表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無限想歌  作者: blue birds
107/145

KeyA-2,D-2共通:最優先事象:その、先へ:true end rute

 過去が未来を否定しても、未来が過去を救えるなら。


ending3:true end rute


繰り返す意味3:無意味な世界で意味を視る

汝の名を問う:存在という、存在

相克する因果:手を取り合う、二つの願い





相克する因果:答えー相克融和の幻想励起:寿小羽




「これで、いいの。それに、これ以上「私」は、生きていたくない。

間違いから始まったわたしは、ここでーーー(いつからだって、始められる)」






私を見送る「わたし」の声に重なるように、声が、聞こえた。

その声は銀色の声で、優しい声で。

そして、それは一筋の希望のように感じた。





だからこそ、私は口にしてみる。





「いつからだって、<私たち>は始められる!

だって、<私たち>は二人で、<私>なんだから!私が大丈夫なら、「あなた」だって大丈夫なはずなんだから!

ふたりで!ねぇ様が大好きな私と、ねぇ様が大嫌いな「私」で、初めて<私>……!」




 

 受け売りで空っぽな言葉を、ただの感情で口にして、私は、理屈をこねた。

 ただただ、受け入れられなかったから。目の前の「私」を見捨てることーーーそれが、全てを否定することに通じる気がしたから。

 だから、理屈をこねてみた。感情のままに。




 それは結果ありきのお粗末なもので、それがとおる道理なんて、世界のどこにもなかった。今のこの瞬間だって、十二分に奇跡だって分かってる。

 こんなふうに「やり直せる」機会を貰えるだけでも、十分だってこと、分かってる!

 けれど、でも、ぜったい、「それ」は、間違ってる!


 私が正しくて、「私」が間違いだなんて、そんなこと、ぜったいに!



 ……だって!



「……そうだよ。間違ってなんかいない!

「あなた」が生まれたことが間違ってるなんてこと、絶対に、ない!そうだよ!そうだ!

だって、「あなた」の始まりは、ここにある!今も、ここに!だから、終われないんだ!終われるはずがない!だって、「あなた」は、「あなた」の始まりはーーー」





「それを、言うなーーー!!!!」






 ……目に涙を浮かべ、「私」が私を睨みつける。

 そして、さっさと逝ってしまえと。ここから、出て行けとーーーーでも。




「私はねぇ様のことが大好きだよ!大好き!兄さまと同じくらいに、母様や父様、婆やと同じくらいに大好き!でも、だから……私は、『憎んだ』の!だから私は、<わたし>になったの。

 裏切られたからなんて、そんなの、きっかけにすぎない!裏切られたと思ったことなんて、きっかけに過ぎないんだよ!たとえそう思ったことが間違いだったとしても!そのことが、間違いだったとしても、わたしはーーーわたしは……憎んだんだ!」







<因>


 ねぇさまのこと、大好きだった――――



                  <果>

                    ―――呪ってやる。


<因>

 ねぇさまのこと、信じてた――――――




                  <果>

                   --------祟ってやる。

 


<因>

 ねぇさまのこと、心から、愛していた―――――


                

                   <果>

                

             --------たたり、のろい、そして・・・・・・







「ちがうちがうちがう!!!!

「私」は、愛してなどいなかった!「私」は、お前なんかと違う!おまえなんて、大嫌いだ!」



「そんなの、私だって同じだよ!私だって、「あなた」なんか大嫌い!」




 力が、拮抗する。

 私を救い上げようとする兄さま達の声ーーーそれを塗りつぶすように、<私たち>の間には。

 兄さまと、姉様と、そして、わたしの間にある絆以上の絆が、<私たち>の間には在った。



 それは、そもそもが間違いで。

 その絆は、生まれたことが間違っていて。




 それは、相克する因果だった。

 ふとしたきっかけで、対岸に行き着いてしまった、誰かを思う、<わたしたち>の心。





 あの時代、裏切りなんてもの、尊い命の息吹と同じくらいに溢れていた。

 裏切り者なんて、それこそ、五万といたんだ。でも私は、彼らを憎んだりしなかった。

 彼らがいることは知っていても、憎んだりはしなかった。軽蔑したりはしなかった。



 だって、それが<因>ではなかったから。

 憎いという<果>の、始まりでなかったから。




 そう、<わたし>の始まりーーーそれは私で、そんな私の行き着いた先が、「わたし」。

 大好きだったから、憎んだ。裏切られたからじゃない。

 大好きだったから、憎むしか無かった。





「<私たち>は、離れちゃダメなの!

私は「あなた」で、「あなた」は私!

二人で帰るんだよ!そして、ごめんなさいするの!二人でーーー『でも兄さまは、「私」のことを呼んでくれてないじゃない!』」





 わたしの声を無視して、「私」は叫び声をあげた。

 苦しくて苦しくて、苦しくて。兄さまに、その名を呼んでもらえないことが苦しくて。

 

 ……大好きな気持ちがつながって生まれた「この奇跡」では、私は救われても、「わたし」は救われない。そう、分かっているから。

 自分という存在が、どういうものか、分かっているから。だから、「私」はそれを望んだ。だから、私はそれを望んじゃいけないんだ。そのために、わたしたちは二つに分かれたんだ!





「兄さまが呼んでくれているのは、わたしじゃない!<わたしたち>なんだよ、「あの兄さま」が……兄さまじゃない「兄さま」が手を伸ばしてくれているのは、<わたしたち>なの! 

 信じて!あの、「兄さま」を!あの、「ねぇ様」を!私と一緒に!」





 私は、いやいやと頭を振る「私」に手を伸ばした。

 絶対に、離すまいと。ぜったいに、離れるまいと。



 二人で。

 二人で、あの二人のもとに、帰るのだとーーー














あらかたの問題提起は終わりました。

あとは、回収だけです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