keyA-2,D-2共通:無限想歌4:true end:存在確率0%:二人の姉妹と、繰り返す命:小羽
繰り返す命は、「まだ終わりじゃない」と、告げるために・・・・・・
Tips1~家族
張らなくてもいい見栄を張って頑張って。
どうでもいいようなことに泣いて怒って、困らせて。
些細なことに笑顔をもらって微笑んで、
そしてそんな自分も笑顔をあげて、また、微笑みをもらって。
そんなありふれた日々の一瞬一瞬に見え隠れする幸せの断片を分かち合えるなら、それはもう、家族なんだと思う。
TiPs~2:世界を継ぐ、心
いつだったか、誰かに優しくされたことがある。
もう今となっては、その人の顔を思い出すことは出来ないけれど、
それでも、かつて優しくしてもらえたことと、そのとき涙が出るくらい嬉しかったことはーーーはっきりと覚えている。
だから、優しい人になろうと想った。あの人みたいに、誰かに優しくできる人になろうって。
そうして私の優しさが別の誰かに伝われば、次はその人が。
そして、その次の人の次には、また次の人が。
ーーーーそうやって。
いつか、私とは全然関係ない人が、きっといつの日か、あのときのあの人に、優しくしてくれるはず。
……あの人に優しくしてもらえた、あのときの私は、あの人に何の恩も返せずに終わっている。
それどころか、恥ずかしことなんだろうけれど、「あの人に恩がある」ということ気づいたのだってーーー今さらになってからだ。。
けれど、まだ間に合うはずだから。
だから、わたしはだれかに優しくしようと想う。
そうやって私の優しさがあの人に届いた暁には。
そのときは、きっとーーー明日は。
その時の明日は、今日より絶対に良くなっているはずだとーーー私は、信じている。
※
アカシックレコード:優しさの連鎖
世界録14:優しさから断絶された、誰かの魂
優しくされたことのない人間は、どうなるんだろうね?
人に優しく出来ないのかな?
そもそも、優しくされたことのない人間は、誰かに優しくされたとき、「それ」が優しさと気づけるのかな?
……多分、無理だろうね。
だから彼女は、あんなふうになったんだ。
あんなふうに世界を許すわけでもなく、また、世界を恨むわけでもなく。
ーーーただ単に、他の誰かに悪意を向けるだけの、ただの現象に。
彼女は、成り下がってしまったんだと思う。
世界録14に対する反証:絶対矛盾:最初の優しさ
そこが、ゴールだよ。
ただの悪意に、優しくできるか。故なく向けられる悪意に、やさしくできるのか。
ーーーそれが、鍵となる。
……分かっているよ。
悪意を向けられて、優しくしようなんて想えるはずもない。
それでも、それが成されれば。
きっと、僕たちは、先へ至ることが出来る。
あの悪意が定めた、世界のエンドポイントの先ね。
keyA-2,D-2共通:無限想歌4:true end:存在確率0%:二人の姉妹と、繰り返す命:寿小羽
あれから、三日が経った。私が―――私たちが「あの時」から帰還して、三日が。
そして私が、「あの場所」をから逃げ出して、三日が経った。さらに言うなら、魔法使いさんが私を迎えに来てくれて、二日が経過していた。
私は今、魔法使いさんの家に身を寄せている。
懐かしい、あの館―――もとい、アパートに、私は再びご厄介になっていた。
魔法使いさんに連れられ、この家の敷居をまたいだ時、私は本当に遠くに来たのだと感じた。それは、500年前の、私が生きていた頃に思いを馳せるよりもはるかに遠い場所だった。
前回訪れたのは、数日前のこと。
にい様と再会を果たした翌日のこと。それは、私も兄様も、何も知らずにいた、ある意味では幸せだったときのこと。
「・・・・・」
魔法使いさんが私を迎えに来てくれた理由は、わからない。ただ、魔法使いさんは「しばらく家においで」と言ってくれただけだった。
何も聞かず、語らずに、ただただ、家に来なさいと―――そう、言ってくれただけ。
