第二章:無限想歌ー深ー学園と世界の防衛機構-1話:戦術拠点1:TiPs
時の、お話です。在りもしない、幻想のお話。
それは、次回以降の、在りもしない価値のお話に繋がります。
TiPs~希望の在処
「仮に、現在・未来・過去の何れかに対し希望を見いだすとするなら、お前は、何を望む?」
先の見えない問いに対し、私は奇妙な既視感を覚えた。
釈然としない面持ちで、私は彼女を見上げたと思う。だって——
「現在と未来に希望があったとしても、過去にそんな物は存在し得なません。むしろ、それが過去に「在った」とすれば、それは絶望と呼ばれる物の類いです」
だって、失われた希望等、絶望以外の何者でもないか。私は、そう思うのだ。
けれど、彼女はそうではないらしい。
「過去と、現在完了の違いか・・・・・・考えたことも無かったな。どんな過去も、現在と切り離すことは出来ない。過去に在る希望は、今も此処に続いているもの。少なくとも、私はそう思っていた」
単に言葉尻を併せたやりとりであれど、それは決定的なまでに私と彼女との間に横たわる深い溝を浮き彫りにした。
「希望は、そこかしこに在るものです。大事なのは、「それ」に何て名前を付けて、それを前にして何者で居るか。問題の本質は、そこでしょ? それに、過去も未来も、私たち人の中にしかないモノ。突き詰めてしまえば、希望は現在此処にしか存在し得ない」
現在此処にしか存在し得ない希望ーーーそんなもの、詭弁の良いところだ。
それでも、私はそれを口にせずにはいられなかった。だからこそ、だと思う。
「悠久の時の中で刹那の現在しか存在が許されないのなら、希望もまた同じ。希望は、望まれて希ったモノが見る幻想でしかない。しかし、それは確かに此処にある。そうであれば、それは確かな存在だ。在りもしないが、それは確かに、現在も昔も、常に人とともに在った。」
存在し得ないからこそ、失われることの無い希望。
翻って、それは決して叶うことの無い、切望が行き着く果て・・・・・・絶望ではないのか。
「もう、この話は止めにしましょう。絶望だろうが希望だろうが、それが何で在れ、私は久遠栞です。そのことに変わりはない。私は、必然と偶然の産物の産物に、一々名を付けたりしない。そのことに、意味は無いから。だからーーー」
だから、人も神、精霊や世界も・・・・・・果てには、ただの数列でしかないプログラムでさえも、唯一無二にそれらを胸に、そうであることを止めたのだ。
過ぎ去った過去が懐かしいからこそ、いくつもの命は未来へと目を向けた。
過去と未来を両親として、産み落とされる現在。それの寿命は刹那であれど、積み重なるときは、それらが永遠であることを物語る。
次は、お金の話です。ざっくんばらんに言えば、100円が100円であること。それが、何時かの未来で、主人公達の前に立ちはだかるモノです。