連想歌:乱立変数1:ヒーロー:東&瀬戸
選択肢で得たkeyはメモっててください。
連想歌:乱立変数1:ヒーロー:東&瀬戸
正直な話、M4の取り巻きが東君を拉致したって話を聞いた時は、頭痛がした。
そして、その拉致現場に乗り込んだ時に至っては、目眩のせいで倒れるかと思った。
「瀬戸、おまえどうしてここに!?ここは女人禁制だぞ!」
私の突然の来訪に慌てふたいたM4。まあ、それもそのはず。彼らが居たのは、男子湯の間だ。
つまりは、女人禁制。
でも、それは湯船がお風呂として機能していればの話。
こいつらは、昨日から単身(M4で一つ)この旅館に乗り込んで、露天風呂の一つを貸し切にしていた。
このことは、オーナーから直接聞いた。
別に、わたしは連中のファンでもストーカーでもなんでもないわけだから、知りたくもない話だった。 向こうが勝手に私のところにやってきて、これまた勝手に色々な世間話と賞賛の嵐を浴びせかている最中に、たまたま「御学友」さんの話になった時にーーー話題に、上ったんだ。
……普通に考えて、一日中風呂に入り続けるバカはいない。しかも、男4人で。さらには、風呂場に大理石や石工具、果てにはキャンパスと油絵具なんて、必要ないはずである。
こいつらは、金に物言わせてオーナーを買収し、それら不必要な物品と共に終日風呂場に引きこもったーーーという話を、ニコニコ顔のオーナーから聞かされたのよ、私は!
それが、だいたい10分くらい前の話。
んで、その前にはM4の東君拉致監禁の噂を聞いていたため、ピン!と来た。なんか、面白いことになってると……でも、相手がM4連中だからたぶん、ろくなことじゃないってのも、想像ついた。
M4の日頃の所行から考えたら、良くて、頭痛もの。でも、そこに東君が関わってる。頭痛いけど、面白そう。
私は、二つの重しを天秤に掛け、「おもしろい」に掛けた。
結果、私は勝負に負けて、試合に勝った。
つまりは、「普段ならおもしろい!」っで済まされるもんを、みられたのだ。
それが、2分くらい前の話。
ちなみに、これは、伊吹先輩裸像の前で処刑されかけている東君を助けた時刻と一致する。
そして、現在。
「ねぇ、東ってさ。なんだかんだで、あいつらと仲いいじゃない? なんで?」
「いや、仲良くはないよ。だからって、悪くもないけどさ」
私と東は、だらだらとテラスでくつろいでいた。東に関しては石像破壊のために結構な体力を消費していたため、本格的な休憩(?)っぽくゼイゼイいってるけど、それはそれ。ちなみに、石像破壊の許可は瀬戸の強権でもって施行した。
M4も必死の抵抗を見せたが、「退学」の二文字をちらつかせたら、案外簡単に引いた。どうせ、急造の品だったし、あとで本格的につくり直す腹づもりだとは思うけど、今後のことに関しては、口は出さなかった。
わたしはそれほど、意地の悪い方じゃないからね。
「あんたってさー?」
わたしは、ひんやりタオルでお通夜してるに男に、投げやりな言葉を投げかけた。すると、彼は「なに?」っと、聞き返してくる。
「あんたって、結構モテるよね? 男女関係なくさ」
「……なんだよ、とつぜん? 意味わかんねぇー」
あっちぃーっとうめきながら、私の問いに適当に答える東君。なんか、それを横目で見てると、少しばかり腹が立ってくる。
「意味、わかるでしょ? あんたって、人を引きつけんのよ。それこそ、色んな人種をさ。
具体的には、M4の森田。あいつ、男色家だよ。石像よろしく掘られないようにね」
この私の発言に、さすがに驚いたのか、東君はバランスを崩して後ろにひっくり返った。おもいっきり、背もたれに体重をかけてたせいだ。
彼は、ドタバタと立ち上がり、前のめりになって「それはどういうことだ!?」と、涙目で問いつめてきた……なにか、過去に変なトラウマでもあるんだろうか?
少し面白かったので、幾分からかってやった。ただ、最終的には「んなわけないじゃん」で話を納めてやったけど。
そしたら、「おどろかすなよ……」の一言を絞り出して席に沈んでしまった。
テーブルに突っ伏して「あ〜もう、なんかここ二日くらいマジでキツい」ってぼやいてる姿は、なんだか哀れだ。
「でも、あんたがモテるってのは、ほんとじゃん。伊吹さんとか、峰岸とかさ?
