↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒瀬部長は部下を溺愛したい  作者: 桐生桜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
38/42

CASE:38 お仕事ですから

 久しぶりの3連休初日。

 

 本当なら。

 今日は朝から一緒に出掛ける予定だった。

 映画を見て、ランチをして、夜は慧の家でのんびりする。

 そんな約束だった。


 そう本当なら……。


『悪い。急なトラブルだ』


 朝7時に届いたメッセージ。

 すぐに返信した。


『大丈夫です^^ お仕事頑張ってください!』

『本当にごめん。俺の家で待っててくれていいから』

『はい^^ 待ってますね』


 本心だった。

 誰も悪くない。

 仕事なんだから仕方ない。

 分かってる……分かってるけど。


 時計を見れば時刻は午後3時。

 まだ連絡はない。

 テレビも見たし本も読んだ。

 普段やらない所まで掃除もした。


 でも……なんだか落ち着かない。

 気付けば午後6時。

 用意した夕ご飯はラップして食卓の上で待っていた。

 

『もう少しかかる』


 短いメッセージ。


『了解です!』


 笑顔のスタンプ付きで返す。

 リアルは全然笑えないのに。

 

 私は平気。

 仕事なんだし仕方ない。

 何度も自分に言い聞かせた言葉。


 テレビをただ流しているだけで夜9時になった。


 ——ガチャ!


 玄関の鍵が開く音がした。


「ただいま」


 聞き慣れた声が聞こえて立ち上がる。


「おかえりなさい!」

「待たせたな」

「全然です!」


 嘘だった。

 めちゃくちゃ待った。


 慧はネクタイを緩めながら息を吐く。

 それだけで疲れているのが分かった。

 だから、余計に言えなかった。


「ご飯温めますね」

「ああ」


 食卓に並ぶのは冷めてしまったものばかり。

 少しだけ胸が痛んだ。

 当たり障りのない会話をしながらした食事は味も覚えていない。


 食後、ようやく2人でソファに座った。

 ちょん、と肩が触れる。


 本当は抱きつきたい。

 でも、疲れてるだろうと思うとできなかった。


「今日は悪かった」

「大丈夫ですよ」

「デート潰れたのに」

「お仕事ですから」


 莉央は笑った。

 上手く笑えたと思った。

 でもそんな莉央を慧はじっと見る。


「莉央」

「はい?」

「無理してるだろ」

「してません」

「してる」


 即答で返される。


「……」

「見れば分かる」


 優しい声。

 それがずるい。

 甘えてしまいそうになるのをグッと堪える。


 少しの沈黙の後。


「……今日は帰るか?」


 その瞬間。


 ——ぷつん。


 莉央の中で何かが切れた。


「……はい?」

「もう遅いし」

「……」

「……送ろう」


 分かってる、誰も悪くない。

 疲れてるだけ。


 分かってるのに……。


「帰ります」

「莉央?」


To be continued


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。