第二章:無限想歌ー深ー学園と世界の防衛機構-1話:よるべなき拠り所
100円が、100えんであることの、一部です。
TiPs~いつかの100円
100円玉という存在は、100円玉という存在である。ただの鉱物を加工した「それ」は、それ以外の何者でもない。つまるところ100円玉とは、それ単体で見れば、100円玉以外の何者でもなく、そして、それだけでは、何の意味も、価値も、持ち得ない。
では、100円玉を「100円」たらしめているのは誰か?
あるいは、たかが茶色の紙切れに、100円の100倍の「価値」があると信じて疑わないモノは誰か?
それは、「わたしたち」だ。
私と、君だ。あるいは、私と彼女だ。または、君と彼か?
なんにせよ、わたしにとっては、手のひらサイズの鉱物より、薄汚れた紙切れの方が価値があるように思える。だって、そうだろう? なあ、君? いや、あなたか? そうでなくては、ならないよな? そうであるべきだろう? そうでなければ、私たちは、「複雑化した事象」を共有出来ないことになってしまう。
・・・・・・とはいえ、私は疲れたよ。他の誰かと何かを共有する事がね、苦痛になったんだ。だって、そうだろう? 100円玉は、1人では100円でいられない。
それは転じて、100円玉の価値を決めているのは100円玉本人では無く、当の本人以外の「誰か達」ということになる。
ならば、「私の価値」を決めているのは、誰か?
君か? 彼女か? 彼か?
なあ、私には、いくらの価値がある? 100円か? 200円か?
あるいは、1000円。あるいは、10000円。
もしくは、何の価値もないか・・・・・・?
まあ、その辺が妥当だろう。
わたしだって、そうだ。君には、何の価値もないと思うよ。勿論、彼女や彼だってそうだ。
君らを殺して100円もらえるなら、そうするね。
だって、100円もあれば、向こう一ヶ月は家族の空腹を紛らわせるんだから。
ーサブ:小羽&彼方:拡大家族ー
小羽と彼方は、兄から受け取った1000円札を片手に、その日の献立を考えていた。
2人の前には新鮮な野菜が彩り緑と並び立てられ、遠くの方からは威勢のいい兄ちゃんが鰹の叩きを文字通り叩き売りしている声が聞こえる。
「それにしても、かなちゃん、今日は何にしようか? 豚肉のミンチ安そうだから、キャベツと併せてロールキャベツとかどうかな? コンソメの元、たしかまだ家にあったと思うし・・・・・・」
カットされたキャベツから視線を移し、小羽は彼方に向き直った。
そんな小羽を前にして、彼方は露骨にめんどくさそうな顔をする。
なぜなら、本日は彼方にとって、グダリたい日なのである。家でゴロゴロしたい日なのである。それはつまるところ、料理なんかしたくねぇってことなのである
よって、得られる結論は1つ。本日は買弁しようという思念を、彼方は視線に込めて小羽に送った。
・・・・・・のだが、小羽はきょとんとするばかり。だいたい20秒ほど経過したくらいで、たまりかねた小羽が「どうしたの?」と問い返したことで、不毛な時間は終わりを告げた。
その間、小羽の体を見知らぬおっさん数人が透過して行ったが、それに関しては小羽も彼方もコメントを入れない。
なにより現時点で重要なのは、今晩のおかずなのである。
「今日はとしにぃもいないし、私と小羽だけでしょ? そしたら、ご飯食べれるのが私だけだからなぁ・・・・・・それだったら、お弁当で良いよ。ノリ弁だったら320円くらいでしょ? のこりで、DVD借りようよ。 ディズニーの新作も出てるしさ!」
ありのままで〜 って見ました。雪だるまが素晴らしかったと思います。