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無限想歌  作者: blue birds
86/145

KeyB-2,3共通:少しだけ先の未来–存在確率0%:あり得ざる世界

この物語の臨界点です。

<Tips1>





58部より抜粋



Tips~屁理屈:寿小羽:gold gate:不連続より成る因果の連結


 君は、どこから君になった?君の始まりは、どこにある?


 お母さんから生まれ出た瞬間?それともその前の、お父さんとお母さんが愛し合ったときかな?




 それともそれとも、君が始めて言葉を発したとき?もしくは、初めて友達と喧嘩をしたときだろうか?



 ねぇ、君は今どこにいる?どこにいて、結局どこに向かってるの?

 今いる場所は、どこかに向かう途中なのかな?それとも、そこが終着点?








 ・・・・・・こんなこと、考えるだけ、無駄なのかな。

 結局、この世界の魂たちは、円環の理に縛られている。クルクルと環を描き、傷を溜め込み続けるだけの、哀れな道化。


 環には、始まりもなければ、終わりもない。

 ただただ延々と、自分の影を追いかけているようなものさ。でも、だからこそ、かな。



 だからこそ、いつだって始められる。確固たる始まりがないこの世界では、時間軸だってあやふやだ。ただ、環に閉ざされている以上、その物語を終わらせることは出来ない。けれど、それでも、いつだって、始めることはできる。


 






 君の始まりはいつだって、君が決められるんだ。たとえ、それが屁理屈って呼ばれるものであっても、それは事実。



 だから、君には笑っていてほしい。君の抱える因果の相克は、大事なものだよ。だからこそ、因果を歪曲してまで語られるんだ。



 一つを二つに分けた意味は、単純なんだよ。ただ、見えやすくしただけ。輪廻なんてばかげたものの性でこんがらがった大切を、指差す---ただ、それだけの意味だったんだ。



 ・・・・・・ほら、聞こえるよね?

 彼の、君の名を呼ぶ声が。

 世界は「それ」を「君」とは認めないだろうけれど、でも、それだけのこと。彼は、「君」を呼んでいるんだ。たしかに、彼が叫んだ「名」は、「君」じゃない。君の、「欠片」でしかない---不完全なんだよ。でも、欠けたるモノは、補えばいい。

 彼の声で足りないなら、君の声がある。





 だから、がんばって。がんばって、屁理屈をこねるんだ。

 世界が定義する君を、屁理屈でねじ伏せろ。そうすれば、きっと----












<Tips2>

題48部より抜粋



謳歌:相克する因果4:東利也&寿小羽




3番目の絶対矛盾:超えるもの



<因>


 ねぇさまのこと、大好きだった――――



                  <果>

                    ―――呪ってやる。


<因>

 ねぇさまのこと、信じてた――――――




                  <果>

                   --------祟ってやる。

 


<因>

 ねぇさまのこと、心から、愛していた―――――


                

                   <果>

                

             --------たたり、のろい、そして・・・・・・





誰かの手記による、独白




「真名励起」という奇跡でもっても、彼らは運命を突破できない。どれほど彼が彼女の名を叫んだところで、それは彼女の一つの側面でしかない。

 それでは、彼女を救いあげることは不可能だ―――しかし、可能性を提示することは出来る。



 「名を呼ばれた彼女」が、「彼女」が抱える絶対矛盾―――相克する因果を超えることが出来たのなら、その先に希望はある。


 ひいては、それがヒーローの呼び水となることすらあるだろう。願わくば、彼らが超えるものでありますように。











ーーーーーーーーーー答えーーーーーーーーー







汝の名を問う:答えー共鳴連鎖の真名励起:東利也



「おまえには、役割がある。

それは然るべき”とき”、然るべき”者”に『世界』が与えるものだ」



吹き荒れる憎悪の中、銀髪の少女は語る。

ただ淡々と、俺を見下ろしながら。



「……っつ!」




けれど、俺は自我を保つだけで精一杯だった。

俺を飲み込もうとウネル憎悪の中、俺は少女を上に仰ぎ見ながら、歯を食いしばることしかできない。



「そう、お前には世界により求められる、「役割」が在る。そして、お前にそれを求める世界は貴様を包み込むこの世界に限らず、それよりも遥かに矮小で卑しい世界ーーー「人」という歪な世界も例外ではない」





黒煙を払う銀の光は、上空より俺を照らす。

けれど、助けれてはくれない。ただ語るのみで、救いの手を差し伸ばすことはーーーー



「なあ、東利也。おまえは、何者だ?

世界屈指の名門校に通う将来有望な学生ーーーそれが、お前か?

それとも、伊吹由香の恋人でありながら他の女を引っ掛ける色男ーーーそれが、お前か?

あるいは、世界を救う命題を課せられた、偉大なるヒーロの原石ーーーーそれが、お前の本質なのか?」







俺は、何者か?

そんなのこと、わかるわけがない。

こんな状況で、それがなんになる?今にも悪意に取り込まれそうな俺が、

そんな問いに、答えられるわけが……!




