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無限想歌  作者: blue birds
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 歪曲する因果3:迷走する想い5:東&仲間(男子)&M4

 くだらん話ですが、大事です。

 歪曲する因果3:迷走する想い5:東&仲間(男子)&M4




 俺の通う学園には、M4と呼ばれる連中が居る。これは、「森田」「森永」「宮口」「三沢」の名を持つ、4人の学友の頭文字だ。


 んで、こいつらを他人に紹介するとなれば、こうなるーーー「こいつらは学園でも群を抜いての、バカです。しかも、バカ中の、バカ。来世になっても、バカやってるかもしれません」ーーーと。




 瀬戸校に入ってくる人間というのは、大概良い処の出が多いため、あんまりバカが居ない。それは、頭のデキがどうこうではなく、バカをやらかす人間が少ないということだ。家のことが、あるし。



「よく、見るんだ。東、どうだ?」



 しかし、バカは居る。少ないけど、居るんだよ、これが。

 たとえばそう、俺に「どうだ」としたり顔で語りかけてくる、森田ってのが、その代表格だ。



「……お前等、そこの石像と一緒にぶっ殺してやる」




 おれは、石工でまみれたトンカチ(特大)に手を伸ばすと、連中に一歩歩み寄った。すかさず、M4以外のバカ(ちょいバカ)が俺の静止にかかる。まあ、落ち着け–――ということらしい。

 連中が言うには、おれがぶっ壊そうとしている芸術品は、一生俺が働いても弁償できない程の、至高のものらしい。



「いや、実際よく出来ている。よく出来てるからぶっ壊して、お前等を殺すんだよ。この、4バカどもが……!」



 俺の目の前には、一体の石像が置かれていた。なんか、ミロのビーナスっぽいやつ。んで、それはミロのビーナスっぽいんだが、どうみても、それより、由香に似ている。腕だって、ついてるしな。

 ……俺の恋人である伊吹由香の裸体に「そっくり」っていうか、そのまんまだ。

 その、あどけない表情にしろ、体をくねらせたときの曲線にしろ。

 あと、もうなんかいろいろ、そのまんま。

 




「まず、「イーグルアイの森永」に女神の姿をガン視させることで、その真実を回収した。あとは、熱い討論と「写実の貴公子宮口」の拓巳的技により、女神の真実を紙媒体まで落とし込んだ。さらにはそれを、「石より意志を生み出すモノ」ーーーこの、森田がそれを三次元まで引き上げることで、この奇跡は完成した。ああ、下半身は後日にもちこすから、心配してくれるなよ、皆の衆。

 んで、この芸術の資本は我らが三人の才能と、ここにいる三沢家嫡男、「金はあるけど品がない」と絶賛評判の拓郎の出資(大理石代)によりカタチになりました。

 さあ、どうだ、東。女神の裸は、お前だけモノじゃないって―――これで、分かってもらえたか?昨日から四人徹夜して仕上げた一品だ。時間があれば、もっと精巧にできたはずだけどな……」





 ……張り付かせたような笑顔で問いかけてくる学友。目の下にクマが出来ているのは、徹夜のせいか。というかこいつら、徹夜でこんなもん(他人の恋人の裸体像)つくってたんか?

 USJにも……行ってないのか?

 こいつら、バカか? ああ、バカか。




「冥土の土産に聞かせてくれ、4バカ。

おまえら、これを俺に見せて何したいんだ?」




 いよいよもって、破壊衝動が押さえきれない。

 目の前の大理石は、軽く一千万は超えるだろう巨体だ。しかもそれに、石細工師として人間国宝に指定されている森田時雨の後継者が、手を加えている。

 そのデザインには同様に、芸術の分野では良家に分類される森永と宮口も一枚噛んでいるとのこと―――マニアからすれば、ある意味では世界に一つしかない傑作だろう。

 たぶん、軽く数百万は行く。こいつらはまだ無名だが、才能はあるらしい。それに、親のネームバリューもある。

 ……こいつをたたき壊せば、それだけの賠償を迫られてもおかしくはない。

 しかし、壊したい。ついでに、こいつ等を殺したい!

 てか、どんだけ低俗で高度なことやってんだよ……こいつら、バカなのに凄いからな……でも結局、バカなんだけど。




「ふふう、それをお前が聞くか、友よ。

しかし、問われれば答えねばなるまいなぁあ、友よ。

そう、友よ、我々はなー――」



 

 突然遠い目をして語りだす森田。しかも、長い。演説してるくらいに長いーっってか、演説してんのか、こいつ。

 ……演説中の「友よ成分」が多すぎて、アレルギー出そうになる。「だれも、おまえの友になった覚えはねぇよバカ」と罵ってやりたがったが、残念ながら友人だった。しかも、結構仲がいい。

 ……我慢して耐えた。耐えて、三十分くらい聞いてた。なんか、さっき食った飯を戻しそうだ。こいつらの妄想、半端ない。キモイし、ウザイ。




「一言で言うと、お前等、俺に嫉妬してるだけなのな」




 こいつらの長ったらしい主張の要点をまとめると。



 よくも俺たちの女神とニャンニャンしやがって!→許せない→女神の真実は皆のものだ→それを独占とかあり得ない→だから、つくろう、俺たちの女神を→力を併せようぜ、お前等!俺たちなら出来る!(四バカの誓い)→徹夜及びUSJボイコット→やったぞ、できた、俺たちの女神だ!→お前等見てくれて、俺たちの女神だ(ここでちょいバカ合流)→おおすげぇ、でもこれ、ほんとうにこの通りなのか?→おまえら、俺たちの女神にケチ付けんのか?→でも、本当にこれが女神の裸か分かんねぇジャン?


 →ケチつけるのつけないのでしばらく非生産的な会話→東が帰ってきてるらしいぞ!しかも、速攻で峰岸に手を出してるってよ!(すこしバカが色々報告)→ なにぃ、どういうことだ?あいつ、俺等の残された希望まで食い散らかす気か?→東を殺そう、そうだ、殺そう、でもその前に、この一品のデキを確認だ!←今ココ



                            』



「さて、死んでもらおうか、東利也。とりあえずは最後の晩餐(安い水旅館の料理)も済ませたことだし、未練はなかろう。ここで、死ね」





 ああ、「今ココ」は少しずれてたな。もう俺を殺す気満々だ、こいつら。

 さて、どうしたものか……


次回、謳歌と怨火:歪曲する因果7:寿小羽&久遠栞です。



兄弟間でギャップ凄すぎて、書いてて吐きそうになります。

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