そして、一番重要なことなのだが、こいつの本体は幹の下に埋まっているらしい。そのせいか、今までないほどの気迫でツタが迫ってくるが、アサルトライフルの暴力の前に沈黙していく。

 嬲るようにレーザーキャノンとミサイルを叩き込み続けると、蒼白く光る球体が出てきた。不思議なことに、俺はそいつが本体だとすぐに分かった。

「吹っ飛べ」

 レーザーキャノンを敬意と共にそいつに叩き込むと、球体は砕け散る。すると、何かに殴られたかの様な衝撃と共に宙高くに放り投げられた。

「何だ!?」

 何とか姿勢を制御して地上を見ると、不可視の衝撃波のようなものが地面を走って木々をなぎ倒し、やつがいた辺りが大きく陥没していくのが見えた。勝ったのだ。急激に戦闘の熱が抜けていき、僅かな寂寥感が残る。振り返ってみれば、完勝、といえるだろう。だが、間違いなくやつは強敵だった。これが前回まで通り高度を徐々に下げていっていれば、間違いなく途中でやられていただろう。エネルギーシールドの爆発で吹き飛ばせたツタがもう少し少なければ、嬲られたのは俺のほうだろう。演習場で散々地面にぶつかった甲斐があった。

「眠れ、安らかにな」

 俺はそう言ってその場を後にした。

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