keyB-2,3共通:存在確率0%:姉妹世界αー相対過去:相克する因果9-歪曲する因果8:寿小羽(黒)
後半、猫出てきますが、ピンとこなかったら無視してください。
後々、分かりますので。
あと、小羽ちゃんがバグってます。
それも、無視してくださいね。
keyB-2,3共通:存在確率0%:姉妹世界αー相対過去:相克する因果9-歪曲する因果8:寿小羽(黒)
燃え盛る城下を見下ろしながら、私はひどく冷静だった。
少し視線をずらせば、城からも浪々と零れ火が漏れだしているのが見て取れる。
あれほど活気で溢れていた城下は今や混沌の渦に沈んでいる。
そして、混沌をなすのは怒りや悲しみ、憎悪といった負の感情ばかり。
(今の私なら、皆を救えるのかしらーーー?)
私の瞳には、赤い炎と黒い炎。
紅蓮の火は町を這うようにして広がり、そのつど丁寧にあがく命を飲み込んでいく。
対して、闇色の炎はねっとりとした質感を持って、町を覆い尽くそうとしていた。
二つの炎は、全く持って異質。
赤き炎は民の体を焼き、黒き炎は民の心を焼く。
……たぶんあの黒炎は、私の力と同じもの。
誰かを憎む心がカタチに成った、誰かの心。
(この力なら、あるいは・・・・・・)
黒炎の闇は深い。赤き炎よりも遥かに、業が深い。故に。
……たぶんきっと、私の炎でならーーーー城下を蹂躙する彼の赤き炎達ですら、その色で塗りつぶせるだろう。
民を襲う賊どもも、ひとひねりで殺せるに違いない。
(この力で、民を救う。悲劇という過去を、変える。無かったことにする。
それが、今の私ならできる)
今私が動けば、民は救われる。
もちろん、我が家族も。我が、家臣達も。
私に愛をくれた者達を、今の私ならーーーー人の域を超えた私なら、理の外側から救い上げることができるはず。
それでも。
『ゆるされぬ』『過去は母親よ』『現在は赤子よ』
『過去を変えるは』「母を殺すと同じ事よ?」
ささやく友は、私を禁める。今皆を救えば、「『今の私』はいなくなる」と。
そうなれば、「ねぇ様に裁きを下すことすらできなくなる」ーーーと。
それでは、なんのために時を超えたのかとーーーまさしく、本末転倒だ。皆が諭すように、私は耐えねばならない。
なぜなら私は、「然るべき裁きを、然るべき者に与えるために」、ここに来たのだから。
その事を、違えてはならない。
たとえ、愛おしい民たちの断末魔が心をつんざくとしても、私は耐えねばならない。
そう、私自身の、使命を果たすために。
「はやく、ねぇさま……小羽は、ここです」
わたしは、切なる声で罪人を呼ぶ。
はやく、はやく、一刻も早くーーーー我がもとにて、そのツミをつぐなえと……
※
keyB-2,3共通:存在確率0%:姉妹世界αー相対現在-link-猫と日常:白色と旅人ーマイク(猫)&シロ
我が輩は猫である。ちなみに名前はマッカーサー。
有名な名無しの猫よりも、俺は有名人さ。この町、限定だけどな。
「ん!」
俺はユラユラと振っていた尻尾を三センチほど上に上げた。
すると、そのわずか数ミリ下を擦るように誰かの手が現れて消えて行く。
「あ、もう! また駄目か〜……マッカーサーのケチ!」
塀の上であくびをしつつ、俺を視線を下におろした。
眼下には、三人の女学生ーーーとはいえ、小3くらいのガキンチョなんざ、男女も関係ないか。
……まぁ、俺の個人的な意見はさておくとして、眼下のこいつらは一応、全員女だ。
そして、全員が全員そろいもそろって、女としてあるまじき格好で座り込んでいる。
「もう、絶対無理! もう、駄目だって!」
声の主は、桜だ。
こいつとも、もう、3年くらいの付き合いか?ご主人の世界から帰ってきてだから……そんなもんか。
しかしこいつ、変わらねぇな。未だにときどき、俺のこと「神様」とか「猫さん」とか呼ぶし。
