【その12】愛とは? ~情熱と理性の間の想い~
愛とは何か、その言葉はあまりに多くの意味を背負っている。
無償であり、相手を思うがゆえに悩みも伴う。
その情熱と理性のはざまで揺れる想いの正体を、今回は探っていきたい。
愛とはいったい何だろうか?
これも色々な形があるのだろうと推測される。
そういう訳だから、表面的に見えるものではなく、愛の根っこにあるものは何なのか?それを考えていきたい。
似たような表現として、“好き”というものがある。
好きの発展形として、愛があるという考え方もあるようだ。
ただ、本当にそうなんだろうか?
好きの要素だけでは、愛には成らないと感じている。
そして、好きと愛には、決定的な違いがあるとも思っている。
この辺りも合わせて考えていきたいところだ。
というのも、好きと愛とでは、想うときの視点が違うような気がするのだ。
好きの時には、一方的に、相手へ向けて、主観的な想いを抱いている。
愛の時には、相手の立場や状況を想い、自分に何ができるかと考えている。
つまり、好きの時は自分の方から考えていて、愛の時には相手の方から考えているということだ。
これが、愛が、好きの単純な発展形ではないと考える理由だ。
愛は、相手目線なのだ。
そこには、自分が何かを得たいという気持ちはなく、どうしたら相手の助けになれるかを必死に考えている。
誠実の回でも書いたように、相手を「尊重する心」と「貶めない倫理観」があり、愛においても、それが前提となっているのだ。
愛は、相手目線の想いであるから、自分がどのように行動すべきかは本当に悩む。
果たして、これは相手の助けになるのだろうか?自分の気持ちの押し付けではないのか?と。
さらに、愛は言葉で語られるものではない。
愛は、伝えるものではなく、行動で伝わるものなのだ。
悩みに悩み抜いて、自分の行動を選択する。
そして、その行動は、自分の想いが無駄になるかもしれないという覚悟も持っている。
「想いが無駄になってもいい。それでも、その人のために何か力になりたい」そんな覚悟である。
愛は無償なのだ。
そこに損得勘定はないのだ。
愛は伝えるものではないから、時には見守るということも選択肢に入る。
これまでの回でも述べてきた通り、想いも、考えも、人生も、その人だけのものだ。
その人の想い、考え、行動を尊重するならば、口を出さないことも、時には必要である。
見守ることも愛なのだ。
だだ、それは静観するのとは少し違う。
様子を見守り、助けが必要そうであれば、すかさず、さり気なくフォローする。
もどかしい気持ちになることもある。
それでも、見守るのだ。
その中で、愛する人が、何かを掴めたり、納得できるのであれば、それは、人生の充実感と人としての成長につながる。
そして、その様子を自分のことのように喜べるのであれば、それは愛である。
愛は、行動の積み重ねにより伝わるものである。
だから、すぐに相手に伝わるとは限らない。
なんだったら、伝わらないこともある。
親の子供に対する愛がいい例かもしれない。
だいたい、愛を受けている時は気がつかない。
何十年も経ってから、親の愛情に気づく。
愛もまた、人生の一部である。
愛することも、愛されることも、その人の人生である。
愛は一途な想いと地道な行動の積み重ねである。
その想いと行動は純粋であり、かけがえのないものだ。
愛する側も愛される側も素直な気持ちで向き合ってほしいと思う。
ただ、受け止め方は人それぞれであり、見え方もまた、人それぞれである。
人間だから、誤解もある。
それは、致し方ないことだ。
ただ、繰り返しなるが、愛には相手を「尊重する心」と「貶めない倫理観」があることをお忘れなく。
逆に、これがないものは愛ではない。
想いが強いと、その想いの強さが愛だと勘違いすることがある。
そんな時に、思い返してほしい。
相手を尊重することを忘れていないか?と。
相手はどう成りたいのか?
相手はどう在りたいのか?
相手の潜在的な望みや叫びに耳を傾けられているか?
人間は単純ではない。
表面的に見えていることが真意とは限らない。
相手の真意を見つめ、受け止め、その上で、自分がどうするべきか?それを考える。
愛における尊重は、そこまで見据えたものなのだ。
今回の副題は、「情熱と理性の間の想い」。
愛を知るためには、まず、自分を知らなければならない。
愛は情熱だけではない。
そして、理性だけでもない。
情熱と理性の両方があって、愛となる。
愛の源は情熱であり、そこから先の思考と行動は理性である。
突き動かすのは純粋な愛する人への想い。
でも、冷静に自分と相手を見れている。
その境地で考え抜かれた相手の潜在的な想い。
それを受容し、自分がどうするのか。
その行動の積み重ねが、愛となって、相手へと伝わる。
愛は、徹底した相手目線である。
誠実な対応が、信頼となり、好意となり、そして、愛となる。
そして、大前提には、誠実があることを忘れないでほしい。
次回は、人の根源「心」について考えていく。
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