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無限想歌  作者: blue birds
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夢想歌:占いの館にて3:人の理と、世界の理4:東 利也&寿 小羽

前回のあとがきまで到達できず……

夢想歌:占いの館にて3:人の理と、世界の理4:東 利也&寿 小羽


アカシックレコード:円環の始まり


 不完全を、繰り返してみよう–――そうすれば、きっと分かる。


 人の根源が悪か、善か。

 

 たったそれだけのことを確かめるために、繰り返してみよう。

 

 それでたどり着ける結末なんて、たとえ絶望以外の何者でもないとしても、信じることは、罪ではないはず。


 

 ―――人は、善悪を超えて、きっと、幸せになれる。

 たったそれだけのことを証明するために、私たちは一つを二つに分けたのだから。


――――――――――――――――――――――――


夢想歌:占いの館にて3:人の理と、世界の理4:東 利也&寿 小羽




「いや、意味分かんないです。俺がこいつを取り戻したとかなんとか、そもそも、俺はこいつのことなんて全然知りません。だから、縁がどうこう言われても……

 」



 気がつくと、口ごもりながらも俺はシロさんに反論していた。

 シロさんがなんと言おうと、縁がどうとかこうとか言われても、俺と幼女は初対面だ。親戚の誰かかとも考えはしたけれど、たぶん、それはない。



 なんだか、風向きがヤバい気がする。最初っからそうだったが、シロさんは幼女を成仏させる気がないように思える。それに、なんとなくだが、俺と幼女が一緒にいることを望んですらいるようにも……







「縁とは、個人の意識に依存しているモノではありません。

それらは私たちの意識から独立したところにあり、そして私たちと、私たち以外の誰かを結びつける……」


 シロさんのブルーサファイアの瞳が、俺を見据える。

 –――いや、俺じゃない。俺と、こいつとの間にある何かを、シロさんは、必死に見ようとしていた。




「正直な話を申し上げますが、私は霊視能力者ではありません。そのため、占い師として、東さん達の背景を読み取り、そこから未来へ向けてアドバイスをできるような立場にはありません……ですから、「東さんと小羽さんが過去に兄妹であったことがあるか否か」についての真偽を、私は確かめるすべは持ち合わせていないんです。

 ……ですが、私は世界移動魔法を先攻に学んできた魔術師です。

 そのために、世界の成り立ちや、世界の在り方については、多少なりとも知識と知恵があります……そして、そんな私には、一本のパスがハッキリと見えます。

 それは、「東さんという世界」と「小羽さんという世界」を繋いでいる、細いながらも強力なパスです。そして、そのパスにおいては明らかに、東さんの世界から小羽さんの世界への情報流入も確認できます」



 俺からこいつに、情報が流れ込んでいる……?

 それはいったい、どういうことだ?



「さて、ここで小羽さんに質問です。これは、何でしょうか?」



 そう言って、シロさんは電子レンジを指差した。最初はキョトンとしていた幼女だが、戸惑いながらも「電子レンジ」ですと答える。



「では、もう一つ質問です。これは、一体なんでしょうか?」


 そう言うと、シロさんは見たとこともないような赤色灯の綺麗な石を取り出した……なんだ、あれ。宝石か何かだろうか。



「う〜え〜? 綺麗な石?」


 首を傾げながらも、幼女は答える……なんとなく頭の悪い答え方だが、俺自身まともに答えれる自信が無いので、黙っておく。



「たしかに、綺麗な石ですよね。でも、不正解です。

 正しくは、賢者の石とよばれるものでーーー魔術が込められた石と言った方が分かりやすいでしょうか?」



 言うや否や、シロさんは「起動」と呟いた。すると、どうしたことか。

 目の前の石がいきなり淡い光を帯び始め、そしていきなり、シロさんが消失した。



「!?」



 あまりの驚きに、声がでない……人が、消えた?

 今のが魔法?

 ……たしかに、今のが魔法なら、確かに凄い。本当に、俺は本物にであったんだって、小躍りしても良いかとすら思える……いやでも、このタイミングで消えられても、俺困るんだけど!?



「ちなみ、この賢者の石に込められている魔術は「空間転移の法」。

ご覧の通り、使いこなせばテレポートが可能となります」



 いきなり、後ろに人の気配。俺は思わずテーブルを押しのけながら、後ずさった。はたして、そこにはシロさんがいた。

 手には、三本のコカコーラ。彼女は「なんか熱いし、飲み物でもと思って外の自販機で買ってきました」と笑うと、俺と幼女にそれぞれ手渡した……ちなみに幼女に手渡されたコーラは、受け止められるはずだった手をすり抜け、床へ。



「あ……」




 思わずと言った感じで、幼女が声を漏らした。

 シロさんも、「あ、ゴメン」と、床に落ちたコーラを拾う。

 そして、自分が持っていた無事な方なコーラを幼女の前に置くと、「気持ちだけでも受け取ってください」と言って、席に着いた。 

 



「さて、今ので分かっていただけたかと思いますが、小羽さんは「電子レンジ」を識別できても、「賢者の石」を魔法の石と見破ることは出来ませんでした。

 ……小羽さんのお話が正しければ、今の小羽さんには500年前分の記憶が欠落しているはずです。それは、記憶喪失とかそういうもののレベルではなく、記憶がそもそも形成されていないのですから、思い出すことは絶対に不可能なんです。

 なぜなら小羽さんは、この500年間を「念」として存在していたのですから――」




 意識が拡散し、固有の意識を持たない、力場。

 死後500年の間、そのような状態にあった幼女は、この世界のあらゆる出来事を認識できないでいた―――らしい。


 なのに、こいつは。




「それにも関わらず、小羽さんは「電子レンジ」を識別することが出来ました。もちろん、この機器は500年前のこの世界には存在しなかったものです。ですが、「賢者の石」を見破るとは出来なかった。つまり、私が言いたいことは―――」



「俺の中の情報がこいつに流れ込んでいて、こいつは「それ」をもとに物事を判断しているということですか?

 俺は電子レンジは知っていて、それを識別することが出来る。けれど、賢者の石なんてものは今の今まで知らなかった–――だからこいつも俺同様に、電子レンジを見分けられても、賢者の石を識別することは出来なかった」




 シロさんを遮って言葉を割り込ませた俺に、シロさんは嫌な顔せずゆっくりとうなずくと、話を続けた。



「現在、小羽さんの存在圧は赤ちゃんのそれと同じレベルです。そのため、外界のあらゆる情報に対して開放的であり、また、無防備―――であることが本来のカタチなのですが、赤ちゃんと違って小羽さんはある程度の世界のカタチを有しているため、それほど開かれた存在ではありません。

 ですが、新たに生まれ直した小羽さんの世界は、その内圧がほとんど無いに等しい状態です。そのため、小羽さんは固有の世界を持っていても、中身がほとんどつまっておらず、さらにー――そこに持ってきて、東さんとの間にパスが出来ている。

 そのため、現在は東さんから「ほぼ一方的」に小羽さんに情報が流れるといった現象が起きてきます」

 次回こそは!

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