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無限想歌  作者: blue birds
105/145

Gating D-臨界点

選択を。

key-2を選んだ方のみ、読み進めてください。

key-1の方は別のお話へ分岐します。




Tips~chance:兄:汝の名を問うー君の名を、呼ぶ



「自分が何者なのか」っていう問いかけは、いいあえて妙なんだよね。

だって、何者なのかという問いの対象が「自分」でありながら、それでいて、その問いに答えるのもまた、「自分」なんだから。 


 一見すると、閉ざされた概念みたいじゃない? この質問って。

 自分で問うて、自分で答えるーーーそれは、ある意味では完全な「個」という解に直結するんだろうけど・・・・・・でもね。



 この問いかけに、そう臨むことは、本質的に間違ってると思うんだ。

 だって、「自分」なんてものは、「他者」がいなければ生まれないんだから。「他人」がいて、「自分」がいる。「自分」がいるから、「他人」がいる?



 ふふ、鶏と卵の問題みたいだよね?どっちが「因」で、どっちが「果」なのか。でもまぁ、それは今回は関係ない話か。



 要は、「自分」という存在を成立させるには、「他者」という存在が前提に無ければならないってこと。だったら、「他者」を排して導きだした「自身」という答えは、そもそもがおかしいってことになるよね。





 ……だからね。

 だからこそ、問い続けなければならないんだ。

 それは、とてもつらいことだけれど。でも、それを成すことができれば。





 そうすれば、自然と自分の「立ち位置」が見えてくるはず。

 多くの場合、それは自身が幾重にも張り巡らされた縁に絡み取られて、身動きが取れなくなっていることを自覚させるだけで……終わるのだけれど。



 でも、その上で。

 その、縁のーーー張り巡らされた因果の網の中、それでも尚、君が何かに臨むのであれば。何かに臨むことを、望むのであれば。












 君は、「誰か」に成るよ。

 君は「誰か」に成って、そしてーーーその時君のそばには、「誰か」がいるはずだ。









 「誰か」という君がいて、「誰か」という他者がいて。

 そしてそこに、ほんの人に握りでもいい……互いを想い合う、心の縁が延ばされていれば。












 君は、「世界の定義する君」ではなく、君として、物語を紡ぎ続けることができるはずさ。だから、屁理屈をこねるんだ。

 彼はもう、「兄」であることを選んだ。

 彼は、選んだんだよ。そして、それだけでは、物語は突破できない。本来はそれだけで十二分に奇跡なんだろうけれど、でも、その先がある。

 けれど、彼が「兄」であり、君が「妹」であるだけでは、その先へは至れない。



 彼は、彼だよね? 君が、君であるようにさ。

 彼は「兄」であると同時に、彼なんだ。だから、お願いだ。



 どうか、選んでほしい。君が、君であることを。

 たとえ世界が許さなくとも、それでも。






 君には、君でいて欲しいんだ。


 





keyA-2,B共通:相克する因果:breakthrough-汝の名を、問う:寿小羽




 それは、私を呼ぶ声だった。

 「私」ではなく、私を呼ぶ声。



 でも、他の人が聞けば、それはただの叫び声にしか聞こえなかったかもしれない。



「これで、いいのよ。これで、間違いは正される。物語は、めでたしめでたしで括られるの」





 渦巻く憎悪の中にあって、私を呼ぶ声は響き続ける。

 必死に私へと、手を伸ばしてくれている。私には、分かる。あの声は、私を呼んでいると。「私」ではなく、私を。



 だから、「私」は。

 そう、目の前の「私」は、顔をくしゃくしゃにしながら、それでも、「これでいいの」とーーー





「ほら、聞こえているんでしょう?兄さまの、あなたを呼ぶ声が。あの声の方に手を伸ばせばいいの。それだけで、あなたはここから出られるわ。そして、兄さまやあの女と幸せに過ごすの。あの女を憎む「私」にそれは不可能だけれど、あなたならそれができる。多分このために、私たちは別れたのよ」




 一つを二つに分けた意味ーーーそれは、私の中にあると、銀髪の少女は言っていた。その意味が、これなのだろうか?私の中にある姉様を憎む「こころ」を私から引き離し、おいていくーーーこの、悪意の渦の中に。



 そうすれば、私は兄さまや姉様と幸せに過ごせるーーーの?


「あなたは「わたし」で、「わたし」はあなた。

けれど、「私」は、「間違えた私」だから。ありもしない妄想に取り付かれ、数百年という時を呪って過ごした、愚かな……でも、だから、これでよかったの。一つを二つに分けた意味は、ここにあったのよ。生まれたことが間違いだったのよ、「わたし」は。だから、それが正されるの。「私」は憎悪の渦に消え、あなたは優しき場所の帰る。ただ、それだけのことよ」



 声が、聞こえる。私の名を呼ぶ、必死の声が。

 それは、兄さまの心の声。兄さまの……いえ、兄さまと姉様の、魂の、叫び。

 それは、私を呼ぶ声だった。まちがいなく、この、私を呼ぶ声。


 けれど。



「ちがう……ちがうよ。たしかに、この声ーーー兄さまは、私を呼んでくれてる。

でも、違うの。兄さまが呼んでくれてるのは!必死になって手を伸ばしてくれているのは、私じゃない!」





 私は、私呼ぶ声に、ぐいぐいと引き上げられそうになる。

 そんな私をみて、目の前の私は「もう行って」と再び笑いかけてくれた。



……でも、そういうことじゃない!こんなの、絶対におかしい!

だって、だって!





「だって、こんなのおかしい!おかしいよ!

「あなた」は、私なんだよ?そして、私は「あなた」なの!

それなのに、わたしだけなんて!」





ーーー体が、浮き上がる。上へと。

声の方へと、引き寄せられる。このままなら、私は多分、救われる。けれど、私は納得してない。だって!だって!




(この運命の先でお前は、幸せになる)





 あの銀髪の少女は、言っていたはず。過酷な運命の末に、<私>は幸せになれると。

その<私>は、私だけじゃない。ねぇ様が大好きな私と、殺したいほどにねぇ様を憎む「わたし」。

両方で、<私>なんだ!






(繰り返す命は幾度の漂白を超えて、<お前達>のもとに。

その意味を決して、はき違えるな)





<私たち>のもとに、兄さまと姉様はきてくれた!

私じゃなく、<私>のものとに!


だから、これでいいはずがない!だって、このままじゃ、私だけが!





「これで、いいの。それに、これ以上私は、生きていたくない。

間違いから始まってしまった「わたし」は、ここでーーー」



















選択してください。

優先されるべき事象を、決定してください。



KeyD-1:最優先事象:世界の理



KeyD-2:めでたしめでたし





選んでください。

あなたの、意思で。この物語の、結末を。

いわゆるgood end ruteと、

true end ruteの分岐です。

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