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【その2】考えるとは?

~自分自身を救う思考術~

前回は不安の正体について考えてきた。

今回は不安の真因に近付くための思考方法について考えていこうと思う。


あなたは考える、あるいは、思考するという行為について、どのような印象を持っているだろうか?


パッと思い浮かべてみると大きく2つに分かれると私は考えている。


①不安を筆頭とした無意識に勝手に考える自動思考

②自分が意図して考える意識的な思考


①の自動思考は前回も書いた通り、自分自身でコントロールすることはできない。

②の意識的思考は意識して考えるものなので、自分自身である程度コントロールすることができる。


ただ、人間の思考はそんな単純なものではなく、自動思考と意識的思考が都度切り替わっているわけではない。

実際には、自動思考と意識的思考が複雑に混在した状態となっている。


意識的思考をしようとしても、自動思考が邪魔をして、思うように考えることができないという経験は、あなたにもあるだろう。

これは、いわゆる集中ができないという状態である。


そして、不安が大きい状態というのも、自動思考が支配的で、思考も行動もパフォーマンスが落ちる。

思考力と行動力の低下は、時として、状況判断と対応を鈍らせ、人生を窮地に追い込む可能性もある。


つまり、不安を放置するという行為は、自分自身を危険にさらす可能性があるということを頭に入れておかなければならない。


その危険性を踏まえた上で、不安の真因に近付くためにどのように思考していくかを考えていこう。


まずは、不安の見かけについて確認だ。

不安は思考の中にあるイメージの集合体である。

不安を不安たらしめる最大のポイントは、それが果たして何なのか分かっていないということだ。


だから、最初に私達が取り組まなければならないのは、絡まった毛糸を解きほぐすように、不安を見える形にしていくという作業だ。

具体的に何をするかというと、不安の内容を言葉で表現するということだ。


思考やイメージを言葉にするということは、かなり意味合いが削ぎ落される。

ただ、これは逆に見れば、思考やイメージを収束させる力が言葉にはあるということだ。


この言葉の性質を利用し、考えを進めていくことが、不安解消への鍵となる。


この思考の言語化には大きく2つのアプローチがある。


①思考を言葉として発して他人へ伝える。

②思考を言葉として書き出す、あるいは、打ち出す。


思考を言語化して自分の外に出すことで、思考の収束効果に加えて、その思考を言葉として客観的に認知することも可能となる。

自分の言葉で、自分の外に出して、自分で客観的に認識することで気付くことは多い。


そして、この過程の中で、情報の中の感情成分を分離し、事実を抽出するということも進めていく。

事実を抽出に際しては、その情報に対して、主観以外の別の観点から見た情報があると進め易くなる。


コツとしては、自分の身近な人を思い浮かべ、その人だったら、この事象に対して何と言ってくるかな?と考えるとよい。

踏み込んで、その人がそのような意見をいう理由や背景まで考えられると更に説得力が出てくる。


つまり、思考の言語化は、思考の収束と自覚、事実の抽出のプロセスであるということだ。


そうは言っても、どこから言葉にしていいか分からないと思う人もいるだろう。

モヤモヤとしたイメージを言葉で表現しようとするのだから、実際、その通りである。


私自身もいきなりマッチする言葉や表現が見つかるわけではない。

イメージに近しい言葉と表現を思いつくままに書き出していき、書き出しながらマッチするものを探していくという感じである。


自分が不安に対して思うことを書いてみたり、質問形式で自分自身へ投げかけてみたりと、自分なりに手を変え品を変え、探していく。

そうしていくと、フッと肩の力が抜けるというか、気が楽になる言葉や表現にたどり着く。


つまり、この気が楽になる感覚がある言葉や表現が不安の真因ということだ。


前回もお伝えした通り、不安の真因というのは、当初、自分が見込んでいた原因とは違うことが多い。

その真因は、自分の中にあり、自分の人間性に関わるデリケートな部分だったりする。


普段は、目を背けたい、触れたくないと感じている部分であるから、気付きにくいのも当然といえる。

不安と向き合い考えるということは、気付いていなくても、そのような予感があるから怖いと感じるのだと思う。


そういう性質があるから、不安と向き合って考えていく際にはポイントが2つある。


①自分自身を貶めない言葉や表現を選ぶこと。

②一気にではなく、少しずつ向き合っていくこと。


一つずつ具体的に考えていこう。


①自分自身を貶めない言葉や表現を選ぶこと。


この思考のプロセスは自分自身を救い出すためのものである。

だから、自分で自分を傷付けないようにすることが大切である。


幸いなことに、日本語の表現方法は多彩である。

同じニュアンスを言葉で表現するにしても、自分を傷付けない表現がきっとある。

「自分自身の言葉で自分自身を救い出す」そんな言葉を選んでほしい。


この言葉や表現を選ぶプロセスもまた、あなたがあなた自身を助けるチャンスなのだ。


②一気にではなく、少しずつ向き合っていくこと。


一概に不安といっても、大きさや内容といった様相は人それぞれである。

その時の体調や精神の状況によっては、とてつもない苦痛となる可能性がある。


だから、自分に余裕がない時は無理に向き合う必要はない。

そういう時は休息を取ったり、気分転換をする方がよい。


考える余裕が出てきた時に少しずつ考えていけばいいのだ。


不安の真因にたどり着くには、1日で見つかる場合もあるし、数ヶ月かかる場合もある。

ただ、どんな強大な不安であっても、それに向き合い、考えるのを止めさえしなければ、真因にはたどり着ける。


このように、考えるという漠然とした行為であっても、意識的に考え続けていると見えてくるものもある。


私自身もここまでの内容に留意しながら、今、この瞬間も考えている。


具体的には、手の届く範囲にノートとペンを常に置いており、不安を感じたらすぐに思考プロセスに入れるようにしている。


不安が小さいに内に着手すると、事実の抽出がし易く、比較的早く、真因にたどり着き易い。


こういった感じで、こまめに自分自身の不安をケアをしていくことの大切さを、日々、痛感している。

こまめに不安のケアをすることで、副産物的な効果も出てきている。


肩の力が抜けて、自然体で生きれるようになった。

慢性的な肩こりと頭痛から解放され、最近は腰痛もなくなった。

そして、何より、よく眠れる。


不安を抱え、身体が強張った状態は、体調にもよくないということなのだろう。


どうだっただろうか?

今回は「考える」ということを考えてみた。


私が強くお伝えしたいのは、「自分自身の言葉で自分自身を救い出す言葉を探してほしい」ということだ。


人間は不思議なもので、自分自身の言葉の影響が良くも悪くも大きい。

自分自身を救う言葉があるとするならば、その言葉を持っているのもまた、自分自身なのだ。


そして、ここまでを踏まえた上で、考える目的について定義したい。


考える目的は「真実にたどり着くため」である。


だからこそ、自分が扱う言葉は、素直で誠実でなければいけないと考えている。


次回は、真実にたどり着く思考を助けるための「認知」について考えていこうと思う。

最後まで、ご覧いただき、ありがとうございます。

評価・リアクション・感想もお待ちしております。


今後も毎週金曜日に投稿予定です。


作品を投稿したらXでお知らせします。

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