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 ピィピィと鳥の声と生活音と人の呼び声、微かに音楽が聞こえる。うっすらと開けた目に目映い日の光が飛び込んだ。一瞬見知らぬ天井に困惑したが、何てことはない。ここは死後の世界の時計の町にあるホテルの一室。そして俺は綾野竜樹。ただの迷子。本来の行くべき場所をすっ飛ばして訳がわからない状態で放置されている迷子。改めて把握したらひどく悲しくなったのは秘密だ。

 大きな欠伸を一つ。ぬくもりが名残惜しいが布団から這い出して時計を確認する。

 ……寝過ごしたな、これは。

 数時間寝てから晩御飯を食べるつもりだったが、頭元の時計はもう7番になろうとしている。確か朝御飯は8番まで、急がないと遅れてしまう。

 流し台に備え付けてあるレバー式の水道で顔を洗い、大雑把に手櫛をいれて部屋を後にする。クローゼットを開けるが、服は入っていなかった。まあ当たり前だ。

 ポケットの中に幾つか入っている小銭を確認してドアから廊下へ出た。廊下には何人かの旅人たちの姿があった。談笑しているウサギ耳男と筋骨隆々なコウモリ羽の男、長い尻尾をくゆらせて階段を降りていくネコ耳女となかなかバラエティに富んでいる。

 ドアを閉めてカードキーを差し込み、魔方陣の光が消えたのを確認してから獣人たちを避けて階段を降りた。本当はネコ耳女に「生前そういうプレイが好きだったんですか?」とかコウモリ男に「何でコウモリ羽なんですか? 鳥の羽の方が見た目が良いですよね、悪魔を志望しているのですか?」なんて聞いてみたかったが、シャイな俺にそこまでの勇気はない。人の勝手という言葉もある。

 ホールを抜け、カウンターに座るフローの父親に挨拶をして、食堂に向かう。

 机に並べられている朝食セットを取り、適当に空いている席に座った。メニューは丸パン2個、サラダ、緑色をしたスープにジュースが一杯と大変質素なものだったが、味は悪くなかった。別に死んだからといって味覚がなくなったり全てがとんでもなく美味しく感じたりはしないらしい。

ざーっと流し込むように完食して、周囲に合わせて食い終わった後の食器を棚に置いた。

 よし、腹ごしらえも終わったことだし、今日はギルドで仕事でも貰おう。そして仕事帰りに本屋へ行って文字を読むための教材を買わねば。あと、余裕があれば生活必需品も揃えたい。財布やら服やら買うべきものはたくさんある。

 食堂を出て、カウンターに座っている男性に手を振り宿を後にする。降り注ぐ朝の光に手をかざし、増え始めた人の流れにそっと足を踏み入れた。

 朝は通勤時間と重なるのか、昼間と比べてのんびり歩いている人間が少ない。通りの中心を忙しなく色々な乗り物が走っていく。動物がひいている馬車のような物からカラクリに包まれた無骨な四輪駆動車まで、様々な種類の乗り物が一定の速度を保って行儀よく並んでいる。車をひいている動物も馴れたもので、獅子の姿をしたものも大型トカゲも暴れることなく歩いている。

 デザインを無視したカラクリでゴテゴテの四輪駆動と繊細な装飾が施された馬車が並んでいる絵はどことなくシュールだった。

 




どうやら主人公を最強にしたくてたまらない病(別名・厨二病)にかかっているようです


話の展開が遅くて申し訳ないです

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