(本当に平和だな、こいつら……)
両脇に座り込む友人たちに「はい、あと一回!」などとからかわれながら、肩を落としている桜を視ていると、心底想う。
桜のやつ、それはもう本当に残念そうに、まるで死刑宣告されて時の俺のみたいな顔してるしな。
……理由はなんとなく分からなくもないが。
「まだ一回チャンスは残ってる! ガンバ、桜!」
かしまし娘どもを見下ろしながら、俺は内心ため息をついた。
こいつら、「俺のシッポを掴めたら何事もうまくいく」ーーーなんて、そんな変なジンクスを、おもしろ半分で信じてやがる馬鹿どもだ。
まぁ、こんなことをこいつらが始めたのは、俺にも責任の一端がある。
当初は、シッポを掴もうと必死に手を伸ばすガキを塀の上から高見の見物ーーーと、要は、辛かって遊んでいただけだった、この娯楽。
けれど、どうやら難易度を高めに設定しすぎたらしい。あんまりにもシッポをつかめないもんだから、「マッカーサーのシッポをつかむと願いが叶う!」なんて、変な願掛けが、ガキどもの間で流行だした。
んで、このざまだよ。
おちおち、人目につくところじゃ寝れやしない。
んで、そんな幸運のシッポを求めるやつらの今日のお題は、「桜の告白は成功するかな、キャハ☆」らしい……
まったく、この年頃の女どもは花より団子じゃねぇのか?
(にしても、平和だな)
夕焼けに頬を染め、風に乗り流れてゆく雲を他所に、俺はもういちど桜を視た。
かつて、ご主人の世界で俺につきあってくれた、タマの、原型。
ーーーそして、タマの夢を引き継いだ者でもある。
「よし、もう一回! これで駄目だったら、諦める!」
「わたし、マッカーサーのシッポには全く興味ありません。ぜんぜんまったく、興味ありませんよ〜」とか、妙なことを口に出しながら、桜はあたりをキョロキョロ見回す。聞こえてんぞコラって、言ってやったら、どれだけ気持ちがいいか。
「ん! え?」
俺が空を見上げた好きに、桜は飛び上がった。
そして、見事、俺のシッポをつかむ。
ーーーー俺は大人だからな。
今でこそ猫だけど、こいつらより大人。
だから、子供の背中の後押しはしてやんないとな。
(たっく、お前らはそろいもそろって俺んとこに来やがるからな……しかも、こっちが聞いても無いことをべらべらしゃべるし。
てめぇの惚れたガキも、おまえのこと、まんざらでもなかったみたいだぞ。少なくとも、俺にはそう言ってたな)
桜は、掴んだ俺のシッポを繁々と視ている。
そして、その意味を理解した次の瞬間。
握りしめていたシッポを放り出し、「ぎゃーーー」と叫びつつ走り出した。
・・・・・・なんか変なスイッチ入ったぽいな、あいつ。大丈夫か?
(逃亡した桜を追いかける二人も、なかなかのもんだな。なにが何でも、面白い方向に持って行く気だろう。すくなくとも、あいつらの中では、「The 告白」のイベントが決定してるだろうから)
来たときも勝手なら、去るときも勝手。
突然の来訪者はこれまた突然、去って行った。ま、明日が楽しみだな。
とにかく、頑張れ桜。
ガキならガキなりに、楽しめる恋もあるだろうからなとーーーーー。
「ごめん、マイク、ちょっと来て。緊急事態なの」
そして、日常が失われるのは、いつも突然。
たいがい、そう言ったものは招かれざる来訪者によってもたらされる。
『え?』
文脈も脈略も無く、疑問は、湧く。
いきなり目の間に現れたのは、昔の兄妹弟子。
どいうわけか、俺の首根っこを掴もうとーーーー!!!!!
『ほんと、ごめん!』
去る者あれば、来る者あり。
昔の人は、よく言ったもんだ。
さて。
いや、もうだめかもしれんな、俺。
相対過去と、相対現在。
二つの時空の交差が、いよいよ始まります。




