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無限想歌  作者: blue birds
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 夢想歌:汝の名を問う2:東利也&寿小羽


 夢想歌:汝の名を問う2:東利也&寿小羽



 問1:出題者・峰岸燈火



 館と名のつくアパートの一室に入った友人が、部屋に入った当初とは別の服を着て出てきました。その手には、生乾きの服(入ったときの服)が握られています。


 しかも、こころもち晴れ晴れとした様子です。さて、いったいアパートの一室で何があったのでしょうか?



ーーー


 解1:回答者・東 利也


 

 無実だ!俺はきちんと然るべきサービス(占い)を受けただけで、やましいことなんて一つもない!

 服がぬれてるのは、最後らへんにコーラをぶっ掛けられたからだ!←意味不明




ーーー

 解2:回答者・神流、金森、坂石、清


 有罪でしょう。彼はきちんと叱られるべきサービス(自主規制)を受けたようですが、やましいことが無いと言っています。←反省の色無し


 しかも、コーラを使った都市伝説を実行しているあたり、三ヶ月後には超修羅場が展開されると思われ……



ーーー


 解3:回答者・久遠栞


 みんな、落ち着こう?

 このくらいで実刑は厳しすぎるよ。だって、東君は男の子なんだからーーー



ーーー

 解4:回答者・朝影里奈



 京都くんだりまで来て畑を開拓するなんて、さすがよね。

 ああ、死ねば良いのに。


ーーー



 結論:判定者・峰岸燈火

    執行者:東を除く男子全員(嫉妬半分殺意半分)+瀬戸(ふざけ半分ノリ半分)


 東を――殺す。







 別に、理解してほしいと思ったわけじゃない。


 たしかに、アパートの一室に消えた男が晴れ晴れとした顔で濡れた服片手に出てくれば、誰だって妙な勘ぐりをしたくなっても仕方が無いと思う。

 俺だって、それを見せつけられる立場なら、酒の肴ついでにばか騒ぎをやらかすと思う!


 けれど。



「死にされせぇボケが!」


「おまえ、どこまで下半身で生きてんだ!」


「ああ、うらやましい。お前みたいな※※※は、死ねば良いんだ」

 


 血走った目で俺の胸ぐらを取り合う友人を見て、胆が冷える前に、涙があふれる。



「下半身って、いったいなんだよ!おれがなにしたっってんだって、やめろっつてんだろ!調子乗り過ぎだお前ら!」



 正気の沙汰じゃない友人たちの手を振りほどき、俺は二三歩バックステップで距離をとった。

 ゴホゴホと息を詰まらせながら、なんとか空気を吸い込む。


『にいさま、この方達はなにをおっしゃってるんでしょうか?

ふざけるにしても、ちょっと、度が過ぎる気がするのですが……』




 幼女は、俺とはまた別の意味で、あいつらから距離をとった。

 その目には、明らかに怯えの色。まるで狂犬を前にしておびえる少女のようだ。




「だから、お前らキモ過ぎんだよ!いったいなんなだ!?」


 

 喚き返す俺。

 いくらなんでも、こいつらキモ過ぎる。占いの最中に一服盛られてんじゃないかと逆に心配したくなるほどの変貌ぶりだった。



 

 親友のキヨが、血走った目のまま、一歩前へ。

 そして、ゆっくりと。

 ゆっくりと、ドスの利いた声で……



「キモイのはお前の方だ、東!お前、学校じゃ伊吹さんが……!」



 キヨは、ドスの利いた声を尻つぼみさせつつ、そのまま地面に沈んだ。

 気がつくと、キヨの真横に栞が笑顔で寄り添い、キヨの鳩尾に手刀を叩き込んでいた――?




「もう、みんなも冷静にね?いくら東君でも、私たちが一緒にいるのに、そんなことする分けないじゃない。それに、ここって壁薄いから、そんなことしてたらすぐわかるはずよ」



 もう、キヨ君はハヤトチリさんだなーーーそんなことだから、こんなことになっちゃうんだよと、フフフと嗤う栞。


 目が、笑ってないけどな。




「由香がどうかしのか?」





 ここであいつの名前が出てくる理由がよく分からない。

 そこで、おそるおそる俺は栞に問いかけてみた。


 この状態の栞にちょっかい出すのは気が引けるが、それでもここであいつの名前が出てきたことを無視できなかったんだ。






 栞は、微笑んだまま。

 彼女は微笑んだまま何も答えず、旅館への帰省を促したのだった。

 

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