【その1】不安とは? ~不安との向き合い方~
不安とはいったい何だろうか?
あなたはどんなイメージを浮かべるだろうか?
人それぞれ色々なイメージを持っているのではないかと思う。
私にとっての不安は、何だかソワソワさせるもの、何だか緊張させるもの、そして、時にはとてつもない恐怖を感じさせるものである。
モヤモヤとしていて掴みどころがなく、まるでゴーストのような存在である。
実体が無いにも関わらず、思考のリソースを奪い、目の前のことへ集中することを許してはくれない。
感情も揺さぶられ、苦しさを覚える時もある。
そして、常に自分のどこかに潜んでいて、油断をすれば襲いかかってくる、そんな存在である。
今回は、そんな不安という事象について、その正体を考えてみようと思う。
まずは、事実と思われる部分を整理していこう。
①不安はそれぞれの人の中にある。
②不安は意思とは関係なく、勝手に生まれてくる。
③不安には実体や輪郭がない。
④不安はとにかく気になる。
⑤不安はいつの間にか大きくなる。
こんなところだろうか?
それでは、これらの事実について、一つずつ考えていこう。
①不安はそれぞれの人の中にある。
不安は人の思考の中に生まれるものであるから、人の外には存在し得ない。
そして、不安はそれぞれの思考に依存するものであるから、不安の様相も人それぞれ違う。
似たような不安はあれど、誰一人として全く同じ不安を抱くということはない。
つまり、あなたが抱く不安は、あなただけのものということだ。
②不安は意思とは関係なく、勝手に生まれてくる。
不安は意識的にコントロールすることはできない。
過去と現在を鑑み、未来を意識した瞬間に、不安は生まれてくる。
つまり、不安は未来を生きようとする人であれば、誰もが抱くものなのだ。
③不安には実体や輪郭がない。
あなたは自分が抱いている不安を明確に言葉で表現できるだろうか?
モヤモヤとした黒い存在感を放つ何かといった感じではないだろうか?
思考の中のゴーストのような存在であり、実体はない。
そもそも、人間の思考の中の情報は、果たして事実なのだろうか?
それは否である。
人間は外部事象の認知という過程において、少なからずその時の感情成分が情報に入り込む。
人間の思考の中にある情報というのは、感情成分という不純物が混じっており、事実と感じているものも実は事実ではないのである。
つまり、不安というものは、こうした思考の中の情報から生まれてくるイメージであって、事実ではないということだ。
④不安はとにかく気になる。
目の前のことに集中できないといった経験があなたにもあるのではないだろうか?
不安は一度生まれると思考の中にまとわりつく。
その不安の対象に現実の中で触れるまで、それが消えることはない。
見方を少し変えると、未来に対する自分自身への一種の警告ともいえるだろう。
とにかく気になってしまうのはつらいことだが、人生において、この警告に助けられた場面もあるのではないだろうか?
⑤不安はいつの間にか大きくなる。
あなたは不安が時間の経過とともに大きくなっていったという経験はないだろうか?
最初は虎程度の脅威だったものが、いつの間にか巨大軍事要塞並みの脅威になることもある。
小さなゴーストをここまで成長させてしまうのだから、人間の想像力は計り知れない。
こうした現象もまた、不安というものが実体のない思考の中のイメージであることを示している。
ここまで、不安という事象の正体について考察してきた。
それを踏まえた上で、不安という事象を定義したいと思う。
不安とは、「未来に対する自分自身への警告機能」である。
不安というものは未来を意識しないと生まれないものだ。
不安が生まれるということは、あなたに未来を生きようとする意志があるということなのだ。
ただ、時として、不安は人の命を脅かすほどの恐怖となることもある。
それでつらい思いをしている人もたくさんいると思う。
事実として、私自身もそういう時期があった。
このような時期というのは、苦しい以外の何ものでもない。
不安が単なる警告機能だとすることに抵抗を覚える方もいると思う。
私自身も苦しい時期であれば、そんな単純なものではないと心を痛めたと思う。
それでも、私が不安という事象をこのように定義したのには理由がある。
私は、この苦しい時期をきっかけに、数年に渡り、自分自身のあらゆる不安と向き合い、その都度、自分で考えてきた。
時には、考えていくことが怖く、そして苦しく、心が折れそうになることもあった。
ただ、それでも考えた。すぐに答えが見つからなくても考え続けた。
そして、不安と向き合うためには何が必要であるのかということを知った。
①冷静な状態で目の前の事象を認知すること。
②認知した事象について、それが事実なのか、どの部分が事実であるのかを精査し、切り分けること。
このような認知と思考のプロセスを踏むことで、一見、不安とは関係してなさそうに見えていたものが、不安の原因であることが多いということに気が付いた。
そして、その真因となるものは、自分の外ではなく、自分の中にあった。
そこで不安の真因にたどり着くと不安は軽減、あるいは、消滅する。
私は、このような実体験を積み重ねることで、「潜在的な自分が自分自身に対して何かを気付かせたい時に不安が生まれる」と考えるようになった。
これが、私が「不安は自分自身への警告機能」と定義する理由である。
そして、ここにも重要な真実がある。
不安は、その真因や真実に触れると消滅するということだ。
自分自身で考え抜いて、その真因や真実に近づくことが不安に対する唯一の特効薬なのだと私は思う。
そして、その答えもまた、その人自身の中にある。
次回は、不安の真因や真実に近づくためにどのように「考える」のか、その方法について考えていきたい。
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