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なにがなにやら。
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ーアカシックレコードー無限想歌
魔法という概念は、『世界』と『世界』の間にある「相互理解」を持って成される、普遍的な現象の一つである。ただし、この定義は今日において「広義的な意味」と解釈され、いわゆる魔法という現象の「本質」として用いられることは無いくなった。
その理由は、単純である。
いわゆる権力者ーーーセントラルにおける魔法使いや、あるいは、彼らの弟子である魔術師を"名乗る"技術者たちにとってのそれは、『自身』と自身を『内包する強大な世界』という、ひどく狭い領域にのみ限定されているのが常であるからだ。
そう。
そう、彼らにとっての魔法使いとは、「世界より奇跡をくみ上げるもの」であり、そのことをもって「0の対価で1の益を得るもの」ーーーつまりは、価値の創造を世界の肯定を持って許された存在ーーー転じて、世界の秩序の施工者なのである。
……しかし、それは、本来の魔法の一端でしかない。
本来の魔法は、「価値の創造」などを意図して生み出されたものではなかった。
ましてや、奇跡の類いでもなかったのである。
本来の、魔法とはーーー「誰か」という存在が二人も居れば生まれでる、ありふれたもので。
それは、ある意味では「0より1を生み出す奇跡」だったのかもしれないけれど。
それでも、それは奇跡であることを望まなかった。
それは奇跡ではなく、普遍であり、だからこそ。
ーーーそれは、魔法だった。
兄と妹ーーーその二人から成る、ただの魔法。
ーーー兄が、妹の名を呼んだ。
正確には兄に名を呼ばせたのは彼の恋人で、その恋人は彼の妹の義姉でもあったのだけれど。
そしてさらに、その現象を正確に記述するならば、彼らの意図とは全然関係ない場所で、兄が妹の名を呼ぶことを望んだものたちもいて。そして同時に、それを忌避する者達もいて。
でも、だから、けれど、故に。
錯綜する順接と逆接の因果の果てに、
東という少年は、その魂に刻まれた「傷」をたよりに、小羽という名の少女を呼んだ。
そしてその声に、念に埋もれた<小羽>は、応えた。
そう、<小羽>として。妹としての小羽ではなく、<小羽>として。500年もの間、義姉を憎み続けた存在として……それは、二人の相互不理解を示す事象であった。
そして、そのことは本来なら魔法の不履行を意味するもので。
東少年はあくまでも東であり、<小羽という名の少女>は、<小羽>でしかなかったのだから。ただの数日をともに過ごした少年と<少女>の間には、二人を引き裂いた理をはね除ける力など、あるはずも無かった。
だからこその、魂の傷だったのだ。
魂に刻まれた傷という付加価値でもって。
魂の傷を、500年もの間、幾度の漂白を超えて抱え続けたという、奇跡でもってーーー東は「兄」として、小羽という名の少女を救うーーーそれが、本来在るべき物語のカタチであった。
しかし、それを小羽は受け入れなかった。
なぜなら小羽が、自身が<小羽>であることを拒否すれば、それは自身が「義姉を憎んだという事実を無かったことにする」ということにつながるのだから。
それは、結局ーーー
「ねぇさまのこと、大好きだった。だから、憎んだの」
ーーーそれは、少女が少女たり得る根本を、否定することに繋がると、気づいたから。義姉を愛した気持ちも、憎んだ気持ちも。
それは突き詰めてみれば、同じ場所に在って。
二つの気持ちは、何ら変わることの無い、大切なもので。
片方を否定することは、もう片方をも否定することで。
だから、きっと、少年はーーー東という少年は、そんなことも含めて、自分に手を差し伸ばしてくれているのだと。
そう、小羽は想ったのだ。
少女を喚ぶ「兄」の声に重なる、弱々しい少年の声。それはぶっきらぼうで、全然優しくなくて、意地悪で。
それは、だからこそ間違いなく、「兄」ではなく、少年の声だった。
ただの数日ともに過ごした少年は、「兄」ではなかった。彼は東という少年で、それ以上でもそれ以下でもなく。
それは同時に自分が<小羽>以外の何者でもないことを意味していて。
でも、だからこそ。
少女は、自身の500年を受け入れたのだ。
少女は受け入れ、自分の負の部分に手を伸ばした。
帰るのだと。あの、二人のもとにーーー遠く優しい場所に帰るのではなく、そこから続く、辛い苦しみばかりの、でも、確かな『現在』に帰るのだと。
少女は決意し、自身の対岸に手を伸ばしたのだ。
だからこそ、奇跡は起こった。
連なる互いを想い合う心は、「<少女>を念と定義する理の引力」に打ち勝ち、ついに。
こうして、連なった二人の誰かを想う心は「真の奇跡」として、念から<寿小羽>を救い出すことに成功ーーーー
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gold gate
アカシックレコードの記述に致命的なエラーを検出しました。
理の歪曲を確認。すぐに修正に入ります。
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ーアカシックレコードー修正1
少女は受け入れ、自分の負の部分に手を伸ばした。
帰るのだと。あの、二人のもとにーーー遠く優しい場所に帰るのではなく、そこから続く、辛い苦しみばかりの、でも、確かな『現在』に帰るのだと。
少女は決意し、自身の対岸に手を伸ばしたのだ。
しかし、それは許されざる望みだった(だからこそ、奇跡は起こった)。
連なる二人の手は、「<少女>を念として定義する厳粛たる理」の前に再び引き離され(連なる互いを想い合う心は、「<少女>を念と定義する理の引力」に打ち勝ち、ついに)
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gold gate
アカシックレコードの修正に致命的なエラーを検出しました。
銀の弾丸の介入を感知。
直ちに対応をーーー
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gold gate - silver bullet
修正の必要は無いんだよ、gold gate。
そのまま物語を続行しろ。
臨界点突破です。