Beloved Syndrome
私の名前は
「璃里」
、今私の体は重い病に侵されている、
その病名は
「恋」
彼に恋をしたのはつい最近、
彼は同じ学校の1つ歳上の先輩で廊下ですれちがった時、恋に落ちた。
一目惚れと言うヤツだ。
彼の事を想うと食事も喉を通らず、睡眠時間も削られ、心拍数は上がりっぱなしだ。
しかしこの締め付けられんばかりの緊張感がタマラナイのである。
コレ程スリリングな事が他にあるだろうか?
戦場に居る兵士の気分だ。
ココ最近で彼についての情報はかなり集まった。
写真もGETしたし、趣味も好きな食べ物も好きなア〜ティストだって知ってる。
実は家も知っている。
彼の帰り道を尾行したのだ。
ココまで来るとスト〜カ〜じみてはいるが、私は気にしない。
恋にル〜ル等無いのだ。御守りを買ったり、写真を枕の下に入れてみたり、ケシゴムに名前を書いてみたり、恋愛祈願から簡単なおまじないまで思いつく限りの事は全て試した。
こんなに彼の事を想っている自分に酔いしれるのもまた一興である。
日が経つにつれ、私の病状は悪化の一途を辿る。
もう食事が喉を通らないやら睡眠時間が削られるどころの話ではない。
体は熱を持ち、絶叫しながら走り回りたいぐらいだ。
自分で言うのも何だが、勉強もスポーツもソコソコ出来て性格もスタイルも良い、顔だって悪く無いと思う。
自惚れもはなはだしいが私はそう思っている。
今夜も緊張で破裂しそうな胸を押さえながらベッドに入る。
長い夜になりそうだ。
翌日、眠たい目を擦りながら学校へ行く。
昼休み友達と昼食を取って居ると知らない男の人が私に話かけて来た。
なんと、例の彼から伝言を預かって来たと言う、放課後学校の裏の公園で待っているとの事。
この恋はクライマックスに差し掛かって来た。授業なんて耳に入らずひたすら時計と睨めっこ。
心臓の音が他の人に聞こえていないかと考えると余計胸が高鳴る。
いよいよ授業の終わりを告げるチャイムが聞こえる。
先に公園に着いてしまうのは恥ずかしいので少し友達と雑談しながら時間を潰す。
「そろそろか.....」
頃合いを見て友達と別れ公園を目指す。
公園には予定通り既に彼が待っていた。
とりあえず近くのベンチに二人で座る。
彼は言い出すタイミングを計って居るのか何やらソワソワしていてそれを見て居る私もソワソワしている。
「璃里さん、実は前々から君の事が好きだったんだ、もし良かったら俺と付き合ってくれないか?」
・
・
・
とりあえずフった。
私は安らぎが欲しい訳でも温もりが欲しい訳でも無く、スリルが欲しいのだ。
人は私の事を変わり者だと言うが、私にとってそれは褒め言葉だ。
そう私はいつだって恋に恋しているのだ。
今夜はとても良く眠れそうだ。