keyB-2,3共通:存在確率0%:姉妹世界αー現在:アフターサービス2:シロ・アルトリアル・スヴァルツ
はい、シロさんただ働きの始まりです。
そして、状況確認です。所見の人はスイマせんが、たぶん、意味不明だと思います。
keyB-2,3共通:存在確率0%:姉妹世界αー現在:アフターサービス2:シロ・アルトリアル・スヴァルツ
移動魔法専攻の魔術師ことシローーーもとい私は、針のむしろのような環境で作業を進めていた。
現在私は、携帯用のゲート探索機で学校付近の「ゲート」のステータスを確認してる真っ最中なのだ。
ーーーわたしの探索機は、師匠のお下がりで、おんぼろだ。みてくれも、古めかしい(というか、古い)。なので、最初にこれを取り出したとき、「現クライアント」からは本当に大丈夫かと聞かれた。
……たしかに、わたしの探索機のゲート検出力は低いけれど、だからこそ、こういうときは重宝する。まぁ、新しくて感度がいい検出器っていうのはあるにはあるけど、それらはあくまでも検出シグナルを増幅して見やすくしているだけなので、いざ有用なゲート(ある程度の大きさの門)だけを探したいときなんかは、こっちの方がよっぽど役立つんだ!(別に強がりじゃないよ)
「え〜っと・・・・・・」
私を取り囲む人間は4人。
一人は東君で、彼とは二日前に一度会っているーーーが、いかんせん彼は昏睡状態にある。同様に、彼の恋人である伊吹由香さんもベッドに横たわり、昏睡状態。二人は、仮死状態にあるらしい。
そして、それは私の責任であるとーーー久遠さんと峰岸さん(彼らの学友らしい)は責め立てた。
・・・・・・若干、理不尽だと本人たちも思っているらしい。少しばかり申し訳なさそうな顔をしながらも(気のせいかも)、それでも、彼らは一歩も引かないという目で私を見つめていている。
「あなたなら、この門の向こうへとゆけるのでしょう?世界移動を専攻に学んだ魔術師ーーーそれが、あなただと!それは、栞の霊視で確認済みなんです!だから、こうして、私たちは……いくらでも対価は支払うつもりです。だから、二人を連れ戻して!!!」
必死の形相ですがる峰岸さんは、痛々しかった。溺れ行く人間が、藁に手を伸ばすーーーそんな、感じ。それを見つめるのは、久遠さん。彼女は彼女で、クッと唇を噛み締めながら、組んだ両の腕を握りしめている。
……どうやら久遠さんは、自身の霊視能力が失われたことに混乱しているらしい。今や、魂の抜けきた人形みたい。だからだろうか、峰岸さんががんばってる。
どうやら、現状から判断して私を呼び出したのも、彼女の案らしい。
ーーーーそれにしても、東君の友達が霊視能力者だというのは私も驚きだった。けれど、それとは無関係に、確かにこの状況では彼女の遡行視は無効化されてしかるべきだ。
「現状を報告します」
私はできるだけ声を低く押し殺して、彼女らと向かい合った。
ふたりとも、緊張した主面持ちで私を見つめている。
「栞さんの霊視ーーーいえ、現行視で確認された通り、二人の魂は学園上空のゲートを介して異世界へと転移しているようです。しかし、完全ではありません。魂と肉体は細いながらもパスを未だ維持していますし、転移先より魂を回収し現世界に持ち帰れば、二人は目を覚ますかと思われます」
二人は、目を見開くと同時に、ほっとした様子だった。
すくなくとも、友人二人が目を覚ます可能性を得たのだから、無理もない。けれど。
「しかし、問題があります。それは、転移法についてなのですが……単刀直入にいいます。
現時点では、ゲートの向こう側への転移は不可能です……はい」
ものすごい勢いで、にらまれた。峰岸さんに。
久遠さんは、相も変わらず唇をかびしめたまま。さっきから、峰岸さんとしか会話をしていない気がする。
そんな二人のうち、峰岸さんが口を開く。
「なにが、不可能なのか」とーーーー「門は、そこにある」そして、「あなたは移動魔法の担い手である」と。
「世界移動の魔法使いがいて、さらには目の前に次元の門があるというのに、なぜ、転移が不可能なのか」とーーーーその疑問は、ごもっともだと思う。けれど、できないものは、できないのだ。
「申し訳ありませんでした。私の言葉足らずだったようですね。
……訂正します。転移自体は、可能です。例えば、私自身がゲート先へと転移するのは、今すぐにでも
可能なんです。しかし、私がそれを成すことは許されません。
理由は、私がそれを行った時点でおそらく、時空が崩壊するからです」
この私の説明に、峰岸さんは「どういうことなの?」と、返してくれた。
ーーー変にヒステリーを起こされても困るので、正直彼女の返答にはほっとした。
わたしは、説明を続ける。
「これは、現在栞さんの遡行視が妨害されている原因の一つでもあります。
すなわちーーー」
ぴくりと栞さんが震えた気がしたが、それには気づかない振りをした。
なるだけ要点だけをかいつまんで、私はふたりに現状を伝えた。
<現状と、それより類推される事態の推移>
1.現在稼働しているゲートは、学園が保有するゲート012であることに間違いないこと。(人の転移には十分な大きさ)
2.ゲートの接続先は、この世界の過去に「近似される平行世界」であること。
3.(2)の理由により、重複する二つの過去(しかし、厳密には異なる)が現世界のアカシックレコード(一つの世界の記録基盤)に記録されつつあること。
4.1~3のために「確固たる過去」が消失し、過去が不安定化していること。そのため、通常の過去の形態よりはずれ、未来のように振る舞っていること(これが遡行視が不可能である理由ーーーというより、その事象より原因を類推した)
5.過去が安定化するタイミングは、平行世界と現世界が切り離されたとき。そのときに、世界は確定した過去にあわせて現世界の現在を再構築するであろうこと。
ーー上記が大局的な現状ーー
ーー下記が東君たちの現状ーー
6.二人(東君、伊吹さん)の魂は、ゲートを介して「過去」へと転移していること(ただし、体と魂はつながっている)。そのため、二人の目を覚ますことは可能であること。
7.二人の転移先はこの世界の過去であり(現世界(姉妹世界α)であることは間違いない(計測機器で検出)しかし、時間軸のポイントは「久遠氏の遡行視」より類推)、本来ならすぐにでも世界改変がおこってもおかしくないこと。
(ただし、二人の転移は魂(姉妹世界βの構成因子)のみであるため、彼らの転移が世界(α)に及ぼす影響が最小化されており(αとβは基本的に互いに干渉できない=近似して0)、なんとか現状を維持していること。
)
<二人を救い出す上での問題点>
救出者(この場合私?)がゲートを転移する際には、魂だけを転移させなければ成らない(そうしないと時空改変がすぐにでもおこる)。しかし、人間のα因子とβ因子を分離する方法を転移術者(やっぱりり私?)が持ち合わせていない(だって、それはキメラの人たちの専攻だし)。
「……で?それがなに?
代案は?」
……現状を説明して二人の救出は無理ですといってみたのだけれど、峰岸さんには「で?」っで、終わらされた。そして、代案を求められたーーーーーーどうしよう。
こんなの、私の手には負えないよ。師匠レベルじゃないと、こんなの、どうしようもーーー
次回は伊吹さんの視点です。
いままでサブだった彼女が、メインと成ります。