第二章:無限想歌ー深ー学園と世界の防衛機構-プロローグ
相克する因果の先には、無数の縁。
それが「損得を抜いた絆」と賞賛されるのか、はたまた「喉元を締め上げる鎖」と揶揄されるか。
第二章:無限想歌ー深ー学園と世界の防衛機構
相克する因果は、ウロボロスの環と成ることで生来の歪みを解消した。
シッポを銜えて、くるくると回り続けることで、始まりと終わりの矛盾をごまかしたんだ・・・・・・しかし、それはあくまでも個から成る因果であるからこそ成し得た、屁理屈の奇跡。
故に、それは、「それまで」だ。
此処から先は、縁のお話しになる。人が2人も居れば生じる奇跡であり、そして、必然の歪み。
さて、君は「それ」に何て名前を付ける?
君は、「それ」を前にして、何て名乗るんだい?
・・・・・・さあ、始めよう。手始めは、学園掌握の話だ。
絶対の個が用意した、世界の防衛機構を礎に、君は・・・・・・何を成す?
※
そう遠くない未来:相克因果と、絶縁の呪詛
学園上空に展開された穴から、無数の異物が飛来している。
それらは世界の終末ではなかったが、学園の終わりを意味するものだった。
一切の容赦なく、学園に所属する学生を駆除する先兵。それらは、異世界侵攻への布石とも言える、戦術的拠点の確保を成すために作られた、生粋の理不尽だったのだ。
ただし、「それ」は相手に取っても同じこと。
「まだ、早いよね。いくら政治的な圧迫があったとしても、これは悪手だよ。だって、この世界には「ぼく」がいるのに・・・・・・小羽さんも、そう思うよね?」
空を埋め尽くす理不尽を前に、銀の駆動音が鳴り響く。校庭の真ん中にずんぐりむっくりとヒトガタの異形が奏でる、殺戮の号令だ。
何とかそれを止めようと、小羽はRP301の前に立ちはだかった。
「何が起こってるんですか? あの「人達」は、いったい!? まさか、あなたは、あの「人達」を・・・・・・!!!」
銀の理不尽を前に、立ちはだかる少女。彼女は、その背にて怯える無力な命と、空を埋め尽くす敵意の三者全てを護ろうと術式を展開した。しかし、それは「沈黙」の起動式にて阻止される・・・・・・それを成したのは、銀の理不尽だ。
「少しの間、意見しないでもらえるかな? 此処から先は、大人の世界の話なんだ。この世界に侵攻した以上、適度な制裁は受けてもらう。そうしないと、「あっち」も引くに引けないんだよ・・・・・・とはいえ、君たちがそう容易く納得するはずも・・・・・・・」
学園編スタートです。