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無限想歌  作者: blue birds
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keyA-2,D-2共通:無限想歌4:true end:存在確率0%:二人の姉妹と、約束の時1:小羽&由香

物語の基本は、ハッピーエンド。

であればこそ・・・・・

TiPs~



約束って、言葉にできるものばかりじゃない。

わざわざ口にするものじゃないんだよ。そう、魔法と同じようにね?



それどころか、言葉にならないものに限って、大事な大事なーーー「約束」だったりするんだ。

それは所謂、一般常識とか約束事だとか、味気ない言い方をされるものだけれど、でも、それよりももっと小さな約束だってある。




例えば、なんで仕事帰りのお父さんは、家に帰ってくるのかな?そのまま、夜の町に繰り出せばいいのに。


例えば、お母さんは何で子供にご飯を作ってくれるのかな?彼が小さい頃ならまだしも、高校生にもなれば、話は別でしょうに?



例えば、学校帰りの君と友人は、なんで同じ道を帰るのかな?ほんの少し遠回りしてまで、なぜ、一緒に?



例えば、例えば、例えば・・・・・・






ーーーそこに理由なんて、無いよね。

大事な約束には、たいした理由なんて無いんだ。いつのまにか、「そう」だった。そして、いつしか、それらが「かけがえの無いもの」になっていた。同時に、「当たり前」のものーーー空気みたいに、ありふれていて、でも、ヒトが生きていくには絶対に必要なものに。









だからね。




それは、当たり前のことなんだ。

そう、「姉が妹を迎えにいく」ーーーなんて、当たり前も当たり前。

だからこそ、それは果たされるんだよ。その約束は、誰にも交わされたことの無い約束だけれど、でも、果たされなければ。




だって、当たり前のことなんだから。

そして、その「当たり前のお話」が、この物語の結末なんだよ。







keyA-2,D-2共通:無限想歌4:true end:存在確率0%:二人の姉妹と、約束の時:小羽&由香







 まさか、この町に戻ってくることになるなんて。

 それが、徹さんお手伝いに付いてきた、私の正直な感想だった。




「・・・・・・」




 私が連れてこられたのは、兄さま達が住む町の辺境。そこは見渡しのいい河原の直ぐそばの、小さな草原。あのときの私が、あてもなくトボトボと歩いて辿り着いた、見知らぬ土地だ。




 夕焼けが地平線に沈む中、そんな場所で私は、拓けた草原でちっさな石ころを探していた。そんな私を余所に、少しずつ世界は眠りにつく準備を始め、それに合わせて子供らは家へと歩みを進める。中には、手を引かれて温かい場所へと帰るもの者も・・・・・・




 そんな中、私はひたすらに小さな小さな何かを探していた。

 少し寂しいけれど、逆にこれで良いのかも知れないとも、思う。だって、光ってるものを探すのだから、周りは暗い方がいいに決まっている・・・・・・




『こういうふうに光ってる石を探してほしいんだ。っても、俺には唯の石ころにしか見えないんだけどね。小羽ちゃんには、これが光って見えるんだよね?』






 ーーーー私は、何かを探していた。それはキラキラ光る小さな石で、私が身を寄せることを許してくれている宿の主が求めるもので・・・・・・

 でも、そんなものはどこにも無くて。






「・・・・・・」




 すこしだけ、私は唇を噛み締めた。

 別に、私が探してる光は、私が欲しいものじゃない。私は、そんなもの無くても困らない。でも、なぜだろう?



 その光をこの手に掴めないことが、たまらなく悲しくて、悔しかった。





「でも、罰だから。私の罪が招いた罰ーーーなん、だ、から・・・・・!」






 目頭が熱くなる。

 突然の頭痛が、私の意識を揺らす。さらには、そのついでとばかりに、両の目に熱いものが玉を作った。私は、それを零すまいとゴシゴシと袖を動かす。





「う、う、うぇっ・・・・・・」





 こぼれる嗚咽を飲み込もうと、私は体をくの字に折り曲げた。

 泣くもんかと。自分がしでかしたことだと。私に、泣いていい道理なんて無いと。





 ありもしない妄想に取り付かれ、ねぇ様を殺そうとした私。

 そして、世界を壊そうとした私。




「ひっぐ、、、、うっ!」





 魔法使いさんは、「世界は壊れてなんてない」って言ってくれていた。

 ただの小娘に壊されるほど、世界は弱くはないと。そう、言ってくれていた。

 でも、そうだとしても、わたしはーーー殺そうとした。人を。あまつさえ、あんなにも大好きだった人を・・・・・

 



 そして、どうかすれば、いつかの「あのとき」のように、その人が、私を迎えに・・・・・・






「あり得ない。そんなこと、ぜったいに・・・・・・」




 自分の頭の中から湧いた想いに、私自身心底嫌になる。

 何を言ってるんだと、思う。何を考えているんだと。

 そんなこと、あってはならないのに。もし、そうなれば、私はあの人を殺してしまう。



 わたしは、依然として化け物のままだ。どれだけ頭が理解していても、心がそれを許さない。でも、心がそれを求める。心が、あの人を求める。





 つよく、つよく、私はあの人を想うーーー兄さまではない、あの人を。

 ねぇ様を、つよく、想う。






 ーーーだから、だろうか?

 私は、幸せな幻想を目にした。ありもしない、幻想だ。

 その幻想風景では、「あの人」が私に笑顔を向けていた。私を見下ろすように、風の吹く土手に立ち、私を・・・・・・






「やっと、みつけた。ごめんね、遅くなって!」




 投げかけられる声に、私の心が声を上げる。

 殺せと。引き裂けと。そんな救いようの無い、愚かなわたしの声がーーー


次回、約束が紡がれます。

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