・・・・・・正直なところ、私は魔法使いさんと再会した時、これが最後なんだと思った。きっと、魔法使いさんに連れて行かれた先で、魔法を解かれるのだと思ったんだ。この、間違いだらけの歪んだ現在という魔法を解くために、魔法使いさんがやってきのだと、そう、思っていた。
だって、かつて、魔法使いさんは言っていたのだから。
「この世界に則った方法でなければ、可能だ」と―――。私を、然るべきところに送ることが、可能なのだと。だから、私が望むのであれば、それは「可能」なのだと。
なのに。
『まだ、終わりじゃないよ。まだ、おわってなんかいません』
なのに、魔法使いさんは送ってくれなかった。
約束したのに、送ってくれなかった。どれだけ私が「死」にたいと望んでも、魔法使いさんは・・・・・・『送っては、くれなかった』
『この世界における死は確かに、命を彼岸へと転移を引させる重要なファクターです。この世界で死んだものは、彼岸へと渡る―――それが、世界の理です。ですが!』
それは決して「終わりではない」のだと、魔法使いさんは告げた。
死は、終わりではないのだと。たとえ私は彼岸に渡っても、「死」ぬことはできないのだと。
『小羽さんの望む「死」は、終焉のそれでしょう?でも、たとえこちらから向こうに移っても、あなたの命は続くんです。
・・・・・・たしかに、向こうに渡れば、徐々にこちらでの記憶を失っていくことはできます。向こう岸に渡れば、あなたの魂に刻まれた傷は癒される―――でも本当に、それでいいんですか?それが、本当にあなたの望みなのですか?』
死は忘却をもたらすけれども、決して終わらせることを許してはくれないのだと。
どれだけ苦しくても、命は続いていくのだと。そう、今回のように。
私たちが―――私と兄様が、再会の果てに、少しばかり笑えたように。
私が愚かな果てに、ねぇ様へを殺ろそうとしたように。
・・・・・・続いて、行くのだと!終われないのだと!だから!
『なれば、『殺』してください。もう二度と、このような過ちを犯さぬように・・・・・・もう二度と、このような過ちを犯さずに済むように、どうか・・・・・・どうか!』
だから、私は『死』を願って、願って、願って、希って、そしてついに、魔法使いさんと約束を取り付けた。ただし、条件付きのもの。なんでも、魔法使いさんには現状を打破する案があるということだった。それが叶えば、私は再び兄さまのそばにいることができると・・・・・・
今となっては、そんな奇跡が起こるなんて、私は信じてはいない。でも、魔法使いさんの言う代案が通らなかった場合のみ、私を―――完全に、消滅させてくれるとこと。輪廻の輪の流れに戻すのではなく、完膚なきまでに私の魂を消滅させてくれると、魔法使いさんは約束してくれたんだ。
「・・・・・・小羽さん、少しいいかな?ほんのちょっと、付き合ってほしいんだけど」
―――声をかけられ、私は顔を上げた。そこには、魔法使いさんのお弟子さんで、ついでに魔法使いさんの恋人さんでもある―――徹さんがいた。
こまった顔で、「霊にしか探せない鉱石」を見つけてこいってシロに言われたと・・・・・・やっかいものの私に向かって、本当に申し訳なさそうに、佇んでいる。
そのために、私の力を貸して欲しいと。
魔法使いさんも徹さんも、本当にお人好しだ。こんな私をわざわざ抱え込んで、そして気をすりつぶして。
そんなことしても、自分たちには何の益もないはずなのに。
「―――私にできることであれば、なんなりとお申し付けください。
私に出来ることでしたら、なんなりと・・・・・・その代わり、約束を。
約束を、どうか、お守りください」
無気力なまま、私は立ち上がった。立ち上がり、徹さんに視線を向ける。
徹さんの手には、転移の奇石が握られていた。すこし、遠出するのだろうか―――?
・・・・・・どうでもいいことか。わたしは、私のできることを、やるだけだ。
残されたわずかな時間で少しだけでも人の役に立てればいい。私はそう思い、差し出された徹さんの手をとった。
次回、ファイナルの4話前です!
もうすぐで、終わります!