連想歌B-2:乱立変数拡散–存在確率10%:正答の破棄1:蛮勇:東利也
正答の破棄ーーーその先にあるのは、何でしょうか。
連想歌B-2:乱立変数収束–存在確率10%:正答の破棄1:蛮勇:東利也
―――俺は、二人で帰ることを選んだ。
何をどう言い訳したところで、俺はあいつを残しては行けない。
もちろん、それが唯の感傷だってことくらい、俺は十二分に分かっている。
そして俺が選んだ路が、間違った選択であることも。
……正しい選択肢は、あいつを置いていくことだ
たったそれだけのことで、全ての問題は解決する。そして何よりそれは、一昨日の俺が―――シロさんに出会う前の俺が望んでいた結末でもある。
「……なのに俺は、あいつと帰る。
帰りたいと、願っている―――ははは、バカみたいだ。本当に、唯のバカだ、俺は」
手札が、足りていなかった。俺は重大な分岐路に差し掛かっているにもかかわらず、その手のひらに何も持ってはいなかった。今俺が選ぼうとしている路だって、本当に俺が選んだと言えるのか―――それすらに、不確かだ。
けれど、嘘偽りのない確かなモノだって、ある。
それは、ガキだけがゆるされる、甘えともいえる、不確かなもの。
けれどもそれは、確かに此処にあった。
『にいさま!』
そう呼ばれることが、何故か嬉しかった。
あいつは赤の他人なのに、そんなやつから兄さまと呼んでもらえることが嬉しかった。
ほんとうに、唯それだけだった。
ただそれだけで俺は、二人で帰ることを選んだ。
「由香には……言っといた方がいいだろうな」
俺は、選んだ。
それは他人から示されたみちだけれど、最後は俺自身が決めたこと。
最後には、俺が決めた。その責は全て、俺にゆだねられる。
ーーーだが、それには由香も嫌が応にも巻き込まれることになる。
だから、きちんとあいつに話さないと。少なくともそれだけの筋は遠さなければと思い俺は、携帯の番号をプッシュした。
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88部はB-3です。