第二章:無限想歌ー浅・深ー因縁再編・始祖の宴:霞の想いで
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第二章:無限想歌ー浅・深ー因縁再編・始祖の宴:霞の想いで
目の前で頬を赤らめて俯く少女を見つめ、霞は数年前の出来事を思い出していた。
そう、風呂場から極寒のシベリアへ強制召喚された時のことだ。
そのときの召喚者は、アイシュ・バルツ。
至高の魔法使いにして、最強の吸血鬼ーーーそんな存在に、一日の疲れを風呂で落としていた霞は、吹雪く氷の世界に突如呼び出された。もちろん、その際に一切の謝罪も感謝も無く、「尊厳はどうした?」と、逆に冷めた眼で見下されたことも、霞は覚えている。ちなみに要件は、「撒き餌が必要だから」という、非常にシンプルなものだった。そう、シンプルだったのだ。それから霞は一月半ほど、ある存在から逃げ回る生活を送るハメになった。
そう、霞は覚えている。
いつだって、高きところのものは理不尽なものだ。
下の人間がどれほど必死に行きているかなどは興味の対象外で、実際問題として、必要があると判断すれば、万難を排して、成すべきを成す。
そこに、自身以外への一切の拝領は無い。
故に、目の前の惨事は当然の帰結であったーーーと、霞は思うことにした。
「「「「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」」」」
「おふろ、入ってたんですね?」
目の前で俯く少女に、霞は話しかけた。なぜなら、他の誰も、彼女にかける言葉を見つけられずに居たのだ。
彼女と同じ想いをした自分こそが、今この場で、彼女の尊厳を・・・・・・
次は、運命のお話