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小説を書く練習をする。  作者: 上松
2/9

2、自己紹介をする

よろしくお願いします

「僕はこの高校に通う上松、文芸部に入って早一年……最初は小説のしの字も分からなかった僕だけど、分からないなりにそれらしきものを書き始めている」


「え、何どうしたの急に」


「それに今では仲間も出来た、もちろん文芸部である、彼女は竹中さん……あー彼女と言ったがまだ付き合っている訳ではない」


「あ?」


「……これからも付き合う予定はない」


「何なのとうとうおかしくなったの」


「いや、読者に自己紹介しとこうかな、と思って」


「上松君自己紹介否定派じゃなかったっけ」


「何だよその派閥知らないよ、まあでも、とにかくこっぱずかしいってのは分かった」


「恥ずかしいなら止めときゃいいのに……」


「でもほら、僕等が高校生って設定とか、場面が学校であるって設定は早めに提示しておいた方がいいだろ」


「誰によ」


「読者に」


「あ~、まだその設定続いてたのね」


「これが続く限りこの設定は生き続けるよ」


「もう好きにしたらいいわよ、でどうだったの」


「何が」


「自己紹介してみて」


「僕には合わないなって思った」


「やってみた感想がそれなの?」


「面目無い」


「本当、上松君って優柔不断よね、そんなんだから遅筆だしすぐスランプになるのよ」


「うう……」


「自分設定に付き合わせて自分勝手だし、やってみて結局合わないとか頑固者だし、今日だって真っ直ぐ部室来なかったでしょ、時間にルーズなのも物書きにとって天敵よ?」


「返す言葉もありません……」


「本当愚図でのろまで、小説も全然上達しない上に個性も無いし、救いがないわ!」


「君は僕をどうしたいんだ、もう死にたくなってきた……」


「こんなもんでどう?」


「はえ?」


「はえーじゃないわよ、自己紹介でしょ?」


「うん、え?」


「私がやってあげたわよ、上松君の紹介」


「僕をけなして扱き下ろす事がどう自己紹介に繋がるんだい」


「私が上松君をけなす事で、情報が増えたでしょ」


「僕が傷付いただけのような気がする、何かあったっけ」


「優柔不断で頑固だとか、遅筆で愚図でのろまでどうしようもないとか……」


「僕はもう君が何を言っているのか分からないよ」


「つまり、一人称の主人公が自身のキャラクターを伝えられればいいわけでしょ」


「そんな話だっけ」


「ずっとその話でしょ」


「うん、そうだっけ、そんな気もする」


「何でちょっと涙目になってるのよ……それでね一人称だって別に自己紹介しなくったって、他の人物に紹介させたって良いじゃない、って事」


「それで僕を散々扱き下ろしたのか」


「あと上松君は根に持つタイプね」


「ぐぬぬ……」


「だからまあ、流れで上松君の悪口みたいになっちゃったけど、例えが悪かったわね」


「それじゃあまるで僕が本当に優柔不断で頑固で、あと何だっけ?」


「まあ良いじゃないの、謝ってるでしょ?」


「謝ってない」


「そうだっけ」


「謝ってない」


「まあいいじゃないの」


「謝って?」


「……ごめん、ちょっと怖いわよ」


「僕を怒らせると、ヒロインの座から引きずり下ろすぞ!」


「え、何私がヒロインなの?」


「だってここ君と僕しかいないし」


「嫌よ、創作なんだから新キャラ出してオリジナル展開でも何でもすればいいじゃない」


「それは何か違うよ、と言うか君がそれ言うんだ」


「ちょろいヒロインキャラとかまっぴら御免だわ!」


「まあ君はそんなキャラじゃないよね」


「だから私ヒロインじゃないから」


「じゃあ何なの」


「主人公?」


「僕は?」


「助手でいいんじゃない」


「……」


「……」


「これ僕の作品なんだけどな……」


「もうそれで話が上手く進むなら良いじゃないの、そんな細かい事はどうでもいいわよ」


「どうでも……よくにゃい……」


「とにかく、自己紹介の話でしょう?」


「何かもう、逆にそっちがどうでも良くなってきたよ」


「どうでも良くはないでしょう、どの作品でもほぼ必ずと言って良いほどやらなきゃいけない事だし」


「もうさらっと雰囲気で出せちゃえばいいんだけどね」


「そうね、それが一番かしらね、でもそれが難しいんでしょう?」


「そうなんだよ、新入生だとか転校生だとか、新しい環境に身を置くという設定なら自然に自己紹介の流れに持って行けるんだけどなー」


「書きたい部分が必ずしもそこから始まらなくても良い、となると違和感かしら」


「転校してきた主人公、自己紹介を終えると、突然異世界へと飛ばされるのであった……」


「上松君異世界転生好きよね」


「好きだけどそれが何か?」


「いや別にいいけどさ、その展開だとやっぱり自己紹介場面が読者に対する主人公の自己紹介の為だけに用意された場みたくなっちゃうわね」


「ごめん分かんない」


「だから、自己紹介をする場面から事件が発生する理由付けが必要になってくるのよ、理由なんてなかった、っていう理由でもいいんだけどさ」


「転校生が来る事によって引き起こされた事象であるべきなのか」


「そこで転校生、というプロフィールを生かした世界作りが必要ね」


「そうだね、主人公だけでもいいけど、クラス全員や一部が転生してもいいしね」


「そう、転校生以外がそもそも異世界人だった、とか、先生が黒幕だった、とか最初に考えておくとなるべく最初から矛盾なく始められそうね」


「それ面白いね」


「でもそういう設定は最初に出しちゃだめ、面白くないでしょう?」


「う~ん、そうか……」


「っていうかさ、異世界転生が起きてしまう理由とか考えてる人いるの?何神様の手違いって、何か独特なキャラの自称神様出てくると私笑っちゃうんだけど」


「それは……ちょっと言葉選んで!」


「で何で美少女とかなのあれ、作者の願望ダダ漏れじゃない、最高神は普通爺さんって相場が決まってるのよ!」


「ちょっと、それもどうかと思うけど、って話どんどんズレてるよ!」


「ああ、そうねごめん」


「一人称が……なんだっけ僕もうよく分からなくなってきた」


「話振っておいてそれなの?」


「面目無い」


「まあ、まとめるとですね……」


「お願いします」


「学生なら後輩とか先輩とか先生とか、あと親兄弟か、違う立場の人物登場させて主人公と絡ませなさい、そうすれば主人公のキャラがどんどん出来てくる」


「そんな話したっけ」


「したようなしてないような」


「えー」


「まあ結局これじゃないのって思うけどね、ライバルとか出すのも主人公のキャラ立たせるためのテンプレみたいなものでしょう?」


「それは概ね同意だ」


「でしょ、でこの話はおしまい」


「何か腑に落ちない」


「なにが?」


「分からないけど、AかBかと問われて答えがCだった気分だ」


「いいでしょDとかFじゃなくて、答えが無いって答えでもなかったんでしょ」


「それはまあそうだけど」


「じゃあおしまい」


「……はい」

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