友が恋愛に走ること。
「おう、ひ、久しぶり~」
いや、今思ったが。間の抜けた男だな、彼は。
じゃなくて、本題に戻る。
舞台は近所の夏祭り。
時は日が暮れ暗い頃。
……。
結論から言えば、彼はこの時に目標を遂げる事はできなかった。
何故なら、彼女が彼らと会って間も無く、どこかへ逃げてしまったからだ。
「はあっ⁉」と思った方。
正解です。その反応は至極当たり前の物だ。
もちろん、彼らだって驚きました。なんせ、逃げられたんですよ?
まだ告白の『こ』の字もしていないのに。
さて、彼女が夜の闇に紛れてすぐに、彼らの知る顔が現れました。
何、彼の物語に関しては脇役だ。ただし、この場面のキーマンですがね。
現れた少年は、小学の頃、彼女と付き合っていた男でした。少年は何人か友達を連れ、話しかけてきたんです。彼女の名前を出して。
「◯◯を見なかったか」などと。
中学生。厨二病なんて言葉の写し鏡よ。勘違い甚だしい。
まあ、確かに悪役の台本通りっぽい台詞だったが。
ただ、嘘はつけなかった。
彼の友人が素直に答えた。
「チラッと会ったけど、どっかいった」
そうすると少年達はすぐにどこかに行った。
さて、皆さんは彼がこの後どうしたかわかるかな。
もちろんお約束。
走り回って探した。彼女を。
でも見つからない。車の影から家の裏まで探した。
そもそも、アドレスすら訊けていない。なんとか見つけて、なんでさっきの少年から逃げたのかを聞いて、自分の言いたい事を……。
ついてない。
だって、見つからない。
四十分くらい探しただろうか。
それでも、彼女はいない。
彼は冷静に考えた。
『どうすれば連絡がとれるか』
簡単だ。本人以外でも、知ってるやつは知ってる。
この時、彼にルールや礼儀を考える余裕はなかったんだろうな、きっと。
彼はケータイを手に、知り合いの女子から無条件で彼女のアドレスを入手した。色々な相談を受けてる以上、それをダシにつかえば容易にそれは手に入った。
……、ヘタレよ。
どうしてそこでケータイを仕舞う⁇
いや、メールしろよ。今すぐに。
なんて、私は思ったんだが、彼は色々と整理する時間が欲しかったそうな。
そして、波乱の夏祭りは、二日目を迎えようとする。
そろそろ終わるんじゃ…?