「お前と取り囲む世界達は、お前に役割を与え、それを演じることを求める。

もちろん、与えられたそれを運命として受け入れることは、悪ではない。しかし、そこにお前の意思による介入がなければ、お前はただの道化でしかない。

……だからこそ、問い続けろ。何が在ろうと、どんなことがあろうと、お前はお前自身に問い続けろ。

「自身とは、何者なのか」と」




吹き荒れる黒煙が、俺を丸呑みにする。どっぷりと粘性の高い憎悪に沈みながら、俺は上を見上げた。

そして、感じる。この、俺にまとわりつく怨念ーーーこれを抱えて沈みながら、あいつは五百年というときを孤独に過ごしたのだと。




「答えは、お前の中にある。

それは選ぶことは結局のところ運命の内でしかないのかもしれないが、しかし、それだけでは終わらない。その選択にお前の意思が在るのなら。『それ』は、『それ』のままでいられない。

運命はお前に意思により歪曲され、一つの可能性を生み出す。それこそが、魔法だ。

おまえが、おまえだけが。

   だが、誰でも使える、そんな魔法だ。

多くの者が忘れているだけの、原書の魔法。それをーーー」





銀の光が、はぜる。

それは俺を包み込んで離すはずのなかった憎悪をなぎ払い、そして。

















相克する因果:答えー相克融和の幻想励起:寿小羽




「これで、いいのよ。これで、間違いは正される。

物語は、めでたしめでたしで括られるの」






そう、目の前の私は言った。顔をくしゃくしゃにしながら、それでも。

それでも、「これでいいのだ」と。





「ほら、聞こえているんでしょう?兄さまの、「あなた」を呼ぶ声が。あの声の方に、手を伸ばせばいいの。それだけで、あなたはここから出られるわ。そして、兄さまやあの女と幸せに過ごすの。あの女を憎む私にそれは不可能だけれど、あなたならそれができる。多分このために、私たちは分かれたのよ」





一つを二つに分けた意味ーーーそれは、お前の中にあると、銀髪の少女は言っていた。

その意味が、これなのだろうか?私の中にある姉様を憎むこころを、私から引き離し、おいていくーーーこの、憎悪の渦の中に。



そうすれば、私は兄さまや姉様と、幸せに過ごせるーーーの?





「あなたは私で、私はあなた。

けれど、私は「間違えた私」だから。ありもしない妄想に取り付かれ、数百年というときを呪って過ごした、愚かな私。でも、だから、これでよかったの。一つを二つに分けた意味は、ここにあったのよ。

生まれたことが間違いだったのよ、わたしは。だから、それが正されるの。私は憎悪の渦に消え、あなたは優しき場所に帰る。ただ、それだけのことよ」






声が、聞こえる。私の名をよぶ、必死の声が。

それは、私を呼ぶ声だった。まちがいなく、私を呼ぶ声。



けれど。




「ちがう……ちがうよ。たしかに、この声ーーー兄さまは、私を呼んでくれてる。

でも、違うの。兄さまが呼んでくれてるのは!必死になって手を伸ばしてくれているのは、私じゃない!」





私は、私呼ぶ声に、ぐいぐいと引き上げられそうになる。

そんな私をみて、目の前の私は「もう行って」と再び笑いかけてくれた。



……でも、そういうことじゃない!こんなの、絶対におかしい!

だって、だって!





「だって、こんなのおかしい!おかしいよ!

あなたは、私なんだよ?そして、私はあなたなの!

それなのに、わたしだけなんて!」





ーーー体が、浮き上がる。上へと。

声の方へと、引き寄せられる。このままなら、私は多分、救われる。けれど、私は納得してない。だって!だって!




(この運命の先でお前は、幸せになる)





あの銀髪の少女は、言っていたはず。過酷な運命の末に、「私」は幸せになれると。

その「私」は、私だけじゃない。ねぇ様が大好きな私と、殺したいほどにねぇ様を憎む「わたし」。

両方で、「私」なんだ!






(繰り返す命は幾度の漂白を超えて、「お前達」のもとに。

その意味を決して、はき違えるな)





「私たち」のもとに、兄さまと姉様はきてくれた!

私じゃなく、「私」のものとに!


だから、これでいいはずがない!だって、このままじゃ、私だけが!





「これで、いいの。それに、これ以上私は、生きていたくない。

間違いから始まったわたしは、ここでーーー(いつからだって、始められる)」






私を見送るわたしの声に重なるように、声が、聞こえた。

その声は銀色の声で、優しい声で。

そして、それは一筋の希望のように感じた。


だからこそ、私は口にしてみる。





「いつからだって、私たちは始められる!

だって、私たちは二人で、私なんだから!私が大丈夫なら、あなただって大丈夫なはずなんだから!

ふたりで!ねぇ様が大好きな私と、ねぇ様が大嫌いな私で、初めて「私」……!」





受け売りで空っぽな言葉を、ただの感情で口にして、私は、理屈をこねた。

それは結果ありきのお粗末なもので、それがとおる道理なんて、世界のどこにもなかった。

けれど、それは弱々しい祈りで、そして、いつか誰かが心に誓った強い輝きでもあった。




「……そうだよ。間違ってなんかいない!

あなたが生まれたことが間違ってるなんてこと、絶対に、ない!そうだよ!そうだ!

だって、あなたの始まりは、ここにある!今も、ここに!そうだ!だから、終われないんだ!追われるはずがない!だって、あなたは、あなたの始まりはーーー」















このエンドポイント目指して、がんばります

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