あんた、家の学園のアイドル2人を両手に花していて、どんだけよ?」
顔を、ムクリと起こす東君。疲れた顔+半目で、こちらを見据えている。
「なんだよ、それ。由香はともかく、峰岸は関係ないだろう?」
「はい? 関係あるって。あの娘、絶対あんたのこと好きだよ。んなの、分かりきってるじゃん」
「いやいや、ないって。あいつ、別に俺のこと何とも想ってないって。どっからそう言う発想出てくんだ? さっきの森田なみにタチ悪いぞ?」
「いやいやいや、それこそないって。あの娘、あんたのこと絶対に好きだって。そっちこそ、何言ってんの?」
言葉の応襲を交わし、しばらくの静寂。今や、さきほどまで私達の間にあったダラダラとした空気は、完璧に凍りきっていた。
「おまえ、峰岸じゃないだろ? だったら、そういうこと言うなよ。変に噂が出回れば、困るのは峰岸なんだ。それくらいわかるだろう?」
少し怒気を孕んだ、東の声。残念ながら、ご立腹の様だ。
「そりゃあ、そうだね。でも、だったらなに? すでに噂になってんだけどさ、このこと……あんた、まさか知らないの? そんなはずないよね?
ちなみに、私はその噂に踊らされてるアホじゃない。わたしは峰岸の友人として、確信を持って言ってるの……峰岸は間違いなくあんたのこと、好きだよ」
「だから、そのことを直接本人から聞いたのか? そうじゃないんだろう、どうせ。 だから、確信あるなんて言うんだ。俺、そういうの好きじゃない。
他人の胸を内を知ったように言うのは、どうかと思う。だから、もうこの話はーーーー」
「あんたさっき、『峰岸は、別にあんたのこと何とも想ってない』って言ったわよね。それと私のと、何が違うの?
じゃあ、アレは何なの? あんた、舐めてんの? ねぇ?」
黙り込む、東くん。さすがに、言い返すことはしない。その辺は、評価しても良いかも。でも、それでもやっぱり、許せない。
「さっきの石像事件自体は、あんたのせいじゃないってことくらい分かってんだけどさ。
ただ、あそこに踏み込んだのが、私だったからよかったものの、もし峰岸があの場にたまたま出くわしちゃったらーーーーって一瞬思っちゃったわけ。
そしたら、あの娘、どんな気持ちになるかなって。んで、勝手にめっちゃムカついてさ……ごめん、ただの八つ当たりです、以上」
テラスの気温は例年に比べ、20℃くらい低かった。温度計はかれば、その誤差は15℃くらいありそう。その差はたぶん、わたしのトークチョイスの成せる技。
……気まずくなって、すこしだけ私は目をそらし、話を続けた。
「あんたが今大変なんだろうなってこと、なんとなく、分かる。で、たぶん、峰岸も久遠もそれに一枚噛んでると思う……後者に関しては、完璧感ね。根拠は無いから、そこは話半分で聞いといて。でもあの娘、ほんとに必死なんだよ、今。見てれば、分かる。そして、それがあんたとは無関係だとは思えない」
わたしの話を、東君は否定しない。すくなくとも、なにかしらの心当たりがあるということだ。
「事情を良く知りもしない私が言うのもなんだけど、頑張ってよ。そして、絶対に乗り越えてよね。あんたが何に巻き込まれてるのか知らないけど、絶対に負けないで。
あんたは、わたしたちの希望なんだからさ。ねぇ、ヒーロー?」
ヒーローと、口に出して言ってみた。言ってみて、思った。なんて、陳腐な言葉を口にしたんだろうって。
それは、東君もそうだったみたいで。
「なんだよ、希望って。ヒーローって、何? おまえ、何か知ってんの?
それとも何も知らないのに、ただ言ってんの? なぁ、もう、なんなんだよ……」
頭を抱える、我らがヒーロー。私だって、何かを知っていれば彼にアドバイスしてやりたかった。でも、このことに関しては何か知っているはずの占い師は、何も教えてはくれなかったんだ。
『答えは単純で、それを教えるのは簡単。でも、そうやって得た答えには、何の価値もない。そこに「至る」ことが大事なの。答えなんて、結果でしかないのだから。
だから、ほっときなさい……でも、正解なんて無いんでしょうね。いずれにせよ、ハッピーエンドにはならないわ、きっと。それだけは多分、「世界」が許さないから……」
ハッピーエンドにはなり得ないとーーーわたしは、それだけを知っている。未來視のヒーローが予言した未来を、私は知っている。
でも、それは彼に伝えるべきこと?
私はそのことを、彼に伝えるべきなのか?果たして、私はーーーーーーーー
gold gate---乱立変数1
選択してください。
彼女が彼に、『ハッピーエンドの否定』を伝えるべきかどうかを。
なお、ここでの選択は後に『リミテッドセレクト』と呼ばれる選択肢に影響します。
伝えるべきを選んだ方はーーーA-1のkeyを取ってください。
伝えなくてもよいと判断された方はーーーA--2のkeyを取ってください。
※
なお、この選択により、物語世界は分岐するものではありません。
正確には、どのお話を閲覧するかということを、ここで決めていただくことになります。
現時点での世界の存在確率は、10%のままです。
それではまた、後ほど。